数学の文字式を助走と空間整理で学習する

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小学校の算数は、3年生頃から抽象的になり、難しくなります。

算数文章題は、文章の意味を取れたか? 絵を描いて考えることが、解法のポイントでした。

小学校低学年から、文章の意味を身振りや絵にして、イメージを強化します。

文章=絵によるイメージ=式を立てられる、という仕組みです。

身振りや絵は中継ぎ信号

絵によるイメージが、大人のように脳内作業で行われると、文章から式を直接立てられます。

大人は、文章題を読んで意味を取れるので、身振りや絵を端折はしょってしまいがちですね。

子どもは、文章題の中の数字に気を取られ、数字だけを足したり引いたりしようとして、取り掛かります。

そこで、学校では先生が、学童や家庭では大人が、絵を描いてイメージ作りを手伝うことが重要です。

文章題の意味、イメージが子どもの脳内に描かれたか? その確認が脳外に表出する絵なのです。

算数文章題における、絵のような意味獲得の中間イメージを、心理学者梅津八三うめず はちぞうは「中継ぎ信号」と呼びました。

中継ぎ信号とは、その人が「A=B」の意味を取る時に必要な、中間イメージを指します。

例えば、「りんごが3個」あって、「3」と表記する時に、指型3を作ると「3」と言える場合、

事象🍎🍎🍎🈯が中継ぎ信号=数字表記3、となります。

5+3を暗算でできない子どもは、5の指と3の指を合わせて、指で8と計算します。

脳内作業の暗算に至る手前の、中継ぎ信号が必要な子どもです。

脳内作業がまだ難しい子どもに「指は使いません」というのは、イメージを作るなというのと同じです。

十分、指を使えば、指という中継ぎ信号を卒業し、脳内イメージの暗算に移れます。

その時が来るまで、私は「指を使っていいですよ」と言っています 。

文字式を助走問題と空間整理で助ける

中学校特別支援学級担当の先生に、「数学の文字式をどう教えたらいいか?」と聞かれました。

精神発達年齢は、8歳から9歳くらいの力の中学生です。

「100円の鉛筆5本と、100円の鉛筆3本を買うと、合わせていくらでしょう。」

これくらいの算数文章題を脳内イメージできて、脳外で絵に描けることが文字式の基礎的な力になります。

しかしこの方は、上記の問題の絵は描けず、鉛筆の実物やお金の模型があってはじめて、文章の意味を実物操作で再現し、意味を考えられる子どもさんでした。

この子どもに、✘円の鉛筆5本と、✘円の鉛筆3本を買うと、合わせていくらでしょう」と出題しても、 ✘円という値段の分からない抽象性が難しく思われました。

そこで、その子どもが分かる助走問題から考えてみました。

間違っても、消すことに抵抗の少ない、ホワイトボードとホワイトボードマーカーを使うことが取り掛かりを良くさせます。

動かせる数字タイルで、先生の脳内操作を、子どもさんの脳外操作に可視化することがポイントです。

空間を揃えて見やすくし、助走問題を書いてやります。

初めから全て書いておくのではなく、1行ずつ時間順序で記入して、問いかけます。

🔲の位置に数字タイルを置くか、マーカーで書いてもらいます。

ホワイトボードに時間順序で1行ずつ書いて問います。

助走 5+3 =8

  50+30=80

0をⓧに交換して問います。

   5✘+3✘=8✘

空間を整理してやれば、数字タイルでなくとも、🔲の中に鉛筆で答えを直接記入できる子どももいます。

同時提示・比較照合を使えば減法もやれます。

 5+3=8    5ー3=2      

 50+30=80   50ー30=20

5✘+3✘=8✘  5✘ー3✘=2✘

同様にして、文字式の乗算も、文字式の除算も、同時提示・比較照合・同じ数字を使うことで、文字式の加減乗除算の意味を伝えていきます。

しかし子どもの表情が曇ったら、文字式でない、生活実感のある算数文章題に戻す方が良いでしょう。

中継ぎ信号の強化と脳内イメージの脳外表出化

文字式に取り組める子どもは、抽象的な計算を楽しめる子どもです。

意味を取れないと、その先へ進めない子どもさんには、向かないです。

数学の抽象性を楽しめなくても、それでも何とか、歴年齢の数学の学習について行こうとする中学生たちは、私から見ると尊敬に値します。

数学の抽象性や英単語習得の複雑さに耐えきれず、できるゲームにのめり込み、不登校になる子どもさんもいるかと想像しています。

分からなくても頑張ることの苦痛、それを抱えながらも、部活動やお家のお手伝いで認められ、自分の存在意義の自己肯定感を持って、中学生活を切り抜けていって欲しいです。

歴年齢で区切られた教育制度の小中学生を支えるには、身振りや絵という中継ぎ信号を使って、先生の脳内イメージを脳外表出化し、似ている事象・複雑な事象を、分かりやすく記憶しやすくする特別な工夫が、教師の仕事になります。

身振り・絵・助走問題・空間整理・同時比較・同時提示は、特別支援教育のかなめ

「三角形の勉強をしましょう」と言いながら、先生が身振りで△三角形を作って見せてください。

子ども達にも身振り運動で、再現模倣させてください。

「円の中心・直径・半径・円周」と言いながら、先生が身振りでそれらを表出して見せてください。

先生の動きで注意を惹き、注目させ、子どもたちにも身振り運動をさせ、自分の運動で参加度を高め、運動で記憶を助ける、そういう事象と言葉をつなぐ中継ぎ信号を豊かにして、脳内イメージを形成してください。

「直角・直角三角形・二等辺三角形・正三角形、円の中心・直径・半径・円周」などを身振りで表現できること、絵に描けることが、事象と言葉の記憶を助けるポイントです。

授業のほんの、20秒か30秒です。

指・手・身体の運動記憶を使って、子どもたちに、事象イメージを刷り込んでください。

先生が脳内で考えている言葉の指導を、できる限り脳外で目に見えるように、子どもたちに絵や身振りで提示してください。

大人になって中継ぎ信号の要らなくなった、音声言語活動ばかりの先生方に、脳内の中継ぎ信号を絵や身振りで脳外に見せろというのは、先生方にとっては面倒だと思います。

しかし、発達する子ども、獲得しようとする子どもの脳内思考の仕組みに立って、大人が身振り・絵・助走問題・空間整理・同時比較・同時提示を多用し、どの子にも、何学級でも、特別支援教育の有用性=「脳外化」を体験してみてください。

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