3 猫の二日目
クーちゃんは人懐こくて、翌朝から私の足元に寄って来て甘える仕草をした。
こんなにすぐ懐いてくれるのは、クーちゃんがもともとは家猫で育ったからだ。
12年前、数日間私を威嚇した、野良猫のお母さんの初めとは大違いだった。
野良だったお母さん猫に比べると、クーちゃんの慣れ方は速い。
そして、懐かれるとやっぱり可愛い。
クーちゃんは2階のベランダから外を見たり、窓枠に上ったりした。
雄だからか、13歳とは思えないジャンプ力がある。

わずか2日で、もう我が家に慣れたようだ。
人懐こいクーちゃんは、92歳の親ともすぐに仲良くなった。
母も、クーちゃんを抱いて撫でて、とても嬉しそうだった。
お母さん猫の時と同様に、母は猫の名前を覚えられなかった。
それでも膝に抱いては「猫ちゃん、猫ちゃん」と可愛がった。
抱かれることをあまり好まないクーちゃんも、母には抱かれた。

自分では舐められない背中を母に撫でて貰うと、クーちゃんも喜んだ。
猫の喉のゴロゴロを聞くと、人間のほうが優しい表情になる。
アニマルセラピーという心理療法があることも、頷ける。
2日目の夜、クーちゃんが動物の本性を現わした。
寝しなに、私のベッドに上がり、羽毛布団をかじり始めた。
何だろうと思ってよく見ると、広げた両手でフミフミをしている。
吸てつ行動のなごりで、お母さんのオッパイを思い出したのか。
次に、私のパジャマの袖口を咬み、お尻を持ち上げて攻撃的な表情だ。

去勢済みのクーちゃんだったが、雄の疑似交尾行動にも思えた。
いわき市の保護猫時代には、この激しさはなかったそうだ。
初代猫のお母さんのフミフミは、もう少し静かで優しかった。
クーちゃんは慣れて来たのか、夜には初めての排便もあった。
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