前回、2022/5/29に、算数LD の投稿で紹介した、数の階段の教材について、誰でも簡単に安価で作れる、マグネット教材を思いついたので紹介します。
100円ショップのセリアで、18cm幅以上のホワイトボード1つと、直径3cmのパステルカラーマグネット6個入りを3つ(マグネットは15個必要)を購入してください。
合計で400円かかります。
マグネットが入っている透明ケースは、磁石を運ぶための枠として使うので、捨てないでください。
油性の太い黒のマジックも、1本必要です。
完成イメージは、以下の画像のようになります。
数の階段は序数(数唱)と基数(量)の根幹
序数と基数の両方を一度に学べる教材として、1~5の階段以上の教材はありません。
順序を表わす、12345678910を、序数と言います。
順序を唱えるので、数唱、数詞ともいいますね。
量を表わす、1個2個3個4個5個を、基数と言います。
私の知る限り、序数と基数を同時に学習できる教材は、「だんごさし」か「階段」しかないです。
教材は、立体的な木材➡平面の紙の順に、こどもの感覚運動を満たします。
立体的な教材を出せば、子どもは喜んで机と椅子に座り、ペラペラのプリントを出せば、逃げていきます。
プリントの拒否は、子どもの発達順序、触覚➡視覚➡聴覚の発達順序にかなった行動なのです。
大人が子どもの発達順序を忘れてしまい、大人が準備しやすいペラペラのプリントを出したり、脳外化の面倒が要らない音声言語だけで伝えようとしてしまい、学習場面から子どもに逃げられます。
だんごさしを手に入れることや、ベニヤ板と角材による木工作が難しい時は、今回紹介するホワイトボードと磁石で、序数と基数の学習を楽しめます。
マグネットの吸い付く感触が子どもの感覚運動を満たす
マグネットは、吸い付く感覚の自己フィードバックがあり、子どもは好みます。
木製のダンゴを棒に刺す運動のフィードバックと同様の、感覚運動があります。
填め板やパズルも、ピタッと填まる時の感覚が、楽しいですね。
多動な子どもさんほど、言語発達が遅れている子どもさんほど、感覚運動のフィードバックを好みます。
小学校低学年で、「手悪さが多い」と評価される子どもさんも、この感覚運動のフィードバックが欲しいのだけれど、保育園と違って学校には感覚運動遊びが少ないので、自分で鉛筆や消しゴムをいじっているのです。
席に座っているために、触っていると言ってもいいでしょう。
保育園や小学校低学年で、私が学習に身振り運動を取り入れてくださいという理由は、子どもの感覚運動を満たしたいからです。
座位学習であっても、上半身や手を盛んに動かすチャンスがあれば、多動や手悪さの軽減になります。
音声の指示が分かりにくい子どもさんにとっても、身振り運動であれば目で見て分かりやすくなります。
合図となる指示は、実物➡模型➡身振り➡写真➡絵➡図➡マーク➡文字➡音声、の順に子どもにとって理解が難しくなるのです。
感覚運動を満たすマグネットの話から、保育園・通常学級の身振りの話へ、話題がそれました。
階段作りの話に戻ります。
マグネット階段教材の作り方
①セリアのマグネットの透明枠は、基数にするための2~5個の連結に使えます。
透明枠を、ハサミで切るだけで2~5個の連結が可能になり、磁石力もそのままあるので、便利です。
マグネットを透明枠にひっくり返して入れて使う、2個・3個・4個・5個をセロテープでつながなくても、一度に運べます。
マグネットを透明枠に、1個・2個・3個・4個・5個と入れて、透明枠の四隅を丸く切ってやると、子どもが枠を扱う時も安全です。
子どもにとっては、立体の高さ比べ➡平面の長さ比べの順に難しいことと、算数の数字が左から始まることを考えて、階段は縦型をお勧めします。
➁ホワイトボードに、油性マジックで、1~5の枠線を描きます。
初めは、消せるホワイトボードマーカーで枠線を描いてみて、これで良いと決定したら消して、改めて油性マジックで書くと失敗がないです。
マグネットが3cmなので、縦の枠線は 0.5cm を6本引きます。
枠線は、5mm 以下であれば1mm でも2mm でも構いません。
ホワイトボードは、3cm+0.5cmx6=18cm の幅が必要になります。
マグネットの階段教材を、机の上に置くと平らですが、斜めに立てかけると、高さ比べが楽になる子どもがいます。
それも予想して、階段は縦型の階段にします。
③セリアのパステルカラーマグネットは、ベージュ・ブルー・ピンクの3色がありました。
もちろん、他のマグネット15個でも大丈夫です。
マグネット15個に、その子どもさんの好きなキャラクターシールを貼ると、子どもは喜びますね。
下の画像は、恐竜の好きな子どもさんに、セリアの恐竜シールを貼った、木製填め板の階段です。
数字を付けると仕事量が増えて、子どもの操作に負担だったので、この子どもさんの基数の学習の最初は、数字を付けないで、基数(=量)の順序並べだけにしました。
子どもさんによりますが、可能であれば15個は、同じ果物シール、同じ色シール、同じキャラクターシールで行ない 、1個・2個・3個・4個・5個は、セリアのマグネットの透明枠で、一度に運べることが良さそうです。
そうして「数字の3とは3個のことだ」と、数字に対する基数を意識できるようになったら、マグネットをバラバラにして基数を構成する学習も行ないます。
基数を構成する学習では、ホワイトボードの枠線を天井まで全て長くしても、2の場所へは2個、3の場所へは3個と、バラバラのマグネットを指定された量だけ構成できるようになれば、序数と基数の意味取りの完成です。
100円ショップには、油性マジックを消すスプレーも販売されています。
玉入れ・大きさ比べから、数の学習に至る数概念形成の順序については、「数概念形成の教材と指導法1・2」で紹介したことがあります。
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