中学生・高校生の生活リズムを立て直す方法

教育仮設No.16-1 起立性調節障害

小児科の外来では、不登校の相談を受けることがある。

まずは医師が、身体に問題がないか、問診し、検査をする。

貧血がないか、起立性調節障害がないか、などを調べる。

成長期の中高生に貧血があると、意欲がわかないことがある。

中高生に鉄分は大切だ。

嫌いでなければ、ほうれん草やレバーを食べてほしい。

嫌いであれば、今時は、チュアブルの鉄分サプリメントもあるし、お米に混ぜて炊く鉄分米・葉酸米もある。

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睡眠にはビタミン B 6や B 12も関係している。

ハウス食品のサプリ米にはそれがある。

野菜嫌いの子どもは多いので、毎日のお米に混ぜて炊けば良い。

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起立性調節障害は、医師が起立テスト・血圧・脈拍などの検査を行なう。

症状は非常に辛いものらしいが、この症状がない大人にとっては怠け病に思えてしまう。

最初に大人が辛さを分かってやれないと、子どもは心を閉ざすか、荒れる。

起立性調節障害という病名がはっきりすることで、本人も一安心し、保護者も納得できる。

ミトドリンのような昇圧剤が処方され、医師による定期的な問診と投薬治療が行なわれる。

教育仮設No.16-2 心理士の提案する生活リズムの立て直し

医師の依頼で、心理相談も行なう。

心理士が、生活リズムの立て直しに協力する。

若い本人だけでは難しいので、家族の協力が欠かせない。

本人は意欲が低下しているので、物理的な工夫が非常に重要だ。

保護者の接し方で言えば、道具環境を整え、口よりも、手を貸すということである。

道具環境を整え、手を貸すという、保護者の実行能力が問われる。

仕事や家庭生活に適応している大人にとっては、口よりも手を貸すということが結構難しい。

つい、口だけで、「ああしろこうしろ」と言ってしまう。

口で言うことが簡単だからだ。

子どもが適応を失っているときは、子どもの精神力を問うても、子どもはそれに応えることが難しい状況である。

起立性調節障害があれば身体的に、起立性調節障害がなくても心理的に、環境に適応する力が足りなくて億劫なのだ。

いっぱいいっぱいで、オーバーワークで、燃え尽きてしまったような状態だと思う。

朝から元気な人、月曜日から学校や会社が楽しい人には、適応を失った人の心理状態の想像が難しいかもしれない。

例えば私の休日の1日で言うと、昼12時頃までは楽しい。

ゆっくりのんびりできるからだ。

午後2時を過ぎると、少し寂しくなる。

もう、お休みが終わってしまう、と思う。

明日仕事だと思うと、憂鬱になる。

例えば2日間の連休でも、初日は楽しいが2日目の夕方は悲しくなる。 

老化で体力を失って、一層そう思うようになった。

学校が億劫な子ども達の、気持ちがとてもよくわかる。

エネルギーがたくさんある元気な人には、わからない心理だ。

楽に適応している人からの叱咤激励でなく、疲労やオーバーワークを分かってくれる家族の同意肯定の言葉かけが、初期に大事だと思う。

心理学者 梅津八三の言う、現勢の保障、共感と同行である。

教育仮設No.16-3 起きやすいことからチャレンジしてみる

生活リズムの立て直しは、難しいところから取り掛かっても無理だ。

「朝早く起きなさい。朝早く起きないから、1日がダメになるのよ」 などと言わないことである。

朝早く起きることは、結果として、最後に起きる。

その手前の、起きやすいことからチャレンジしてみることが近道なのだ。

学校や会社に適応できている人は

1番に早起きをし

2番にご飯を食べ

3番に会社へ行って、外側に合わせて疲れ

4番に夕飯を食べ、お風呂で身体を癒し、眠くなって

5番に早寝できる。

上記は、適応できている大人が考える順番だ。

適応を失った人にとっては、その逆からが起きやすい。

1.酸素運動が血流を改善し、良い睡眠をもたらすので、夕方や夜あるいは入浴前に、家族と一緒に、早足歩きを10分行なう。 

2.40℃の浴槽に10分つかり、身体の深部体温を1℃上げて、良い睡眠を作る 。

3.入浴後は、脳を活性化させてしまうスマホ・ゲーム・パソコンに触れないで、 水分を取って調光を落とし、明日の学校の準備をするうちに、ほてりが取れたらベッドに入る。

