梅津八三の心理学「言語行動の系譜」

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梅津八三の「言語行動の系譜」

 梅津八三の晩年の愛弟子である仙台の吉武氏が、梅津八三の著書『重複障害児との相互輔生行動体制と信号系活動』(東大出版会1997年)について、日本障害児教育実践学会誌で書評を述べている。

書評で吉武氏は「梅津心理学は生命体の調整の働きについての学である。 調整の働きを信号系活動の発生と高次化の問題として解明した。事例研究を基本とし、生命体の機能形成を援助する仮説を組み立て体系化した。」とまとめている。

梅津八三が最初に「信号系活動の発生と高次化」について発表したのは、東京大学公開講座9:言語(1967年当時梅津60歳)『言語行動の系譜』(東京大学出版会1969年49~82頁)である。

梅津はことばを言語行動といい、 ことばを信号系活動とした。

信号=合図は、まず意図的でない信号と、意図的な合図の2つに分けられる。

赤ちゃんが泣くような状況、意図的でない信号を、自成信号系とした。

他方、意図的な合図を構成信号系とした。

構成信号系を象徴的な信号と、特定の型を弁別する信号に分けた。

象徴信号系は、脳内イメージのような表内系と、脳外に表出される身振りのような表出系があるとした。

特定の型を弁別する型弁別信号系は、交通標識や漢字などを形態質系、音声・点字・指文字・書き文字などを分子合成系とした。

上記を図表にまとめると以下のようになる。

「言語行動の系譜」『重複障害児との相互輔生』東大出版会1997年179~205頁

信号系活動の高次化とは、子どもの自成信号と表内系の象徴信号を丁寧に読み取って、子どもの信号系を仮定し、それを表出系の象徴信号として相互にわかりやすいものとする。

さらに形態質系の型弁別信号を共有し、最高難易度の分子合成系の型弁別信号へと高次化する。

その信号系活動の高次化が教育である、と梅津はまとめたのではないか。

これこそ、我々が子どもに言葉を指導する教育の、最も簡潔で最も普遍的な体系に思える。 

この体系を頭に置いて係われば、子どもの現段階の信号系活動が分かり、次にどこへ進めばよいかの指標がわかる。

次の教材を準備する時の手がかりともなる。

しかし、理論だけに傾いてもいけない。

目の前の子どもの行動を見つめ、現勢を保障し、共感し同行し、子どもの確定域で信号系活動を相互に楽しむ、そしてあるとき一緒に革生行動(それまで起きていなかった新しい行動・革命的な生命活動)に踏み出す、そこに教育の喜びが相互にある(相互主客二役性)と、梅津も語っている 。

梅津八三の著書『重複障害児との相互輔生行動体制と信号系活動』(東大出版会1997年)大学図書館などにもあり。

Amazon で、中古の出品が30点あります。7500円~。

重複障害児との相互輔生: 行動体制と信号系活動

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