まさや君は、ダウン症の25歳。
ここ2年くらい、まさや君の話し声が非常に小さいので、お母さんが悩んでいる。
まさや君は、ダウン症のため、構音が不明瞭だ。
自分の伝えたいことが正確に伝わらないため、声が小さくなってしまったのかな?と考えた。
まさや君の言いたいことを、機械とアプリがはっきりと伝えてくれたらいいのか、と思った。
発声の、代替手段を探した。
iPad 発声アプリ「かなトーク」
iPad 音声発声アプリ「かなトーク」を見つけた。「かなトーク」をApp Storeで
無料版をダウンロードした。
まさや君は、すでに以前から iPad を持っていた。
私も急いでiPad を購入した。
まさや君と、病院小児科の学習で使ってみた。
まさや君は小中学生時代から、ひらがな・カタカナの文字の、読み書きができる。
「かなトーク」のキーボードが打てるということは、まさや君の音声系が保持されているということだった。
iPad 発声アプリ「かなトーク」使ってみると、発声ボタンを押して、明瞭な音声を聞く時、まさや君がとても嬉しそうにニコニコとした。
久しぶりに、まさや君の、とってもいい笑顔に会えた。
自分の気持ちが、明瞭な声で出ることが嬉しいのかなと思った。
話せることと、伝わることとは違うと知った、まさや君の声量の変化
まさや君は、小中学生頃は、元気な男の子で、声も大きかった。
小中学生時代は、表現できること話せることが、嬉しかったんだと思う。
高等部を卒業して作業所に就職し、最近ではパン屋さんの部門に変わって、パンの袋のシール貼りなどの仕事をしている。
作業所で仕事をするようになって、まさや君の音の不明瞭さから、考えが伝わらない場面が、何度かあったのかもしれない。
まさや君の中で、「言っても伝わらないなあ」という諦めの気持ちが、膨らんだのかなと思う。
小中学生時代は、表現でき、話せれば、それでよかったが、大人になって、伝わることが大事に思えて来たのだと思う。
伝わらないと、声が小さくなる気がする。
伝わらないと、独り言になってしまう気がする。
伝わらないと、喋らなくなってしまう気がする。
それで次第に、まさや君から、声の大きさが、奪われていったのかもしれない。
あくまでも、想像だ。
まさや君の言葉を通訳してくれるお母さん
私もほとんど、まさや君の話してくれる話が、聞き取れないし、汲み取れない。
それに比べると、お母さんは、まさや君の話すことが全部わかる。
これまでも、私はお母さんにいつも、その場で通訳してもらって来た。
お仕事現場には、通訳であるお母さんがいない。
私と同様に、まさや君の話を、聞き取れない・汲み取れない、仕事の世界だ。
一度、まさや君に、「かなトーク」の発声の後、「まさや君も大きい声を出すといいよ」と私が言ったら、私に対して一度も嫌な顔をしたことがない愛想の良いまさや君が、その時、かたい困った顔をした。
それもあって、まさや君に発声の大きさを無理強いするのでなく、まさや君が「かなトーク」で自分の気持ちを伝えられるようになると、笑顔や楽しさが増える気がした。
自分の気持ちが伝わり、笑顔や楽しさが増えれば、また音声も大きくなるのではないか、と考えている。
「かなトーク」が、お母さんの通訳の代わりになるよう、いつか、作業所に持って行けるよう、練習したいと思う。
聴力検査
念のため、小児科の医師を受診してもらい、医師の指示で、臨床検査技師さんに聴力検査をしてもらった。
私と学習している、いつもの部屋で検査できたので、まさや君も緊張することなく、検査に応じられた。
検査結果は、難聴はなく、聞こえているということであった。
よかった。
お母さんも私も安心した。
発達がゆっくりで、老化が早いと言われるダウン症のまさや君なので、私もお母さんも、まさや君の聴力や視力を気にかけている。
ダウン症の方は、難聴や白内障が起こる年齢が、一般よりも20~30年早いからだ。
まさや君の家庭内での自立
会話についても、生活についても、少しずつ、まさや君も自立を目指している。
会話は、「かなトーク」でまさや君の気持ちを表現してもらおうと、私もチャレンジを続けたい。
生活はお母さんが、洗濯をさせたり、カップラーメンを作らせたり、餃子を作らせたりして、 まさや君の家事の体験を増やしてくれている。
普段はお父さんが、プールや温泉に連れて行ってくれるのだが、今はコロナでその楽しみもない。
月に1度、1泊2日でグループホームに宿泊する練習も、1年近く継続している。
お母さんも、家庭の中で、まさや君ができる家事を増やし、自立に向けて努力されている。
次回また、「かなトーク」でのやりとりで、まさや君の笑顔が出ることが楽しみだ。
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