自閉症スペクトラムのかたは、人よりも物に興味を持ちます。
世界を事物で理解するほうが分かりやすく、人の心を読み取ることは複雑で難しく分かりにくいのです。
また自閉症スペクトラムのかたは、事実を言うことが得意です。
しかし、事実を言うだけにとどまってしまい、相手の心に届く言葉、相手の行動を引き出す言葉を、なかなか言えません。
事実を言うだけの自己回路
「みんなが多い、私だけ少ない」と、事実を言うだけの自己回路は、怒りに繋がりやすいです。
相手に、どう言ったらいいのか、わからないのですね。
自分の気持ちを言うことが苦手だったり、相手に上手に頼んだりすることが苦手だったりする人は、怒りを持ちやすいです。
相手に助けてもらえれば、怒らなくても済む。
「みんなが多い、私だけ少ない」と叫んで怒るより、「私にもやらせて」と頼む方が相手の協力を引き出せます。
言葉で頼めない時は、お願いの身振りで頼んだら、きっと相手に伝わります。
お願いの身振りの後に、「お願い」の言葉も生まれてきます。
自分の気持ち 相手に依頼する 相手の2つの反応
頼み方が上手くなる方法について、本人と話し合うとき、以下のような図を描いて話し合います。
大人が脳内に思っている考えを、脳外に描いて見せ、伝えることが大事です。
書く順序は、左から、「事実・自分の気持ち」を書きます。
次に、「相手を動かす依頼の言葉」を書きます。
そして、相手の2種類の反応を書きます。
まずは、事実を言えたり、自分の気持ちを言えたりすることが、必要ですね。
次に、相手の気持ちを動かす言葉、相手の協力を引き出す言葉を考え出すことが必要です。
言えなかったら、家族や先生にモデルの言葉を言ってもらい、その都度学習していきましょう。
そして、頼んだからと言って、自分の願いや自分の依頼が、いつもスンナリ叶うわけではない。
助けてもらえる時と助けてもらえない時がある、その「2つを想定してお願いをする」ということが大事です。
依頼の形成法のまとめ
自分の気持ち、依頼の言葉、相手の反応を、図で整理して、見せます。
➀自分の気持ちを言葉にできたか、
➁相手を動かす、依頼の言葉を言えたか
➂相手のイエス・ノー反応の2つを想定できたか
この3段階を、絵と文字で描き表わしてやり、話し合いましょう。
3段階の図が、本人の脳の中に出来上がると、事実を言うだけにとどまらず、依頼の言葉を言えるようになります。
予測でもいいし、結果の振り返りでもいい、何度もこの図を描いてやり、その都度、依頼の言葉を学習していきましょう。
自閉症スペクトラムのかたにも分かりやすい、依頼がうまくなる方法の紹介でした。
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