学校へ行きたくなるには、勉強が楽しいか、人との関係が楽しいか、の2つに注目しましょう。
朝、起こすことが難しいのは、勉強と人間関係に、負担やストレスを感じているので、登校できないのかもしれません。
今回は、勉強の支え方を3つ、人との関係の支え方を1つお話しします。
アイキャッチ画像は、ヨシタケシンスケさんの、ネットの画像です。
算数は図に描いて考える
小学校4年生の子どもさんが、「算数文章題が難しい」と、相談に見えました。
教科書に「りんごが50個あります。6個ずつに分けると箱は何箱必要ですか?」という問題がありました。
頭の良い方で、習っている単元は、割り算なので、50÷6= とすぐに書けました。
しかし、8あまり2という答えが、すぐに出てきません。
50÷6のイメージを脳内に描けないようなので、私が絵で50個のりんごを山盛り描きました。
絵を見て、ニコニコと笑顔になってくれました。
私が6個ずつに丸を付けました。
「6個ずつのグループがいくつできるか?」と尋ねたら、実物のりんごの分け方のイメージが持てたらしく、割り算に取り掛かりました。
50÷6=8あまり2 答え9箱必要 と正解できました。
続いてその子どもさんが自発的に、私の絵を真似て、自分でも絵を描こうとしました。
その子どもさんが描いたのは、「10 10 10 10 10」と、10の数字を5個書きました。
りんご50個のイメージを描いてくれたんですね。
その先へ進めなくなって、苦笑いをしています。
10ずつの50を、6個ずつに分けることは、難しいです。
実物の絵を描くことや、次の段階の、テープ図を描くことが、成立していない子どもさんでした。
実物の実感のイメージを持たずに、数字だけを操作しようとすることは、「文章題が難しい」と指摘される子どもさんでは、よく見かけることです。
保育園の頃は、実物で数を考えます。
小学校1・2年生になると、算数の教科書に、カラーの絵がたくさんあり、絵から考えることができます。
3年生以上になると、文章題の文章だけが登場するので、イメージを自分で持つ必要があります。
意味を取ることは、実物➡模型➡身振り➡写真➡絵➡図➡イメージ➡文章、の順に難しくなります。
そこで文章題を解くには、「絵⇔図⇔文章」の絵や図まで戻ることで、意味を取ります。
保護者や先生が、脳内で行なっているイメージ操作を、脳外の絵や図にすることが、手伝うポイントになります。
脳内イメージを脳外化する、というのが、特別支援教育の重要なポイントです。
漢字練習を手伝う
漢字練習帳に、漢字を1ページ書く宿題が、毎日、出ますね。
子どもは黙って、目で、線分を写していることが多いです 。
漢字の意味を取らないと、記憶を助けません。
①へんとつくりの名称を言う
子どもの漢字記憶を助けるには、練習を見守って、へんとつくりの名前を言ってあげましょう。
へんとつくりは、主に、カタカナや小学校1年生の象形文字の名称になります。
「花」であれば、くさかんむり、イ、ヒ、です。
「前」であれば、ちょんちょん、一、月、 りっとう、です。
ちょんちょん一は、正式な冠の名称がなく、「ソ一、ソの一、」というそうです。
草冠と、ちょんちょん一、を混同する子どもがいます。
その時は、単独でどんなに練習しても、脳内に違いが刻まれません。
漢字の一部分に混同があった時は、似ている漢字を同時に並べて、目に見せて、違いを口で言わせると、記憶を助けます。
➁違いをこじつけで言う。
「花は根っこが土の下に出ている から、くさかんむり。草という字と同じ冠。」
「前は、一を書く前に、ちょんちょんを書く。」
などです。
③身振り
その時、身振りも記憶を助けます。
空中に一の身振りを水平に書いて、草の根っこが両手で突き抜けるように、空中に書きます。
④書きながらつぶやく
また通常学級では、他の人のために黙って書くことが多いのですが、家庭ではつぶやいて書くことをお勧めします。
自分で音声を発し、耳から自分の声を聞く、その往還が記憶を助けます。
学校で言いながら書く、聞きながら書く、ことが難しい方にも、家庭での練習がおすすめです。
本人がひとつの「書く」しかできない時は、保護者の方がもう一つの「言う」を担ってやってください。
学校でやる画数の空書きよりも、漢字のへんとつくりの意味を取る空書きが重要だと、考えています。
へんとつくり、違いのこじつけ、身振り、つぶやく、などが、漢字記憶を助けます。
指定の分量を練習できなかった時は、「丁寧に書いたので、寝る時間になってしまい、ここまでで寝かせました。」などと保護者の方がメモ書きしてあげましょう。
「土日に練習させます。」でも良いと思います。
子どもさんや、先生によっては、翌日の20分休みや、昼休みに、書き終えるやり方もありますね。
作文を手伝って得意にさせる
作文は、定型の接続詞を、2種類、いつも書き出してやります。
起承転結の接続詞の四つです。
はじめに、次に、そして、最後に、ですね。
もう一種類は、漢数字を使って、第一に、第二に、第三に、第四に、で OK です。
これで書き出しの接続詞と、4段落の構成はできました。
内容は、最初と最後に自分のとても気に入ったこと・面白かったことを書く。
真ん中の2つには、どうして気に入ったのか、どうして面白かったのか、理由を2つ書く。
それで、出来上がりです。
これを A 4の1枚に書いておいて、作文となったら、4空間を見せてあげるとよいと思います。
まずは、作文の大きな枠組みの4空間を脳内に獲得し、そして脳外で、4段落を構成して行けるようにします。
対人関係を円滑にするヒント
コミュニケーションは、やり取りです。
自分だけが話していては、友達と仲良くできません。
どんなに自分の話したいことがあっても、相手に相槌を打てることが、聞いてもらえるテクニックになります。
以下の画像をどれか一つでもいい、子どもさんに見せてください。
家族みんなで、まずは、以下の相槌を、1つでも使えるといいですね。
①「うん、そうだね。」
「わかる、わかる」「僕もそう思った。」
「ふーん」
「ふーん、そうなんだ」
「へえ、そうなんだ。」
「目から鱗だね」
「それいいね。」
「ホント、そうだよね」
などが、相槌の会話になります。
➁相槌が難しければ、相手の言った言葉を繰り返すのもいいです。
「ポケモン見たんだ」と言われたら、「ポケモン見たんだね」と言えば、共感になります。
まずは、①相槌➁復唱の2つの会話テクニックを持つだけでも、会話が弾むようになります。
子どもさんに、学校の休み時間に試してみるように、提案してみてください。
まとめ
朝、起こしても、ぐずぐずして起きない時、
「休み時間に友達との話し方がわからないのかなぁ」
「算数が難しいのかな?」
「漢字がうんざりなのかな?」
「作文に困っているのかな?」
「朝ごはん食べたら、友達との話し方・算数・漢字・作文を一緒に研究しようか」
「今日は早く帰ってくるから、夜一緒に、友達との話し方・算数・漢字・作文を研究しよう」
などと、子どもさんにつぶやいてみてください。
子どもは急に言われた朝は無理でも、2日目・3日目の夜、あるいは土日に、保護者の提案を聞くつもりになってくれる可能性があります。
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