野良猫を家猫にするとき 考えること 

4 家猫になる

 ある日、母猫がどうしても家の中に入ろうとしていた。

「入れてくださいなぁ」

「入れてくださいなぁ」

「私たち、可愛いですよぉ」

「何とかなりませんかぁ」

「何とかなりませんかぁ」

そう言っているかのような後ろ姿だった。

子猫を守りたいためだろうか。

「私たち可愛いですよぉ」

網戸を手で器用に開けて、何とか室内に入ろうとした。

「よいしょッと」

その様子は可愛く、愛おしかった。

「入れたあ」

何とかして家の中に入ろうとする母猫

母猫の勢いに負けて、私は母猫を家の中に入れてみた。

母猫は、家中をくまなく探検している。

廊下や、部屋の隅の壁際に寝転んで、匂い付けをした。

しかし母猫は、やはり子猫が気になるのか、しばらくすると庭へ出て行った。

初日は、室内の探索だけだったようだ。

翌日、母猫に続いて、灰色子猫も家の中に入ってきた。

家の中で安心して授乳する母猫

母猫は、ソファーで灰色子猫に授乳した。

室内で授乳できることは、母猫にとって、危険な野良猫育児から、安全な飼い猫育児への昇格だった。

3日目には、母猫に白黒模様が似ている子猫も、一緒に入ってきた。

母猫と灰色と母似が家の中にいると、用心深く外にいた黒い子猫も恐る恐る入って来た。

私が用意した赤いリボンに、前足でそっとじゃれついた。

母猫と灰色は、夜になってもソファーにいたが、母似と黒猫は夜には車庫で寝た。

家の中へのトイレの設置

私はまだ、家の中で飼おうと思ったわけではなかったが、玄関に猫トイレを置いてみた。

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母猫は、すんなりとその猫トイレを使った。

そのとき母猫は、少し下痢気味だった。

排泄のあと、母猫は我が家のソファーベッドで、安心したように眠った。

母猫の慣れ方

母猫は、私に撫でさせるようになった。

家の中に入ろうとしたこと、家の中で昼寝したこと、猫砂トイレを使ったこと、

母猫は、やはり、生まれつきの野良猫ではないのかも知れない。

成猫になった証しの妊娠で、捨てられる羽目になったのだろうか。

この母猫には、肋骨としっぽに曲がりがあった。

しっぽは「かぎしっぽ」という種類かも知れないが、肋骨の曲がりは野良の生活で交通事故にでもあったのか。

毛づやがよくなってから見ると、母猫は目の美しい、口元の斑点模様が可愛い猫だった。

飼い主の引っ越しとか、早い妊娠とか、よほどの事情があったのだろう。

猫のような無垢で小さい命が、捨てられるシーンは想像するだけで切ない。

子猫のそれぞれの慣れ方

数日で、母猫と灰色は、毎日家の中で昼寝するようになった。

続いて母似も、たいてい一緒に家の中で昼寝するようになった。

黒猫だけが、まだ庭と温室と車庫にいた。

その黒猫も、日を追うごとに少しずつ家の中に入るようになった。

子猫が3匹とも家にいると、母猫は安心するのか爆睡した。

野良猫が家猫になる

秋になり、私は例年のように炬燵を出した。

肌寒い日や雨の日、母猫は私の膝と炬燵布団に乗って丸まった。

母猫は、のども撫でさせるようになり、堂々と私の膝で眠った。

猫にとって、安眠場所と餌と安全な排泄場所が、とても重要そうだ。

母似も私に慣れて、私の手にじゃれついて遊ぶようになった。

ついに、猫は家猫に、私は猫の飼い主に、なった。

この先、どうやって4匹を飼っていったらいいのだろう。

初めての経験に、不安もあった。

猫の名前

4匹に名前が要るかと思い、その役割と毛の色から、それぞれ「お母さん」「灰色」「母似」「クロ」と名付けた。

猫は、飼い主の声色やイントネーションに反応すると聞く。

4匹が、それぞれ自分の呼び名を聞き分けるのかどうか、私には分からない。

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