発達障害の子どもが自分の気持ちを言えるようになる方法

自分の気持ちを言葉で言えずに、暴言や暴力になってしまう小学生の相談がありました。

会ってみると、落ち着いている状況では、素直で穏やかな子どもさんです。

会話では、少し、イエスマンである様子がうかがえます。

自分発信の気持ちの言葉は話せるけれども、予想してない質問が相手からあった時、「うん」とイエスで答えてしまうようです。

ノーを言葉で伝えることが難しい

イエスと答えて、相手の言う通りの行動が始まってから、ノーの気持ちが生まれてきて、困ってイライラするのかもしれない、と考えました。

例えばお出かけ先で、夕方暗くなって「夕ご飯だから帰ろう」と家族に言われた時、「まだ帰りたくない」と言えずに「うん」と言って、帰りの車の中で、帰りたくなかった気持ちが、だんだんと生まれるような状況です。

帰りたくなかった気持ちを言えずに、車の中では怒って、だまって固まっています。

もっと遊んでいたかった気持ちを言えずに、家に帰るなり、怒り始めます。

「今度はいつ来れる?また来たい」と、その場で人に頼む言葉を使えないために、帰宅してから物を投げたり叫んだり、暴言と暴力が起き始めます。

暴言と暴力が始まると、何が嫌だったのかを尋ねても、言葉にできずに、興奮して荒れるだけ。

本人も家族もつらいですね。

荒れる原因は、楽しみが終わって、「終わっちゃった」「もっと遊びたかった」など、残念さが自分の中だけにとどまっているからです。

「帰りたくない」「もっと遊びたい」と、相手に伝える言葉にならず、「お願い、あと15分」のような相手の気持ちを動かす依頼のことばが使えていません。

そこで、保護者に、子どもの気持ちのつぶやきを形成する、3つの方法を提案してみました。

話し合う時は、3つとも、絵に描きながら話し合うことが、子どもに気持ちを語らせるポイントです。

音声会話のやり取りだけでは、お互いの脳内イメージが一緒になりにくいから、絵によって目で見てわかるようにします。

子どもの気持ちの言葉の、イエスとノーの2つを、つぶやきモデルで代弁してみせる

先ほどの、お出かけの例で考えてみましょう。

絵を描きながら、「Aかなぁ、Bかなぁ」と、つぶやくのはどうでしょうか?

「もうすぐ夕ご飯の時間だけど、楽しいからあと15分続けて遊んでいたいかなぁ、それともお腹も空いたから帰る支度をしてもいいかなぁ。」

遊びの続行か、終了して帰宅か、2つを描いて、つぶやいてみせます。

「もう一度聞くから、帰るか帰らないか、考えてね。」と、代弁後、1~2分、時間をおきます。

イエスでもノーでも、自分の気持ちが言えると、自己決定で、その後の切り替えが起きそうです。

願いがかなう場合と、願いがかなわない残念な場合の2つを、つぶやきモデルで代弁してみせる

「もっと遊んでいたいけど、楽しい時間は早く過ぎるね。残念だね」

「もっと遊んでいたいけど、終わりの時間が来ちゃうね。残念だなぁ」

「残念」「しょうがない」「また今度」などの気持ちの言葉を、大人が書いてつぶやいてみせます。

「もう一度聞くから、あと15分遊ぶか、残念だけど帰るか、考えてね。」と、1~2分、時間をおきます。

残念さに共感して、言葉にしてもらえると、自己決定で諦めて、切り替えることが起きやすくなります。

自分の願いがかなうように、相手を動かす言葉をつぶやいてみせる

「あと15分遊んでから帰るので、夕ご飯は先に食べ始めてねと、お母さんに電話しようか。」

「あと15分遊んでから帰るので、ポケモンのテレビは録画にしておいてと、お母さんに電話してみようか。」

「また来たいから、次は何月何日に来れるか、カレンダーを見よう。」

カレンダーのような具体物を目に見せて、次回の予定を話し合うと、気持ちを次回のプランへと切り替えやすくなります。

次回の候補日は、第1第2第3と、3つくらい予定しておくといいですね。

子どもが気持ちを言いやすくなる代弁のまとめ

気持ちを言葉で言えない子どものつぶやきを形成するには、大人の代弁が必要です。

➀絵に描いて、文字に書いて、気持ちを可視化する。

➁子ども自身になって、「Aかなぁ、Bかなぁ」と、2つの気持ちをつぶやきで代弁する。

➂次回のプランをカレンダーに記入すると、残念な気持ちを切り替えやすい。

④予告して出かけることも大切である。「6時になったら帰ろうね。帰りたくないときは言ってね、15分延長できるよ。」等。

子どもの暴言や暴力は、他者への攻撃というよりは、言葉で気持ちを言えない、言葉の代わりの行動です。

大人の代弁によって、子どもが気持ちをつぶやけるようになると、暴言暴力は軽減していきます。

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 病院小児科で臨床発達心理士をしています。
 梅津八三の心理学、行動調整法、子どもの行動理解、育児、教材、ソーシャルスキル、介護、猫の行動について投稿中です。

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