猫にも人にも、心理学者梅津八三のいう「確定域」は大切です。
確定域とは、安心できる領域、好きな領域ですね。
野良猫クロちゃんを猫捕獲機で捕まえてから、1年6ヶ月経ちます。
1年目、クロちゃんにとって我が家は、危険な場所、「不確定域」でした。
不登校の子どもたちにとっては、学校が「不確定域」になっている状態ですね。
私は、クロちゃんにとって危険な人間、クロちゃんの自由を奪って、閉じ込めた人間です。
好きな場所で寝て、好きなものを食べていたクロちゃんを捕まえて、人間の私の価値観で快適にしようと突然のおせっかいをクロちゃんに浴びせたのです。
クロちゃんの確定域の遊びの共有
クロちゃんの確定域はもちろん、クロちゃんがこれまで生活してきた 外の世界です。
我が家はクロちゃんの不確定域。
不確定域での暮らしを、クロちゃんはどう思っているのか、それを考えさせられた、この1年6ヶ月。
1年目。
クロちゃんは、外に出たくて鳴く。
外に出たくて、長い時間、8の字周りをする。
外に出たくて、1階のフロアじゅうに、半年以上マーキングスプレーをする。
2年目。
「外の世界が確定域だ」という、クロちゃんの叫びを聞きながら、なんとか我が家で野良猫と人間がうまくやっていけないかと、あれこれしました。
犬用トイレ4つ、猫用トイレ6個を設置したら、今ではそこにマーキングしてくれます。
最近では、私がいても、我慢しないで、トイレの姿を見せます。
クロちゃんと仲良くなるには、クロちゃんと遊んでやることが、一番有効でした。
猫でも人でも、場所の共有、時間の共有、楽しみの共有が大事なんですね。
クロちゃんと鳥の羽で遊ぶようにしてから、壁や床へのマーキングスプレーが全くなくなりました。
最近のクロちゃんは、「遊ぼう」という風に私を振り返りながら先を歩いて、私を奥の部屋へ誘導して行き、待機の姿勢をとります。
振返りと確認は人間の子どもの場合でも、「社会的照合」と言って、社会性への大事な一歩なんですね。
昨日は初めて、クロちゃんがゴロンと横になり、私が鳥の羽の棒で背中をさすっても全く逃げませんでした。
半年くらい前は、鳥の羽の棒でちょっとでも身体に触れると、クロちゃんは飛び上がって逃げたのに………。
背中を向けてはいるけれど、クロちゃんが少し、心を許してくれたのかと、嬉しかった。
弱い力ですが、鳥の羽の棒で何度も何度もさすると、クロちゃんの長毛が抜けて、お尻の方に溜まります。
これで少しクロちゃんの、冬毛のお手入れのお手伝いができそうです。
今朝も床にクロちゃんの嘔吐物があり、よく見るとその中に5cmくらいの毛玉の塊が吐き出されていました。
冬毛から 夏毛への換毛期ですね。
不登校の子どもたちの得意な確定域を不確定域の場所に持ち込もう
クロちゃんと仲良くなる経緯を振り返り、不登校の子どもたちの「不確定域」「確定域」についても考えさせられます。
学校が不確定域になってしまった子どもたちにとって、確定域は安心できる家庭です。
その安心できる家庭で、ギターでもピアノでも、イラストでも折り紙でも、料理でも工作でも、球技でもダンスでもいい、何か得意なことを家族と共有します。
そしてその得意なことを、学校で用意してもらった相談室や、情緒特別支援学級に持ち込みます。
作品を先生に見せたり、得意なことを先生と一緒にすることから、始めてみませんか。
学校への登校が無理なら、初めは適応指導教室や通級指導教室でも良いでしょう。
1人で行くことが不安ならば、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、おじさん、おばさんがお休みの取れる日に、交代で一緒に、半日ずつ行ってくるのはどうでしょうか。
㈮だけ行く、㈬㈮だけ行く、㈪㈬㈮と行く、という具合に増やしていけると良いと思います。
お家でお弁当を作って、お弁当を見せに行って、食べて帰ってくるだけでもいい。
ポケモンカードの好きなお子さんなら、ポケモンに関する、ありとあらゆる楽しいことを企画したいですね。
1996年、ポケモンは151種類でスタートしたのですが、今ではポケモンは898+898種類あります。
小学校高学年の子どもさんだったら、これを早く計算する方法を、先生と一緒に算数問題で楽しめます。
900+900ー4= です。
ポケモンカードを一緒に整理したり、ポケモンの絵を描いたり、ポケモンの歴史を調べたり、ポケモンを仲間分けしたり、カードの値段を計算したり、販売店の地図を作ったり、カードを購入するためにはどんなアルバイトをしたらいいか話し合ったり、など色々なことにつなげられます。
好きなこと、得意なことを共有して、家庭という確定域から、家庭以外の不確定域でも新しい関係を作り出す、それがいきいきと暮らしていくきっかけになります。
子どもたちの好きなことに注目して、確定域を一緒に広げてみませんか。
確定域が、子どもたちの笑顔や自信につながります。
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