学校に魅力を感じなかったり、勉強が難しくてわからなかったり、学校の先生や友達関係でストレスがあると、登校を渋る子どもさんがいます。
登校渋りは、子どもの身の守り行動だと理解してください。
子どもの気持ちの味方になることが、環境への適応を形成するスタートです。
今まで出来ていた事が出来なくなったと考えないで、今のゼロの状態から+1+2+3と、適応を一緒に作っていくのだと、考えてください。
基本的には、将来の不安を語らず、今の不適応を嘆かないで、すでに過去となったことについて、認める言葉をかける、できるようになったことを言葉にすることです。
下の図の、左半分の声かけが、とても大事です。
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興味がないこと、自信がないことは、誰でも回避する
子どもは自信がなくて、学校で起きる新しいことや、適応できない不安を、避けようとしています。
不安で億劫なのに、不安で億劫な将来を、「頑張れ、頑張れ」と言っても、踏み出しは難しいです。
今、学校が、不確定域であれば、確定域を思い出してもらう他ありません。
あるいは、確定域がなければ、一緒に確定域を作るしかありません。
確定した過去のことを言葉にする
過去に行なったこと、過去より成長していること、すでにしたこと、やったこと、とても良くできること、得意なこと、好きなこと、確定したこと、確定域に声をかけて、自信を形成します。
どうしても、今や将来について、声をかけねばならない時は、「何々かなあ」とつぶやく程度にします。
あるいは、「何々だといいねえ」とか、「こうだとお母さんも助かるなあ」とか、後ろ姿でつぶやきます。
認めて褒める時は面と向かって言葉ではっきり言う、 こうしてほしいと親の願いを語るときは命令でないように、「こうだといいなあ」とつぶやくのです。
これは親子関係だけでなく、夫婦関係や、仲間関係にも通じる 、相手を支える時の接し方です。
具体的な言葉のかけ方を見ていきましょう。
言葉をかける時、常に頭に置くのは、
①過去のことを認めて言う、
➁現在のことは億劫だね・面倒だねと共感してつぶやく、
③先のことはわかんないが味方だよと基地になる、の3点です。
朝、布団をかぶっていてまだ起きない時にかける言葉の例
今、起きないことに声をかけず、すでによく寝ていたことに声をかけます。
確定している事実に、言葉をかけてください。
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静かなやさしい声で、「おはよう。」(しばらく待つ)
「昨夜は、なかなか寝付けなくて、今朝は睡眠不足かなあ。」(見守る)
「よく、眠れたみたいだね。」(見守る)
「ぐっすり眠っていたね。」(見守る)
「カーテン、開けとくね。」(見守る)
「閉めて」と言われそうなら、カーテンを開けて、すぐに立ち去る。
子どもの拒否の場面にとどまらずに、お母さんのなすべき朝の用事に移動してください。
「ご飯、できてるよ。」(立ち去る)
「卵焼き、あるからね。」(立ち去る)
「台所で、味噌汁を盛り付けているね。」(立ち去る)
「ギリギリまで、寝てていいよ。」(立ち去る)
「もう1度、起こしにくるね」(立ち去る)
「朝ごはんは、 SOYJOY を車の中で食べられるよ。」(見守る)
「ウイダーinゼリーもあるしね。」(見守る)
立ち去るか、見守るかは、その時の、お母さんと子どもさんの阿吽の呼吸によります。
押した方がいいか、引いた方がいいかは、毎日付き合っている、お母さんに判断力がありますね。
2回目に起こしに行ってかける言葉の例
「目覚めのお水、持ってきてみたよ」
「着替え、出しといたよ、手伝うよ」
「きょうは、体育着でいいのかな」
「車で送るね」
「8時に、一緒に家を出よう」 (立ち去る)
「起きるのに、月曜の朝が、一番、気合が要るね」
「ランドセルのそばに、連絡帳・箸セット・集金袋、置いといたよ」
「テレビのコマーシャルでやってた、身体が目覚めると自然にベッドが斜めに起きる、パラマウントベッドが欲しいねえ 」
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「お母さんも、出かける支度してるね」 (立ち去る)
親が仕事に行く時間になって子どもが登校しないとわかったが、親は仕事に行く時
不登校に触れないで、確定域である生活に触れます。
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「留守番頼むね。」
「猫ちゃんと、遊んでやってね。」
「急いで帰ってくるね、夕飯一緒に作ろう。」
「土曜日に、一緒に作ったカレー、美味しかったね。」
