発達障害児は、歩き始めが遅かったり、言葉の話し始めが遅かったりします。
言葉の発達が遅れると、気持ちを言葉で仲間に言えず、手が出たり足が出たりします。
近くの仲間をかじる、言葉で言い返せないで引っ掻くなど、1~2歳の行動も起きます。
仲間の気持ちが分からず、物に興味があるので、仲間の気を引こうとして、帽子を隠したり、靴を隠したりします。
悪意はないのですが、相手が困るということを想像できません。
療育の場面でも、こうやろうという意味に応じるよりは、自分があつかう物の運動感覚にこだわります。
相手の意図した意味を取ることが難しく、自分の認知の仕組みで行動します。
相手に合わせる、外の世界に合わせるということが、とても難しいです。
共感や同調が少なく、マイペースで孤立します。
発達障害児は劣等感の中にいる
歴年齢は同じでも、仲間たちは言葉がずっと達者です。
発達障害児は、運動や制作も不器用で、仲間に遅れることが目立ちます。
年少組までは、周りの子の発達も、ばらつきがあります。
年中・年長になるにつれて、周りの仲間より自分ができないということに気づき始め、イライラします。
家庭でも保育園でも、いつも、劣等感の中にいます。
褒められるチャンスが、少ないのです。
家庭でたくさん認める・褒める
家庭で、して欲しいことがあります。
本人の好きなこと・得意なことを見つけて、褒めるようにします。
したこと・やったことに声をかけて、共感するようにします。
できないことや、注意されることが多く、褒められるチャンスが少ない子どもたちです。
できて当たり前のことも、認めて声をかけるようにします。
肯定的な言葉のかけ方
できないことは手伝って、一緒にやります。
気持ちの荒れを収めようと思ったら、自立を目指して急がせたり叱ってばかりいては効果がありません。
できていることを認められ、褒められることが多くなると、子どもに変化が現われます。
落ち着いてきて、笑顔が増えます。
保育園ではその時言うべき言葉を短く言う
保育園では、仲間の人数も、保育士さんの人数も多く、複雑な情報がたくさん飛び交います。
保育士さんの目が離れることもあり、子ども同士のトラブルも起きます。
言語発達が遅れ、気持ちの言葉を言えないので、トラブルの場面では、何と言えば良かったか、保育士さんが短くモデルを言ってください。
本人には、どうしたかったのかを聞きます。
相手や周りの子には、どんな前後関係だったのかを聞きます。
そして最も適すると思われる気持ちの言葉を、1語文か2語文で先生が言ってみせ、真似させます。
「借りたかった」
「先に使いたかった」
「鬼はいやだった」
「負けて悔しい」
「入れてくれなかった」
「口で言おうね」
友だちに手が出た場合は、上記の気持ちを言ってから、「ごめんね、だね」と、気持ちの言葉を代弁し、言わせます。
「残念」「この次」「ま、いいや」「しゃあない」などの自己調整の言葉を持たないために、カッとしやすいです。
これらも、家庭と保育園で、入力していく必要があります。
療育の場面では行動を調整することを学ぶ
個別の療育の場面は、保護者と本人が行動を調整するチャンスです。
整えられた情報の中で、自分を外側へ合わせていくことを学びます。
保護者は、行動調整に参加して、協力します。
提案された情報が難しいと、外側へ合わせず、行動が崩れたり、マイペースになります。
好きなこと・できることの勢いで、1ランク上の活動を学びます。
「難しい」「終わり」「もう1回」「疲れた」「何々する」「さきに」「あとで」「貸してください」「ありがとう」「こんにちは」「さようなら」などが、保護者のうながしで言えるようになります。
保護者も、子どもの得意と苦手を知って、育児に活かすようにします。
6歳の入学までに、仲間に比べて苦労があり、劣等感を持ち、傷ついて、心が荒れている
自閉症スペクトラムがあったり、構音障害や吃音があったりすると、自分の願いを仲間に伝えることがとても難しくなります。
気持ちを伝えられないと、心が荒れて、行動が乱暴になります。
おそらく、心が荒れたまま小学校に入学すると、分からないと席を立つ、興味がないと教室を出て行く、注意されると腹を立てる、暴言を吐く、暴れる、他害が起きる、などに繋がるということが、最近見えてきました。
家庭で、保護者も、「テレビ見たね」「ご飯食べたね」など、したことに対して声をかけます。
家庭で認められる、という毎日がとても大切です。
小学校の先生にお願いしたいこと
発達障害のある子どもたちには、6歳の入学までに、上記のようなことが起きています。
入学した時に、既に、発達の力と心に、大きな開きがあります。
本人たちは、手先もコミュニケーションも、不器用で、自己肯定感が低く、気持ちが荒れやすいです。
10倍認めて、10倍褒めてもらえないと、参加の方向に動けません。
保護者も、6歳までに、非常に苦労して、育児をして来ています。
そこでお願いしたいことは、集団場面に必要だから、あの子にこうなってほしい、という集団に合わせる発想ではなく、あの子にこういう苦労があるから、集団場面をこう変更したら、あの子に笑顔が出て、お互いにとってこの場所が楽しくなるのではないか、と考えてほしいのです。
集団を主語にするのではなく、発達障害児を主語にして、集団場面の指導を考えて、味方になって欲しいです。
まずは物理的な工夫で苦手を助ける
まずは、物理的な工夫から、試してみることをおすすめします。
先生が困っていることを書き出して、どんな物理的な工夫をすれば変化が起きそうか、物理的環境改変の視点から、対応を練ってみてください。
例えば、小学校の机は、小さく狭いです。
引き出しも、浅くて狭いです。
子どもたちにとって、片付けが難しくなります。
「あの子は片付けができない」と考えるよりも、机が小さい・引き出しが狭いと考えれば、苦手な子どもに共感しやすいです。
片付けが難しい子どもさんを、一番北側の席にしたら、授業中は友だちが通らない床に物を置いて、机の足りない分の置き場所にできました。
休み時間に片付けます。
帰る時、全員が引き出しを机の上に出して、整理して帰ります。
隣の子どもと、引き出しが綺麗になったか、二人一組で協力し合います。
先生が手伝ってもいいです。
引き出しの底には、教科書・クーピー・のり・はさみの置き場所のコピーを貼り付けておいてもいいですね。
そんな物理的な工夫が、最初の手かと思います。
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