子どものことばの発達をうながす教材を作る中野尚彦の「文構成行動の図式」

この記事は約4分で読めます。

梅津八三の「心理学的行動図」で人の行動調整を紹介し、「言語行動の系譜」でことばの発達の仕組みを見て来ました。

その上で、子どものことばの発達の今をとらえて、子どものことばと行動をさらに発達させる教材を作りたい。

今回はそれを可能にする、中野尚彦の「文構成行動の図式」を紹介します。

中野尚彦『心理学評論』Vol.30 No.1特集:象徴行動「文構成行動の図式」1987年(7~32頁 ) 京都大学文学部心理学研究室 心理学評論刊行会 ¥1500 バックナンバー http://www.sjpr.jp/ で注文可能

文構成行動の図式とは

赤ちゃんはおっぱいを飲んだり、手が使えるようになって、手づかみでご飯を食べたりします。

そういう摂食行動を一番初めの行動として、立体玉入れ、平面填め板、線図形文字、量と数字の一致、最後には、作文を書いたり、算数文章題を解いたりする学習に到ります。

その進展の構図を、内包的対応関係、象徴的対応関係、外挿的対応関係、の3つの対応関係で概観したのが、文構成行動の図式です。

1.内包的対応関係とは、足にぴったりの靴を選ぶ、丸い穴に丸い木片がぴったり填まるような、1対1対応の関係です。

2.象徴的対応関係とは、飲む身振りで水分を要求するような、似ているイメージを結び付ける関係です。

3.外挿的対応関係とは 、「実物の👁」と「文字の」と「音声の」は、姿かたちは全く違うのに、目という意味で同じと考える、似ていないものを関連付ける関係です。

中野の語る3段階の「対応関係」については、猫ちゃんブログの以下でも投稿しています。

信号系と対応関係の座標軸

今回は、梅津八三の「言語行動の系譜」を横軸に、中野尚彦の「対応特性」を縦軸に、2つの関係性を考えた座標軸から、子どもの発達に合う教材を作れると、考えました。

子どもが今、どんな行動や言葉が活発か、子どもの行動をよく観察して、梅津八三の5つの信号系で考えます。

1.行動全体が言葉となっている自成信号

2.何かしらのイメージを持って考えている表内系信号

3.イメージを合図として脳外に出す、身振りなどの表出系信号

4.子どもたちの大好きな標識やお店のロゴマークなどの形態質系信号

5.点字・指文字・音声などの分子合成系信号

梅津の5つの信号系の出典は 「言語行動の系譜」『重複障害児との相互輔生』東大出版会1997年179~205頁です。

ことばを発達させるには、

①「子どもの活発な信号系はどこか?」

➁「その発達に合う教材は?」

③「どんな教材を工夫するか?」

それぞれ、画像一覧でご紹介します。

①子どもの活発な信号系を見定める

①「どのことばの発達のあたりにいるか?」

➁その発達に合う教材は?

1.子供の行動全体が言葉となっている(自成信号)➡内包的対応関係の教材

2.何かしらのイメージを持っている(表内系信号)➡内包的対応関係の教材

3.身振りのような合図を持っている(表出系信号)➡象徴的対応関係の教材

4.ロゴマーク等の記号を見分ける(形態質系信号)➡象徴的対応関係の教材

5.文字が分かる・音声がある等(分子合成系信号)➡外挿的対応関係の教材

ではないかと、仮設します。

その仮説を、座標軸で図にすると、以下のようになります。

➁「子どもの発達に合う最近接領域の教材は?」

③「どんな教材を工夫するか?」 

これまで、このブログに投稿してきた、様々な教材の画像の中から、いくつか、代表的な教材を載せてみます。

③「どんな教材を工夫するか?」

玉入れができれば文字までわかる、 子どもの興味ある確定域と、 ぴったり填まる内包的対応関係を生かして、子どもたちが喜ぶ教材をこれからも作りたいものです。

発達心理学は、梅津八三の「心理学的行動図」と「言語行動の系譜 」および中野尚彦の「文構成行動の図式」で完成すると考えています。

 

硬いお話は、次回が最後になります。

次回は、教育心理学は、木村允彦の「生活体」と、梅津八三の接近仮設で完成する、というお話を投稿したいと思います。

その前に、野良猫のなぞなぞちゃんが、2021/8/11に現れたので、 なぞなぞちゃんの出現を先に書きたいと思っています。

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  1. こすもす より:

    猫ちゃん様
    「梅津八三の『言語行動の系譜』を横軸に、中野尚彦先生の『文構成行動の図式』を縦軸に、2つの関係性を考えた座標軸から、子どもの発達に合う教材を作る。」
    という「猫ちゃん様」の考案された関係図。

    私は、障害児乳幼児の療育を仕事としているものです。
    今、子どもが、どのくらいの言語発達のレベルにあるのか?
    そのレベルを把握した上で、どのような教材でかかわればいいのか?
    この関係図によって、大変よく理解できました。
    この関係図に照らし合わせて、
    発達段階を考慮した上で、
    その子どもに一番適した教材を考え、作成し、
    子どもとかかわっていこうと思いました。
    非常にわかりやすくご説明くださり、
    すぐに明日からの教材制作に役立つ関係図を
    投稿してくださり、
    深く感謝申し上げます。
    ありがとうございました。
    by こすもす

    • 猫ちゃん猫ちゃん より:

      こすもす様
       コメントありがとうございます。
       熱心な読者さんで、私も励まされます。
       わいひらさんのCocoonにもご寄付くださり、感激です!
       私の私見をこすもすさんのお仕事に生かしてくださるとのこと、ブログ作成者冥利に尽きます。
       こすもすさんの係わる子どもたちの笑顔が浮かびます。
                 🐈 猫

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