「室内干しの洗濯物、3~4時頃、畳んどいてね。」
自宅にいる昼間の時間帯に、できるだけ家事をやってもらうように、方向づけていきます。
家族の役に立つ活動で、自分の居場所と、自分に自信を持ってもらいます。
それには、登校に触れないで、家事手伝いを頼み、自信の形成の方向を見ることです。
子どもがゲームをしていても、大きな声で、声をかける
帰宅したら、「ただいまぁ」と、顔を見に行きます。
ゲームをしていたら、ゲームに関する言葉をかけます。
「きょうは、どこまで、クリアーできたの?」
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大人は適応して、働けています。
子どもは適応を失って、自分にイラ立っています。
自信がない子どもに、「何で学校に行かないんだ」と、怒りをぶつけても、お互いの気持ちが離れるだけです。
「留守番ありがとう。」
「洗濯物ありがとう。」
頼んだことをやっていないときは、次回について依頼します。
「洗濯物、日曜に、いっしょに頼むね。」
「今から、夕飯、手伝ってくれると助かる。」
手伝いに、キッチンに来なくても、毎日頼みます。
手伝う気にならないことを、責めません。
確定域への言葉かけが、子どもの心に響いたとき、家事を手伝ってくれます。
親が帰宅してから、一緒にスーパーへ買い物に行くのも、夜の外出になって良さそうです。
買い物先の駐車場から、一巡り、10分間、一緒に散歩してもいいですね。
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子どもから、「犬を飼いたい」という希望が出れば、家族で話し合い、お世話係を決めて、夜の散歩や夜の外出のチャンスが増えます。
休日に一緒に過ごせる時、子どものためにその日の仕事を臨時に休める時
親自身が「サボっていた家事をしたいから、一緒に頼むよ。」という言い方にしましょう。
手伝ってもらうときは、小さな部分から、1つだけ、やってもらいます。
はじめは、身体を動かすことが億劫なので、手元でできる片付けや、動かなくていい皮むきや乱切りなどを頼みます。
キッチンまで来てくれない時は、ゲームをしているそばに、ローテーブルとまな板とボールを置いて、ゲームの区切りにやってもらいましょう。
キッチンまでついてきてくれれば、「ありがとう、助かるよ」と褒めて、やってもらいます。
料理を手伝ってもらう
一番初めは、単純で起きやすい行動を頼みます。
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「ピーラーで、きゅうりの皮むき、頼むね。」
「大根・人参・キャベツの乱切り・千切り、頼むね。」
食べたいものを聞いて、会話をします。
一週間の夕食のリクエストを聞いて、会話をします。
おばあちゃんの料理で好きなもの、お母さんの料理で好きなものなどを聞きます。
お母さん自身の、好きな食べ物の思い出を話します。
お料理を一緒にすることで、会話が増えます。
掃除を手伝ってもらう
掃除機を手渡して、1部屋だけ、かけてもらいましょう。
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慣れてきたら、他の部屋もしてもらったり、一人で留守番の時もやってもらいましょう。
掃除機かけができると、洗面台掃除も、風呂掃除も、トイレ掃除も、頼むことが可能になります。
片付け
家族共用の文房具箱や、救急セット、キッチンカトラリー収納ケースなど、狭い範囲の片付けをやってもらいます。
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靴下の引き出し1段分でもいいです。
今いる場所を動かなくていいと、片付け行動は起きやすいと思います。
初めは、お母さんが子どもさんのそばに引き出しを持って行って、「これ頼むね」と整理してもらいましょう。
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片づけ方を知らない子どもには、品物を立てて片付けるとか、大きい物からしまっていくとか、教えながら一緒にやりましょう。
家事の自立は、本人に一生役立つし、本人が家族を持った時にも、とても役立ちます。
学校と同じくらい大事な「家事」を、お母さんが教えられるなんて、素敵!と思いましょう。
回を重ねて、片付け行動に慣れてきたら、キッチンに呼んで、「この場所頼むね」と片付けてもらったり、タンスや棚の場所まで一緒に行って、一緒に引き出しを片付けたりすると良いでしょう。
初めは、見守りと手助けが必要です
子どもが片付けに積極的になってくれたら、「ここを頼むね」と、一人に任せても大丈夫になります。
