
17 お母さん猫の喧嘩
お母さんは子猫を守る本能か、よそ猫には「ファーッ」と怒ってなわばりを主張する。
1回目のけんかは私の留守に起きた。
温室のガラスが欠ける割れるほどの闘いだった。
2回目のけんかは、翌年、お母さんが額に一撃を食らって傷を作って帰宅した。
3回目のけんかは私も目撃したが、すぐ南のお宅で起きた。

お母さんのけんかの鳴き声が聞こえたので行ってみると、よそ猫とお母さんの一騎打ちだった。
駆けつけた私の「お母さん」という呼び声に強気になったのか、お母さんは不利そうな相手に負けん気で挑んだ。
避妊手術で毛の薄くなった一番柔らかいお腹に一撃を食らって、お母さんの白い毛がたくさん抜けた。
お母さんは逃げなかった。

逃げたのはよそ猫だった。
お母さんは勝利して、縄張りを守ったのだ。
一緒に帰ってお母さんのお腹を調べると出血はほとんどなく、毛をごっそり搔き取られただけだった。
お腹の細い傷もお母さんは舐めて治した。
猫は舌で舐めて何でも治す。

しかし猫のザラザラの舌であごなどを舐められるのは私でも痛い。
ザラザラの舌で傷をなめて回復が遅れて困る場合は、獣医さんにエリザベスカラーを付けられる猫もいる。
2匹はそれほどのことはまだなかった。
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