ローマ字の歴史とローマ字の役立て方

教育仮設30-1 日本の識字率

日本は、国民が読み書きできる識字率が、99%と高い。

世界には識字率が低い国もあって、エチオピアで41%、 ニジェールで15%だ。

識字率が低い国は、5歳までの乳幼児の死亡率が高い。

識字率は、国民の文化的生活を表わす指標ともなっている。

識字とは、文字(書記言語)を読み書きし、理解できる力のことである。

最近では、読み書き障害≒学習障害=限局性学習症と言われる人の存在が明らかになり、その数は、ひらがな・カタカナで1%、漢字で6%ほどだ。

%の根拠について詳しくは、愛知県立大学大学院人間発達学研究科 東俣 淳子氏の論文「読み書きの発達における研究動向と今後の課題」PDFファイル(2019/7)を参照されたい。

https://aichi-pu.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=3923&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1

教育仮設30-2 読み書き障害

ディスレクシア(失読症、難読症、識字障害、読字障害)・学習障害(=限局性学習症)とは、文字を知ってはいるが、読み書きに苦労している人たちのことで、特別支援教育の対象の方だ。

改めて考えてみると日本の子どもたちは、たくさんの書記言語を覚えなければならない。

数字10字、ひらがな109字、カタカナ109字、漢字1006字、ローマ字107字、アルファベット小文字26字大文字17字、総計1384字である。

英語圏の子どもだと、数字10字、アルファベット小文字26字大文字17字、総計53文字で良い。

たくさんの書記言語記憶を要求される文化で育つ、日本の子どもたちの苦労が想像される。

読み書き障害で悩んでいる人がいたら、可能であれば将来、音声言語だけでやり取りする国に移住して、仕事につけたら良いと思う。

自分の力を活かせる文化圏に移住して、自己肯定感をもって暮らせたらいいと思う。

読み書き障害をバカにされたら、「読み書きのない時代・読み書きの遅れている国に生まれたかった」と言って、威張ってほしい。

いじめる側の人間に「お前と変わりたいよ」と言って欲しい。

読字障害だった岐阜県の神山 忠さんは、全てを口頭の指示でやり取りする、自衛隊に入隊した。

「独自の読字法」を開発し、自衛隊在職中に、短大の夜間で教員免許を取り、後に中学校教員➡岐阜県立 関 特別支援学校の教諭になった。

現在は、福井県総合教育センターで、特別支援教育を担当している。

以下に、小中学生時代~現在までの神山 忠さんの、とても切実な、それでいて楽しいお話が載っている。

セミナー「読むことに困難のある人へのDAISYによる情報支援」 2008年12月7日 (dinf.ne.jp)

教育仮設30-3 ローマ字とは何か

日本の文化と環境の中で、ひらがな・カタカナ・漢字の読み書きを習得した子どもたちは、小学生から中学生にかけて、ローマ字とアルファベットの読み書きを習得する。

ひらがな・カタカナの他に、アルファベットの手前で、なぜローマ字を学ぶのか? 私には疑問だった。

また、ローマ字のカ行がアルファベットのK(イ)、サ行がアルファベットのS(エ)、タ行がアルファベットのT(ィー)と、ローマ字の子音がアルファベットの音に左右されていることが不思議だった。

英語学習について、以下にも投稿してきたが、今回改めて、ローマ字について調べてみた。

中1英語の英単語習得の難しさ

英単語習得の特別支援教育には音節分けとカタカナ振りが必要

ラテン文字(ラテンアルファベット)は、表音文字(音素文字・アルファベット)の一つで、ローマ文字、ローマ字とも呼ばれる。

日本語・アラビア語・ギリシャ語・ロシア語・中国語・朝鮮語は、非ラテン文字だ。

そこで日本で、キリスト教布教の宣教師たちによって、日本語の romanization=ラテン文字化がなされた。

(言語学や英語が専門でないので、私の投稿に不備があれば、コメント欄で教えてください。)

教育仮設30-4 ローマ字の歴史とローマ字を学ぶ意義

ローマ字は、日本に来た外国人が、日本語の発音を覚えるために使用した発音の表記文字だ。

一番古くは、16世紀にキリスト教を日本に伝えた宣教師が、ポルトガル式ローマ字を用いた。

2番目は、18世紀に鎖国の中で貿易をしていたオランダの商人達が、オランダ式を用いた。

3番目は、19世紀にキリスト教を普及させようと来た宣教師が、ヘボン式を用いた。

そのヘボン式が改変され、「日本式」ローマ字ができ、20世紀になって「訓令式」ローマ字が用いられた 。

例えば、富士山は、口頭での呼び方は、「マウント フジ」で、「Mt. Fuzi」あるいは「Mt. Fuji」と表記する。

我々が、英語にカタカナを振るのと同じように、外国の方は日本語にローマ字を振る。

JR の駅の駅名に、ローマ字表記がされているのをよく見かける。

クレジットカードの登録なども、ローマ字氏名を要求される。

この投稿を書いているパソコンのJIS 配列キーボードの入力も、私はローマ字入力だ。

ローマ字の歴史を知ったからと言って、子どもたちのローマ字の覚え方が楽になるというわけではないが、今回私は、ローマ字が、外国の方のための、日本語用の音振り文字なのだと理解した。

日本語を覚えたいという外国の方に出会ったら、単語や文章に、ローマ字を振ってあげたらいいのだな、ということがわかった。

ローマ字を学ぶ時に、このことを私から子どもたちに言えたら、ローマ字習得のグローバルな理由に役立つかもしれない。

参考:訓令式のローマ字表

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