4.カーテンは70 cm から1 m くらい開けておく。朝日で自然に目覚めるためである 。

5.学校に間に合うギリギリの時刻を2つの目覚ましにセットする。目覚ましは手の届かないところへ置く。 家族にも声をかけてもらう。チャレンジの1週目週目は遅刻しても良い。家族に車で送ってもらうことも良い。家族にチャレンジの努力を認めてもらうと、やる気になる。

6.朝ごはんを食べると深部体温が上がり、夜の睡眠を作る。時刻がギリギリであれば、朝ごはんは、調理しなくても短時間で食べられるタンパク質を摂る。高タンパク・低糖質は、多動な子ども・切れやすい子どもを落ち着かせ、脳を働かせる効果がある。プロテインバー・カロリーメイト・ SOYJOY・ウイダーinゼリー・バナナ・みかん・低糖質パン(これは賞味期限が1か月半くらい日持ちする)・紀文の切れてる卵焼き・納豆・DHA魚肉ソーセージ・豆腐スイーツ・プロテインシェイクなど。 

短時間でも食べられる、好きな味や、好きな固形・液体で。
朝ツルンと食べやすい豆腐のスイーツ
プロテイン(タマチャンショップ¥3000)を牛乳や豆乳でシェイクする。真ん中は塩分30%減のマルハDHA魚肉ソーセージ¥300。右は、こなゆきコラーゲン(タマチャンショップ¥1000)

7.休日もお昼まで寝ていないで、平日と同様に起きて、朝ごはんを食べ、有酸素運動の早足歩きを家族と一緒にする。家族と一緒に買い物に出かけたり、家事を手伝ったりして身体を動かす。

8.かるたやトランプ・オセロや将棋などのアナログゲームを、目を見て表情を読んで家族と共にし、夕ご飯の調理や片付けなどを手伝い、魚や肉などのタンパク質を夕ご飯に摂る。そして有酸素運動と浴槽入浴を行なうと、質の良い睡眠によって、朝の起床が早まるようになる。

9.早く目覚めれば、ゆっくりと朝ご飯を食べられる。

以上のような、生活リズムの立て直しのアドバイスを中高生と家族に行なっている。

1日の生活記録表を1年間毎日つけてもらうケースもある。

毎月1度、チャレンジが難しい項目は、どうしたらそれが起きやすくなるかを相談し、変更していく。

生活記録表

本人が実行できるかどうかは、家族の物理的な支援と、認める言葉かけによる。

家族の物理的な支援では、短時間で食べやすい好きな朝ごはんを用意したり、質の良い睡眠のために枕(カタログハウス通販生活のメディカル枕がおすすめ)を変更したり、寝具(ニトリの寝具が良質で安くておすすめ)を変更したり、エアコン調節や加湿を欠かさないようにする。

応援する家族は、我が子が登校適応を失ったと考えないで、「生活への適応をゼロから形成する」といつも考えるようにする。

ゼロから作るのだから、責めなくてもいいし、嘆かなくてもいい。

ひとつできることが増えたら、それを一緒に喜べる。

それが大切だ。

教育仮設No.16-4 部屋の片付け

中高生の部屋の片付けなどについても、親離れする思春期の本人の気持ちと、清潔にしたい保護者の願いの「間を取る」ようにする。

プライバシーを尊重したがる思春期の本人が、部屋にいない時に勝手に片付けるから嫌がられる。

そうであれば、本人が部屋でゴロゴロしている時に、毎週一回、目の前で掃除機をかければ良い。

最初の行動というのが誰しも起きにくいので、半分家族が掃除機をかけたら、掃除機を手渡して、残りの半分を本人にさせたら良い。

中高生の部屋でゴミが散乱すると保護者が言うが、ゴミを入れるポリ袋を、机やベッド、パソコンやゲーム機のテレビのそばに、ダイソーのはがせる養生テープで留めたら良い。

夕ご飯の時に、「ご飯だよー。ゴミ袋を持ってきてねー」と呼ぶ。

ゴミを入れるポリ袋を机にダイソーのはがせる養生テープで留める

「全くもう、片付けないんだからぁ」とガミガミ言わずに、子どもの行動が起きやすいように、物理的な工夫をしてやることが大事である。

片付けたいお母さんの気持ちと、面倒な子どもの気持ちの、中間を助けるのが物理的な工夫である。

物理的な工夫を保護者が実行できるようになると、やる気の起きにくい子どもを責めなくて済むようになる。

責めなければ、子どもは物理的な工夫には、必ず乗ってくる。

まず一つ、何か起きやすいことから、お試しされたい。 

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