育てるのが難しい子どもの育児は、保護者にたくさんのストレスがかかります。
あらかじめ、困難や渋滞を予測しておければ、初めての育児がどんなに楽になることか………。
これからご紹介する子ども理解が、難しい育児の対策になれば嬉しいです。
保護者の育児の苦労を知ることで、保育園や学校の先生方の理解も得られれば、子どもと保護者の強い味方になります。
発達障害児の乳児期1 反応が少なすぎる、大人しい、寝てばかりいる
原因:目を合わせる(選好注視)、真似する(原始模倣)、注意を合わせる(共同注意)力が弱く、赤ちゃんの方からお母さんを呼ぶ力が少ない。
育児:目を合わせて笑いかけ、話しかけましょう。
ベビーベッドの柵に、白黒イラストなどの布製おもちゃを取り付けましょう。
目が覚めた時、赤ちゃんが見るように。お母さんの目の代わりです。
小児医療センターの乳児室の天井には、赤ちゃんが見るように、ミッキーマウスの大きなポスターが貼ってあります。
ベビーベッドやベビーカーに取り付けることのできる、手で触れるモビールもいいですよ。
赤ちゃんの感覚の発達の順序は、触覚✋➡視覚👀➡聴覚👂➡発声👄です。
赤ちゃんの興味を引きやすい、白黒模様のベビートイは Amazon、西松屋、ダイソーなどにあります。
ベビーチェアに座らせ、ベビートイで遊んでやりましょう。
ガラガラは、西松屋、100円ショップなどにもあります。
大人しい赤ちゃんには、大人の方から積極的に係わると良さそうです。
発達障害児の乳児期2 反応が激しすぎる、抱きにくい、夜泣きがひどい、夜寝てくれない、毎晩車でドライブすると眠る、1日中泣いている
原因:聴覚過敏があるとすぐに起きてしまいます。触覚過敏があると抱かれるのを嫌がります。感覚過敏があると特定の心地よさにこだわります。
育児:家族に協力してもらい、赤ちゃんを世話する時間を分担しましょう。
主に世話するお母さんも、3時間睡眠を2回は取れるといいですね。
赤ちゃんが寝たら、赤ちゃんの横で、休みましょう。
あるお母さんは「ベビーベッドにおろすと泣くので、24時間抱いていた。明け方パパに交代してもらい2~3時間眠った。」と話しました。
今時は、電動のベビースイングもありますね。
看護師さんの手が足りない小児医療センターでも、電動スイングが活躍していました。
掃除・洗濯・買い物は他の家族に頼みましょう。
掃除・洗濯・買い物などがお母さんのリフレッシュになるなら、赤ちゃんを他の家族に頼んで見ていてもらいましょう。
感覚過敏・味覚過敏を持っていると、離乳食や食事も、味覚へのこだわりがあり、偏食になる可能性があります。
感覚過敏・触覚過敏を持っていると、タオルや洋服も、激しいこだわりを見せる場合があります。
お気に入りは2つずつ購入して、こだわることで安心するんだねと、覚悟しておきましょう。
乳児期3 発達障害児の保護者が産後うつにならないために
乳児院では、7日間までの短期入所(ショートステイ)、1カ月未満の緊急一時委託、1カ月以上の入所など、緊急の SOS を助けてくれます。
病院小児科の医師やソーシャルワーカー、市区町村役場の保健福祉課・健康福祉課で保健師さんに頼んでみましょう。
住んでいるところの、民生委員・児童委員、福祉事務所などにも、相談できます。
保育園は、生後2ヶ月から預かってもらえます。
生後1年間の育児は、お母さんがゆっくり眠れず、自分の時間もなく、最も重労働の期間です。
この最も重労働の期間は、赤ちゃんはまだしゃべれず、2~3歳の子どもに比べれば、物心もまだつかないので、誰が世話しても良いと考えて、育児が負担に思えたら、他の家族・乳児院・保育園に任せましょう。
お母さん以外の人がちやほやすると機嫌よくしていて、お母さんのつらさを理解してもらえない場合もあります。
我慢するとストレスが過剰になり、虐待やうつの引き金になります。
