2ヶ月ぶりに会った、ダウン症のまさや君29歳の、笑顔が増えました。
この2ヶ月、まさや君のご家族は、まさや君の行動で気になることは意図的に無視して、スルーするようにしてくれました。
まさや君をせかせるのでなく、ご家族のほうがまさや君の切り替えを待ち、まさや君がえんえんと続ける行動を我慢しました。
「忍耐が要ります」とは、お母さんの率直な感想です。
ご家族の努力のおかげで、病院の療育でも、まさや君に2つの変化が現れました。
1つは自発的な音声の発声、もう1つは自発的なダンスです。
〇✖や かなトークを使った「好き」「嫌い」の表出作文
お母さんが撮りためてくれた写真の中で、どれが一番「好き?」かを、まさや君に〇✖で聞きました。
〇✖の意思表示の様子は、話さなくなったダウン症の青年の意思表示を形成する方法 に投稿しています。
まさや君は2ヶ月間の思い出を、画像に〇をのせて選んだり、画像を指さして選んだりして、作文します。
画像を選びながら、かなトークで以下の作文を書きました。
作文の後に必ず、「好き?嫌い?」の音声と〇✖で聞きました。
〇✖を決定した後、文字でも「すき」「きらい」を書きます。
この時、まさや君から自然に、〇✖の指サインが出たり、〇✖をのせる動作とともに「はい」「いや」「好き」の声が何度も出たりしました。
嬉しくて、びっくり。
この2ヶ月、ご家族は、まさや君のこだわる行動を、時間の許す限り、自由に続けさせ見守りました。
食事、歯磨き、入浴、ひげそりなども、可能な限り、急がせないように、まさや君の意思を否定しないように、強くアドバイスしないようにしました。
終わりの見えない行動に対して、どれだけお母さんが我慢したことか。
そのお母さんの我慢の大きさと比例するかのように、まさや君の気持ちの表出が増えているように思います。
まずはまさや君が、「好きだ、嫌いだ、嫌だ、こっちがいい、何々したくない」という気持ちを、出してくれることが大事です。
本当に好きか本当に嫌いか、まさや君の普段の好きな気持ちと言葉が一致しているか、それは次の段階のように思います。
かなトークは黒背景を選択できる 音声入力もできる
かなトークの画面の中央のキーボードをタップすると、あらかじめ設定しておいた「日本語ーかな入力」のキーボードを使うことができます。
するとマイクで、音声入力もできます。
キーボードを隠して、マイク音声で、作文を作れます。
まさや君の自発的な童謡ダンスを初めて見ました
まさや君の、えんえんと続く歯磨きやひげそりの話を、お母さんから聞いている間、まさや君には、まさや君の好きな童謡を聞いて待っていてもらいました。
するとまさや君は、小さな声で歌いながら、「大きな栗の木の下で」を踊ります。
写真を撮るのを忘れて、見入ってしまいました。
最後に「鬼のパンツ」の踊りを撮ることができました。
踊りながら、まさや君に笑顔が溢れます。
ここ5年間で最も嬉しそうな、まさや君のダンスと笑顔です。
こだわりを消去しようとするよりも新しい行動を作る
お母さんが「お出かけ先など、新しい楽しいことの時には、遅れないで行動できると分かった」と教えてくれました。
グループホームで出かけたファミリーレストランでも、食べる速さは仲間に遅れなかったそうです。
まさや君は、ご家族とのお出かけ先、グループホームでの外出行事、移行支援の指導員さんとのお出かけでは、急ぐことができます。
一番気持ちがのんびりするお家で、歯磨きやひげそりを、必要以上に丁寧に、繰り返している様子です。
清潔はいいことだし、丁寧なのはいいことです。
まさや君が子どもの頃は、まさや君の行動が雑であれば、お母さんは丁寧に清潔を指導しました。
もしかしたらまさや君は、丁寧に行なうことができるようになったので、長い時間をかけているのかもしれません。
ひげはそれたという見かけがありそうですが、歯は綺麗になったという見かけがあいまいですね。
そこでお母さんに、大人になって時間のあるまさや君に、家事手伝いをしてもらうのはどうだろうと提案してみました。
えんえんと続く、こだわりが強い行動を消去しようとするよりも、新しい行動を作ることで、困った行動が軽減するのではないか。
お家でも、自分の作業服の洗濯を、柔軟剤入りジェルボールを使って、洗濯機でしているまさや君です。
お米を測る➡無洗米を使って3~5合を計量カップで測って入れる。
ご飯を炊くスイッチを入れる➡タイマーのところはお母さんが設定して最後のオンのところだけやってもらう。
洗濯物をたたむ➡タオルや靴下から始める。
家の中のゴミ箱を集める➡慣れてきたら、分別にもチャレンジする。
などはどうでしょうか。
他にも、まさや君がやれそうで、お母さんが頼みやすい家事がいいですね。
ご飯を炊く全ての作業、洗濯物をたたむ全ての作業、ゴミを分別するまでの全ての作業をさせようと思わないで、一部分からやってもらうと、お互いに楽だと思います。
家事手伝いは、音声で言って聞かせるよりも、写真で目で見た方が手順や操作が分かりやすいので、お母さんがまさや君にやって欲しい家事について、写真を撮ってもらえたら、私がプリントアウトして文字を付けることもできます。
まさや君は文字のわかる人なので、写真に文字をつけると親切だと思います。
写真や文字は、他人の音声よりもずっと、まさや君に分かりやすい言葉です。
猫ちゃんブログへのコメント