友だちを叩いたりかじったりする発達障害の子どもへの対応

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友だちを叩いたり、かじったりする子どもさんがいます。

保護者も、保育士さんも悩みます。

一番の原因は、言語発達が遅れている場合に、起きやすいです。

叩いたり、かじったりの、マイナスの行動を、やめさせよう、消去しようと思っても、なかなかうまくいきません。

子どもの言語発達には、時間がかかるからです。

言葉の発達を待つには、3年間くらいの時間が必要です。

今すぐできることは、マイナスの行動の消去より、プラスの行動を作ることに、目を向けてください。

多動な子どもさんとは、園庭を一緒に走ろう

保育室を走り回る子どもさんとは、園庭にいる時に、「走ろう」と誘って、10まで数えながら一緒に走ってみましょう。

10まで数えながら走ったら、「ストップ」と行って止まり、手をタッチしてみましょう。

目線が来ないと、手をタッチできないので、大人は子どもの前へ回ってタッチするようにします。

タッチでは反応が弱い子どもさんは、「こちょこちょだぞ~」と言って、くすぐってみましょう。

それが済んだら、大人の方からまた「走ろう」と言って、10まで数えて、ストップしてみましょう。

その繰り返しの遊びを、園庭で15分くらい行ないます。

子どもの遊びの満足は、だいたい15分です。

他の子どもさんも、喜んでくっついて来て、仲間になるかもしれません。

保育室で走り回ることに困る!と思ったら、園庭で一緒に走ってみようと考えてみてください。

保育室で走り始めたら、「ホールで走ろう」「ベランダを走ろう」と、走ってもいい場所へ移動できるといいですね。

年長さんであれば、「走ってきていいよ。戻ってきてね。」と副担任の先生と行ってきてもらいましょう。

言葉の発達が遅れていると気持ちを行動で表します

叩く原因、かじる原因は、言葉の発達の遅れです。

「嫌だ」「違う」「そうじゃない」「僕のだ」「貸して」「貸さない」「僕が一番」「○○ちゃん」「遊ぼう」「ダメ」「やめて」などの言葉を言えずに、行動でしゃべります。

ルールを音声の言葉で言って聞かせても、その子にとっては言葉のレベルが高すぎて行動コントロールに使えません。

言葉の難易度は、以下の図のようになっています。

叩く、かじる子どもさんは、触覚を満たしたいレベルにいます。

触覚運動を満たしたい子どもの、言葉のレベルは、実物のレベルです。

実物のレベルだから、音声の言葉で、「嫌だ」「違う」「そうじゃない」「僕のだ」「貸して」「貸さない」「僕が一番」「○○ちゃん」「遊ぼう」「ダメ」「やめて」と言えなくて、叩いたりかじったりになります。

叩くことも、かじることも、その子どもさんは、行動そのものでしゃべっているのです。

なので、子どもの目の高さにしゃがみ、両腕で大げさに✖印を作って、やや無表情で、「しません」と言います。

怖い顔や、大声で怒るイントネーションは、必要ありません。

怖い顔や大声は、恐怖や強さだけ与え、意味が伝わりにくくなります。

きっぱりとした「しません」だけで良いです。

しゃがんで、✖印を作って、目を見て、禁止を伝えてください。

10秒ほど黙って見つめ、禁止の直後は、「何々をしよう」と、すべきものを手渡して、良い行動を提案してください。

他の子どもさんの迷惑になるようなら、保育室から出て、別室で、副担任の先生と、手で操作する填め板やくもんのくるくるチャイムなど、運動感覚を満たすおもちゃで遊ぶと良いでしょう。

おぎモトキさんのブログからの画像

もちろん、トランポリンやブランコなど、全身の運動感覚を満たせる遊具も、気分を落ち着かせます。

年長さんであれば、その子が一人でできるレゴや、折り紙を部屋の隅でさせると良いです。

仲間と一緒にせず、1人にさせるのは、マイナスの行動による、タイムアウトの意味もあります。

タイムアウトには、1人で落ち着いてください、クールダウンしてください、という意図があります。

謝罪の指導は禁止の次の段階

大人が禁止を伝えた時、神妙しんみょうな顔ができるようなら、次の段階の謝罪に進めます。

しかし、自閉症スペクトラムや知的発達の遅れがあって、禁止すると笑うようであれば、叱責の意味が伝わっていません。

両腕の大げさな✖印と、「しません」だけにしておきます。

謝罪は、次の段階なので、もう少し先の機会に、大人から相手の被害者の子どもに「ごめんね」を代弁しましょう。

そして、叩いたりかじったりした子どもに、ごめんねを真似して言わせましょう。

言葉が難しければ、ぺこりと頭を下げたり、両手を合わせて頭を下げたりさせます。

もちろん、禁止と謝罪がわかるような子どもさんであれば、連続して指導しても構いません。

保護者や先生の脳内の常識を絵に描いて説明しよう

社会ルールを伝える時、先生が、「どうすると良いか」の絵を、紙や地面に描いて、ルールを目に見せながら話すと良いです。

大人の音声の言語レベルを、相手の子どもさんが持っていない場合が多いから、先生の脳内の考えを、絵で見せることで、理解してもらいます。

先日、相談に見えた小学校1年生に、以下のような絵を描いて見せました。

私が絵と文字とを描く間、じっとその絵を見て聞いていてくれました。

これが音声になると、目を見ないとか、話を聞かないとか、言われます。

小学校1年生くらいになると、実物の次のレベル、目で見てわかるレベルになります。

私のような、絵の下手な者が描く、丸棒人間と吹き出しでも、十分わかってくれます。

保護者から聞いた出来事は、上級生の汚い言葉の真似をして、先生に叱られた時、叱られたことが悔しくてドアを足で蹴った。

「今落ち着いて考えると、真似したこと、叱られたこと、ドアを蹴ったこと、をどう思う?

汚い言葉を聞いたら、その場で真似して言うのでなく、黙ってその場を離れます。

汚い言葉は真似しません。

真似する、叱られる、ドアを蹴る、悪いことが3つおきます。

黙ってその場を離れたら、悪いことは0、1つも起きないです。

次は離れるように頼むね。」

これを全部音声の言葉で、大人が一方的に言っても、短期記憶が弱い発達障害の子どもさんだと、出来事そのものを忘れている可能性もあります。

忘れると、自分は悪くないと言い張ったり、嘘をついたりすることにもなります。

また、絵を描くと、大人も落ち着いて話すことができます。

子どもの言葉の発達水準を理解して、一緒に走り感覚運動を満たすおもちゃで遊ぶ、禁止と謝罪、絵に描いてルールを目に見せる、明日から1つ試してみませんか。

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