市区町村の子育て支援センター(発達支援センター)では、1.6健診・3歳児健診後のフォローとして、個別あるいは少人数の発達教室も開催しています。
発達教室には、祖父母やパパと行ってもらって、お母さんは育児休みをもらうのもいいですね。
乳児期4 発達性協調運動症があると飲み込みが苦手でむせる
発達性協調運動症があると、ミルクの飲み込みが、下手な場合があります。
市区町村での健診や病院小児科で相談すると、保健師さんや言語聴覚士さんが飲み込みの様子を見て、飲ませ方を指導してくれます。
授乳クッションなどを使い、哺乳瓶を45度くらいにすると、食道と気道の誤嚥をふせいで、赤ちゃんがむせることが少なくなります。
吸引力の強弱に合わせて、哺乳瓶の乳首の穴の大小も、変えてみましょう。
物理的な工夫でうまくいけば、お母さんの気持ちも楽になります。
生後1~2ヶ月で、ミルクの飲みが悪い、体重が増えない、などに気がついたら、心臓や肺の病気も疑って、医師に相談してください。
乳児期5 発達性協調運動症があると姿勢歩行などの運動発達が遅れる
首のすわり、寝返り、お座り、はいはいなどの運動発達が標準より遅れたり、歩き始めが2歳くらいまで遅れる子どももいます。
市区町村での健診で医師や保健師さんに相談すると、理学療法士による身体の機能訓練を受けられる場合もあります。
おもちゃを持たない、スプーンやコップがうまく持てないなど、手の不器用さが見られます。
赤ちゃんの反応が、お母さんの思うようにならない時は、赤ちゃんのやり方を「こうでいい」と認めてやりましょう。
育児書に合わせるのでなく、赤ちゃんの行動に合わせます。
遊び食べでいいです。偏食でいいです。
スプーンやフォークを持てなくても、お母さんが口に入れてあげましょう。
離乳食も、喜んで食べてくれる好きなものを、毎日同じでいいです。
コップで飲めなくても、哺乳瓶に近いマグマグやストローでいいです。
保育園でも見てくれるし、学校でも先生が飲み方や道具のチャレンジをしてくれます。
難しい子育てを頑張っているのだと自分を褒めてやり、赤ちゃんに起きやすいこと、お母さんが楽な方法で、入園・入学まで、しのいで行きましょう。
乳児期6 発達障害児は言葉の発達が遅れることも多い
耳が聴こえているかどうかは、生まれてすぐの新生児聴覚スクリーニング検査ABRをしておきましょう。
家庭では、突然の音にビクッとするモロー反射、まぶたがギュッと閉じる眼瞼反射、寝ている時の大きな音に対する覚醒反射を気にしてください。
新生児聴覚スクリーニング検査をしていなかった場合、聴こえについての心配は、保育園・小児科・耳鼻科で相談してみましょう。
話しかけた時の反応の喃語(クーイング)「アー」「ウー」は、標準では生後2ヶ月くらいからありますが、発達障害児は喃語が少なかったり遅れたりします。
生後10ヶ月くらいで歩けるようになり、激しい多動を見せる子どももいます。
しゃべれないうちに走りまわるので、話せるようになる2~3歳まで、1年以上毎日追いかけるお母さんは、ヘトヘトになります。
「~しない」という禁止語でなく、「歩こう」「ストップ」「見てね」など、どう振る舞うかの肯定語を入力しましょう。
禁止語を10年続けるのと、肯定的な言葉かけを10年続けるのとでは、10歳の時の子どもの自己肯定感が大きく違います。
子どもが0歳ということは、お母さんも育児の0歳、おばあちゃんも孫育ての1年生です。
初めての育児はわからないことだらけ、何か1つでも、難しい子育てへの対策になればと思います。
保育園の先生、学校の先生にも、発達障害児のお母さんが抱える、乳児期の大変さを想像してもらえたらありがたいです。
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