子どもに自信を持たせるにはどうしたらいいか、子どもの自己肯定感を高めるにはどんな言葉をかけたらいいか、相談を受けます。
ポイントは、子どもの行動をそのまま言葉にする、アイメッセージを伝える、感心評価する、の3つです。
子どもの行動をそのまま言葉にする
例えば、なかなか起床できない時、取り掛かっていないことをさせようとする「起きなさい」などは言わないようにします。
「急がないと遅れるわよ」のような、おどしも駄目です。
「おはよう」「よく寝ていたね」「ぐっすり眠れたみたいだね」 「ゆうべ遅かったのかな」「眠そうだね」などの過去の事実に対して声を掛けます。
「カーテン開けるね」「目覚ましを10分後にかけとくね」など、物理的な話題もいいですね。
「いいお天気だよ」「布団から出るとき寒いかも」「今日は傘を持って行く方がいいかな」などの大人のつぶやきもいいです。
まだベッドから起きないということを非難しない、子どもが起きたくなるような声のかけ方が受け入れられます。
パジャマ姿で起きてきたら「起きたね」「おはよう」「卵焼きと味噌汁あるよ」「体育着は玄関に置いたよ」などと、起きた事実を認めて、着替えないことや遅刻しそうなことには触れないようにします。
まだ起きていない行動には、触れない方が良いのです。
遅刻するかしないかは、子どもの問題で、親の問題ではありません。
アドラー心理学でいう「課題の分離」ですね。
イラスト版 子どものアドラー心理学: 勇気と自信がつく45のスキル
遅刻するかしないかより、機嫌の良い親子の、朝の会話が大事です。
本人が「遅刻しそうだから朝飯いらん」」と言ったら、一気に飲めるぬるいホットミルクや、ウイダーinゼリー、SOYJOY 、パン、おにぎり、などを「玄関に置いておくよ」なども良いですね。
精一杯の物理的な協力はするけれど、自己決定は本人がする、そういう姿勢が大事です。
この、「既成事実だけに声をかける、心配はつぶやきに止める、物理的な協力をする、まだ起きていないことを言わない、親の問題か子どもの問題かを区別する、子どもの自己決定に踏み込み過ぎない」、などを心がけると、子どもは親に認められているという満足感を持ちます。
認められて満足すると、親のアドバイスをよく聞くようになります。
まだしてないことばかり言われ、現状を非難され否定されてばかりいれば、子どもは孤独になり、ますます反抗的になります。
アイメッセージを伝える
相手である子どもについて評価するのでなく、親である自分の気持ちを述べます。
YOUメッセージ批判でなく、 I メッセージ願望を伝えます。
「あなたはまだ起きない」「あなたは遅刻する」「あなたはだらしない」という、あなたに対する批判はやめます。
批判や非難は、自己肯定感を下げます。
「起きられそうかな(と私は心配している)」
「起きられるといいね(と私は思っている)」
「今起きると味噌汁も卵焼きもあったかいよ(と私は感じている)」
「今起きると車に乗せていけるよ(と私は予定している)」という、私の願望を伝えます。
「私はあなたに起きて欲しいよ」」という私の願い、アイメッセージですね。
あなたはああだこうだと、あなたについて批判すれば傷つきます。
私の願いを言う分には、相手は傷つきません。
起床・着替え・食事・登校・部活動・宿題・ゲーム・入浴・明日の準備・お手伝いなど、生活全般に渡って、YOU批判を止めて、 I メッセージの言葉をかけます。
そして子どもが実行してくれたら、必ず、「やったね」「ナイス」「グー」「イエーイ」「よかった」「嬉しい」「驚いた」「感心した」と、 I メッセージを付け加えます。
すると子どもは、親に尊重され、認められているという、自己肯定感を持ちます。
感心評価する
過去の既成事実に対して声を掛け、アイメッセージ「嬉しい」を伝えていくと、子どもに自己肯定感と自信が形成されます。
そこで最後に「あなたに何々の力があるね」と感心感動してみせ、子どもの存在に対する大きな評価を与えます。
事実:「目覚ましで起きられるようになったね」「自分で起きられるようになったね」
アイメッセージ:「お母さん嬉しい」「自立して嬉しい」
感心評価:「計画的に起きる力があるんだね」「一人暮らしができるような力があるんだね」
あなたの力に感心したと伝えると、子どもは親から一人前として認められた気がして、自分に自信を持ちます。
また起きられなくなっても、いいのです。
その時こそ、「また、お母さんに、起こす役目が回ってきて嬉しい」と、喜べばいいです。
子どもの存在そのもの、子どもの行動を喜んでいると、自己肯定感と自信が形成されます。
良いところに気づかせるコーチングの手法
陸上競技で、コーチは選手の伸びたところに注目して、良い変化を言葉にします。
タイムが良くなった、フォームが良くなった、スタートが良くなった、ゴールが進化したと、言葉で伝えます。
コーチが「どうして良くなったと思うか?」と、選手に問いかけます。
選手が自分で、よくなったところを分析します。
コーチに認められ、質問されて、選手は自己分析でき、言葉の満足感が生まれ、その満足感から、選手はますますやる気になる、良い循環の手法です。
良いところに気づかせていくのが、コーチングです。
今夜から、あなたの育児に取り入れてみませんか?
〇〇障害を生きる
〇〇障害と診断された状況を抱えている人を、私は尊敬しています。
その方たちは、いつも2つの世界を生きているのだと思えるからです。
自分らしい生き方と、大勢の人に馴染もうとする生き方の2つです。
自閉症であれ、強迫性障害であれ、その状況を抱えながら、 障害がなく楽に生きている人たちの生き方に馴染もうと、努力している姿に感心します。
こだわりも視線恐怖も被害妄想も、その方にとっては止むに止まれぬことなので、その方だけが社会の大勢に馴染もうと努力するのは、片手落ちの気がします。
障害がなく楽に生きている側も、〇〇障害を理解しようと肯定・共感することが、共存共生ではないかと考えています。
自閉症でどこが悪い、強迫性障害で何が悪い、その方たちから人間の仕組みを学び、理解を示すのは楽に生きている側だ、そう思えるのです。
アドラーの心理学
アルフレッド・アドラーは、対人関係の心理学者です。
「対人関係のイニシアチブは、自分にある」とアドラーは言います。
「他人の脳の中を心配してもしょうがない。
他人の脳の中まで心配すると心配は尽きない。
他人の脳の中を心配することをやめれば自分の課題に集中できる。
人の評価を気にしない。」
そんなふうに語っています。
他人にどう思われるかはとりあえず置いておいて、自分と子どもの関係が楽になるように、子どもの行動を肯定しましょう。
大人でも子どもでも、自己肯定感と自信を持ってもらうには、できている事実に言葉をかける・I メッセージを伝える・感心評価する、の3つが良いです。
この3つは、家族関係だけでなく、 仕事上の人間関係にも使えます。
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