多少乱雑な片付けでも、手伝ってくれた、活動してくれた、という事を喜んでください。
子どもが家事という行動を起こすことが、第一目的です。
美しく片付けるということが、第一目的ではありません。
起きやすいゲームしかしない子どもが、起きにくい片付けをしてくれた、それは登校や適応に向かう、小さな一歩です。
家族に認められ、感謝されると、自己の存在に自信が出て、昼夜逆転が収まったり、家族と食事をできたりします。
洗濯物たたみを手伝ってもらう
洗濯の一連の行動を、始めの洗濯機から行なうのは難しいので、ゴールからやってもらいます 。
座ったままでやれる、洗濯物たたみです。
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タオルやバスタオルのような、たたみ方が決まっている簡単なものから始めましょう。
教えた通りでなくても、四つ折り、八つ折りができたら、褒めてやってください。
靴下の2つを1足に揃える、下着、 T シャツ、ズボンなど、隣に並んでたたんで見せて、真似してもらいましょう。
この時、ケチをつけない、文句を言わないことが重要です。
まずは、してくれたということを大事にし、美しさや丁寧さのコツの言語化は、ずっと先の目標にします。
子どもに聞かれたら、「こうするのがコツだよ」と、たたみ方のコツをすぐに教えても構いません。
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一緒にやってくれたら、「ありがとう」「助かる」「気持ちいいね」「嬉しい」とたくさん褒めましょう。
そして、手伝ってくれて嬉しかったことを、夜、家族全員に、伝えましょう。
家族みんなのいる時に、こんな風に役に立ってくれた、と報告するといいです。
恥ずかしがり屋さんは、本人がいない時に言えばいいです。
洗濯物たたみができれば、スタートの洗濯機操作にも、取り掛かれる可能性があります。
調理、掃除、洗濯、片付けは、どれも、職業に結びつきます。
You tube の利用
また、You tube が好きな子どもさんなら、家事のやりかた情報も You tube でいっしょに見るといいです。
子どもの好きな確定域と、大人がやってもらいたい家事とを、結合させます。
You tube をいっしょに見て、並んでする会話が大事ですね。
留守番の時に見てもらって、教えてもらうならば、
「水アカの取り方を You tube で調べて、どういう洗剤がいいか、教えて」と頼むといいです。
今どきは、調理も掃除も洗濯も片付けも、 You tube にアップされている時代かと思います。
片付け、掃除、料理、買い物、それらを一緒にやる中で、親子の絆も深まり、認められて、家族に役立つことに自信が持てれば、「学校に行ってみるかな」というつぶやきが、きっと子どもから生まれます
登校を渋っていても登校して帰宅したとき
「お帰りなさい。」
「学校、お疲れ様。」
「一番大変な、月曜日が終わったね。」
「きょうは、なにかいいことあったかなあ。」
「ママは、きょう、スーパーの野菜が安くて、やったあ!と思った。」
「いっしょに夕飯作ろう!」
「すき焼きがいいかな、肉野菜鍋がいいかな?」
「野菜洗い、手伝ってね。」
本人がキッチンに来ないときは、そばまで行って、野菜のカゴを手渡します。
一緒に作業しながら、「きょうは何が楽しかった?‥‥‥あるいは、いやだったこととか‥‥‥」特に答えは要求しません。
「ママは、‥‥‥」自分の話をしても良いです。
「授業で発表したんかな?」
「いま、算数は、何を 習ってる?」
「あとで、教科書見せてね。」
「ふーん、割り算か、難しそう。」
「ママだと、絵を描いて考えないとわかんないなあ。」
「夜、国語の教科書、貸してね、ママ、読みたい。」
子どもの生活世界に、自分の生活世界を、できるだけ重ねるようにします。
国語の教科書に物語も載っているので、短時間に読めるし、大人でも読むと楽しいです。
あらすじや感想なども会話で話せますね。
登校を渋りがちな子どもを元気にする言葉のかけ方のまとめ
こんなやり取りを可能にするには、 登校に触れないで、家事手伝いを頼み、自信の形成の方向を見ましょう。
いつ登校してくれるのか、将来の不安を語らず、今の不適応を嘆かないで、家事手伝いや、したこと・やったことについて、認める言葉をかけましょう。
すると、子どもの方から、「やってみようかな」「こうなら、ここなら、行けるかな」というつぶやきが出てきます。
家事、家族、家庭が、自己存在の確定域になり、家庭で自分に自信が持てれば、何かしらの新しい適応が生まれます。
気に入った言葉かけから、始めてみてください。
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