ヤエさんは1920年、大正生まれで、子どものころから身だしなみをきちんとしたがる人だった。
ヤエさんの気に入った着物を、祖父が買ってくれないと、すねて学校へ行かなかったそうだ。
認知症が83歳で発症してからも、尿を漏らしてしまうというような排尿の世話は、89歳要介護1まで必要がなかった。
身体の排泄機能そのものよりも、記憶と、清潔に対する社会的判断力が低下して、要介護1から排泄問題が起きた。
少量の便失禁への対応 尿失禁パンツ
89歳、要介護1、初めて行った医療型25人のデイサービスで、施設が広いからトイレまで10m以上あって、行きたくなった時には、立って歩くとちょっと便が出てしまうという、少量の便失禁が初めて起きた。
ヤエさんは、介護士さんに失禁を伝達できず、カバンにある着替えを要求できない。
しかし、ヤエさんはトイレに行ってから、パンツの汚れた部分を自分でトイレットペーパーで拭き取って、きれいなペーパーを挟んで、自分なりの快適さを工夫していた。
デイサービスから帰宅すると、自分で汚れたパンツを履き替えて、汚れたパンツは隠してあった。
ヤエさんの、プライドだったのだと思う。
パンツは汚してもいいのだが、ヤエさんは隠したことも忘れてしまい、あとで私が偶然見つけるパンツは、漂白しても汚れが落ちず、いくつも捨てた。
これは、これまでの綿100%のパンツを、尿失禁パンツに変えたら、股の部分がナイロンなので汚れがよく落ちて、洗濯が楽になった。
水に流せるティッシュ
91歳、要介護3、トイレットペーパーはトイレにある、という見えない場所の記憶がなくなった。
流せるトイレットペーパーと、流せないボックスティシュの区別が、できなくなった。
ヤエさんは、昼でも夜中でもトイレに行く時には、テーブルや枕元のボックスティッシュを1枚取って持っていく。
小学生時代の記憶になってしまったから、持っていきたかったのかもしれない。
そこで私は、ヤエさんの枕元はもちろん、家じゅうのボックスティシュをトイレットペーパーボックスに変えてみた。
トイレットペーパーなら、ヤエさんがトイレに持って行っても、流せるから構わない。
しかし、無香料のトイレットペーパーは少なく、鼻をかむ際、私が香料に参り、一週間ほどでこれはボツになった。
そこで、水に流せる無香料のボックスティシュを探してみたが、実店舗にはなかなかなかった。
新聞の記事で「エルモア」という水に流せるボックスティシュを知り、インターネットで注文して購入した。
しかし、柔らかさが足りず、ヤエさんの鼻の下が赤くなる。
硬いので、3ヶ月ほどで中止した。
2020年7月現在では、ダイソーにも水に流せるボックスティッシュが売っている。
お尻ふきも、流せるタイプが多い。
91歳、要介護3、夜間、トイレに立ったヤエさんが、トイレで尿便を拭いたトイレットペーパーをパジャマのポケットに入れてしまうことが起きた。
私は、すべてのパジャマのポケットを取り外した。
以後、パジャマはポケットのないものを購入した。
ポケットのないパジャマのほうが、安いということも知った。
92歳、要介護3、ヤエさんがトイレの便器に流してしまうことを想定して、パンツに付ける初めてのパッドをユニ・チャームのソフィパンティライナー「流せるタイプ」にした。
92歳の半年間くらい、昼間のパンツの便汚れ防止に便利に使った。
流せるタイプでも、ヤエさんはパッドを流さないで、トイレの介助をする私に、新しいパンティライナーに取り替えさせてくれた。
私にはトイレ世話を手伝わせるが、デイサービスではトイレ世話を断るヤエさんだった。
家族と他人を、区別していた。
要介護1~3の昼間の排泄は、そんな感じだった。
尿取りパッド使い比べ
89歳の要介護1の認定時から、社会福祉協議会のオムツ配布事業があった。
ヤエさんにはまだ不要だったので、「他の方にあげてください」と92歳まで断っていた。
93歳から、社会福祉協議会配布の尿失禁用パッドを年に2回、14000円分くらいもらえて有り難かった。
ユニ・チャームのポイズパッドは厚みがあるので尿失禁には便利だ。
しかし、便失禁には便が脇へ広がってしまい、汚れが拡大して不便だった。
2014年にはポイズパッドの超スリムが発売されて、便失禁にも割合良かった。
需要が少ないのだと思うが、便失禁に対応するものも開発販売してほしいと思う。
アテントには軟便漏れも防ぐお肌安心パッドがあって使ってみたが、ヤエさんのパンツの股幅より大きくて、はみ出るから不便だった。
パッドは大体1枚20円~70円、オムツは大体1枚当たり70円~120円である。
排泄の事情は、一人一人違うので、パッドの選定も最初は難しい。
しかも、いろいろなサイズが初期のお試しセットとして販売されていればいいが、たいていは12個・16個が1パッケージとして販売され、それを購入しなければならない。
自治体によっては、寄付されたパッドやオムツを、社会福祉協議会の窓口で無料でくれるところもある。
ユニ・チャームなどの企業も、2個入りのお試しパックを、ネットで応募すれば無料で送付してくれる。
尿取りパッドも色々あるが、丸1年使ってみて、以下の条件は必要に思えた。
長さ30㎝、薄くて5~6倍の吸収力、サイドギャザー、中央のくぼみ、消臭性、裏面粘着テープがパッドの端まであること、等が必要である。
外出の携帯用には、個包装になっている16枚入りも、販売してほしい。
パッドは、一般的な認知のある方の尿失禁を想定して、製造販売されている。
パッドの裏面の粘着テープが端までないと、パッドはパンツを上げるときに私でも丸まりやすい。
認知症者や知的障害児が自力で、パッドが丸まらないように気を付けることは難しい。
私は工作用のニチバンの両面テープを、パッド裏面の両端に横に7~8cm貼って、ヤエさんのパッドをパンツに固定した。
粘着が強化されて、パンツの上げ下げの時にパンツ内で丸まらない。
赤ちゃんのオムツ同様に、パッドも日進月歩しているので、2014年~2015年ころとは、パッドの名称もすでに変わっているかと思う。
発売の新しいものを、お試しされたい。
以下の商品は、尿失禁にも軟便や下痢便失禁にも使えて、比較的よい商品だった。
花王吸水セーフティは、サイドギャザーあり。
エリエールさら肌パッドは、尿130CC以上用は中央部にくぼみあり。
超うす安心パッドは、薄いのに220CC吸収。
尿失禁の量がわずかな漏れなら、生理のナプキンに似た上記の失禁パッドでよい。
しかし、1回分の尿を全部出してしまう方は生理用ナプキンとほぼ同サイズの22cmcm~26cmのパッド160ccでは間に合わない。
女性の1回の尿量は200~400cc、コップ2杯分くらいだ。
パッドに尿を全量出してしまう失禁対策となると、パッドサイズ30cm以上・尿量2回分以上のパッドが必要となってくる。
これは次回に書きたい。
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