得意なことと自己肯定感があれば生き抜ける

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教育仮設No.14「確定域」(梅津八三)

これまで何度か、心理学者梅津八三(うめずはちぞう)の言う、「確定域」について投稿してきた。

「確定域」とは、その人が最も得意とする領域、基地になること、趣味、特技、夢中になること、取り掛かりやすいこと、安定して起きること、満足して自全態に至りやすいこと、自己有能感を持ちやすいこと、生き生きとできること、 などと言い換えることができる。

育児に保育に教育に 仕事に介護に役立つ 人との接し方

引きこもりの人の得意なことを形成する方法

引きこもりの方たちの雑誌「ひきポス」

インターネットで、「#こもりびと」と引くと、NHKのサイトに行ける。

引きこもりに関する記事は、2018年の5月5日から始まっていた。

関連記事として、不登校や発達障害についての記事もあった。

私は小児科や小中学校で、15歳までの子どもたちに係わることが多いので、これまで引きこもりについては、ほとんど関心を持たないできた。

偶然、 NHK テレビで「こもりびと」について見て、少し関心を持った。

NHK テレビの ETV 特集で「引きこもりの文学」という番組を見た。

引きこもり当事者本人による、朗読とドキュメントの番組だった。

番組では、当事者本人たちの手記の雑誌「ひきポス」(ひきこもりポスト)を発刊するための、引きこもりのグループの編集会議の様子が紹介されていた。

「ひきポス」は、例えば「引きこもりの健康、引きこもりのお金 」などのテーマについて、当事者それぞれが、思うところを執筆して投稿する雑誌である。

編集会議に出かけて来れる引きこもりの方と、パソコン➡プロジェクターでリモート参加の方とがいた。

集まって、「ひきポス」の次の特集を何にするか、誰が書くかを話し合っていた。

引きこもりという、同じ境遇の方達が集まる安心感のためか、引きこもり経験者の編集長さんの人柄のためか、NHKテレビ取材という高揚感のためか、割合和気あいあいとした、普通の趣味の会の談笑に思えた。

自室引きこもりでなく、出かける引きこもりが、とても良いと思った。

自室引きこもりの期間が、大変だったのではないかと思う。

不登校時代から文章を書いていた

3人の方のドキュメントと朗読が印象的だ。

3人とも小学校からの不登校があった。

3人とも30歳代~40歳代で、不登校と引きこもりの歴史が長い。

ドキュメント内で話す言葉や、それぞれが執筆した文章を朗読する場面では、難しい言葉も散りばめられ、知性の高さがうかがわれた。

3人とも、感性が鋭く繊細だ。

過去には、職場適応への挫折が、それぞれにあった。

一人は、小学生時代から、身体と心の一体感に数センチの分離の違和感と、自分の顔の表情に対する違和感があり、それへのこだわりが見受けられ、それを詩にしている。

3人とも、自分への関心が強く、外に開きにくく、対人関係が苦手に思われた。

自閉スペクトラム症、強迫性障害、気分障害、統合失調症、などに似た症状を感じさせる。 

3人とも現在は、一人暮らしをしている。 

障害年金を受給している。

文章を書いて、「ひきポス」に発表し、自分の存在をささやかに公開することができている。

一人暮らし、障害年金の受給、自分を文章で公開する、そこに至るまでには、本人と家族に辛く苦しい年月があったことが想像された。

引きこもりと聞くと、親御さんが一生懸命アプローチしても、家族との関係も断って、自室から全く出てこない引きこもりの方が、多いように想像していた。

今回の3人は、引きこもり歴が長いことと、現在は、文章を書いて自分を公開できるという方だけあって、同じ境遇だった編集長さんや、同じ境遇の仲間には自己開示できていた。

2人は、家族関係についても語っていた。

一人は、当事者本人が、「病院を受診したい」「自治体広報の障害福祉課のひきこもり支援の記事のところにに電話してほしい」と望んでも、家族の協力が得られなかったそうだ。

親が亡くなってから、福祉につながることができ、障害年金を受給できるようになった。 

もう一人の方は、「精神科の医師に会ってほしい」と、親に同席を頼んだが、叶わなかったそうだ。

お二人のケースでは、我が子のために医療や福祉に繋がろうとしない保護者の方にも、対人関係の苦手さが見受けられる。

おそらく保護者の方も、当事者にどのように関わったら良いのか分からず、 関係が取れていないことに引け目を感じて、親も自己開示できず、我が子の医療や福祉に踏み出せなかったのかもしれない。

確定域が生命活動を支える

この3人の方は、小学生の不登校の頃から文章を書いていたらしい。

偏見かもしれないが、私は個人的にゲームというものに対しては、消費的な感じを持っている。

私が買い物依存症だったのと同じに。

しかし、文章を書くということは、とても生産的な気がする。

0から生み出している感じだ。 

3人の方が自殺せず、生きているのは、この執筆があったためではないか。

書いて、そこに感情表現することで、自分を保つことができたのではないか。

書くことが、起きやすかった方なのかもしれない。

福祉につながることで、「ひきポス」という居場所を見つけ、執筆と自己開示をできるようになったことは、かけがえのない「適応」だと思う。

この3人の方に、自分について書くこと、という「確定域」があって良かった。

文字を覚え、文章を書く、学校教育の価値が、ここにもある。

3人の方を生かしている支えが、文章を書くことだとすれば、教育に携わる者として嬉しい。 

福祉に繋がり、ひきポスに繋がり、「僕はここで生きています」と叫べるようになってよかった。

確定域とは、個人の生存証明、という気がして来た。

大ちゃんはJR通勤電車211系が確定域

そうであれば、子どもたちがこだわる趣味を、いっそう大切にしたいと、再確認した。

子どもの確定域を保障し、共感し、同行して、笑顔を見たいと思った。

大ちゃんはJR通勤電車211系が3歳のころから好きだ。ダイソーの木製パズルに電車のコピーを張り付けた。
ユニクロカスタマイズ(UNIQLO CUSTOMIZE)にネットから画像送信注文して、ユニクロTシャツに電車211系の写真をプリントしてもらった。喜んだ。
2年後も、電車211系のTシャツが欲しいと要求してくれた
トイザらスでプラレール211系を販売しなくなったので、ダイソーの3両編成山手線のボディーに、蛍光マジックでオレンジラインとグリーンラインを描き足した。喜んだ。
過敏や自傷があり、帽子・マフラー・イヤーマフをしている。

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