運動面で、ハイハイをしない子どもがいます。
ハイハイならば、移動速度がゆっくりなので、大人も追いかけやすいのですが………。
ハイハイをしないまま、つかまり立ちができ、歩き始めたと思ったら、目に見える物に突進していく、そんな多動が目立つ子どもがいます。
発達障害児の幼児期1~2歳 言葉が遅れて多動が激しい
言葉の面で、10ヶ月くらいで起きるはずの指さし、社会的照合、共同注意がない子どもがいます。
話し始めが2~3歳まで遅れると、お母さんは1~2年間、追いかけ続けることになります。
言葉が遅い、多動である、そういう心配があれば、1.6健診で、保健師さんや医師に、是非相談してください。
育児のコツや、発達教室を紹介してくれます。
子どもの様子をスマホで撮影しておき、診察場面で医師に見せると、家庭での育児の大変さが伝わりやすいです。
指差しは身振りの言葉で、「何々だ」という叙述の意味と、お母さんの目を見て伝える「社会的照合」の意味があります。
多動な行動そのものを「言葉」だと理解する
突進型で多動が激しい子どもは、多動な行動そのものが言葉です。
多動な行動そのものが言葉だと思えると、子どもが行動でたくさんしゃべっていると思えるようになります。
音声で説明しない子どもが、走って接近していく行動の意味を、大人が言葉で読み取ります。
「ああ、何々が見えたんだね。何々を触りたかったんだね」
子どもに追いついたら、いじっている場所で、お母さんがそれを指さして「何々だね」と言ってみましょう。
お母さんが、身振りの指さし、共感の「何々だね」を言ってください。
子どもが触っているところで、共感の言葉を伝えると、めったに私の目を見ない子どもでも、私に目を合わせてきます。
触る行動も言葉だと思って認める
多動な子どもは、手でいじることが一番好きな感覚(=言葉)です。
自分で触わる感覚で、脳内はいっぱいです。
お母さんが、後ろから話しかけても、目は触っているものを見て、脳は見ているものを考えているので、お母さんの声かけは、聞こえないかのようです。
子どもの発達の順序は、手で触る➡目で見る➡耳で聞いて脳内にイメージを持つ、という順序だから、手で触っていて目で見ていると、それに夢中で、耳からの情報を取らないのです。
音声だけが言葉ではなく、子どもの触る行動、見ている行動が、子どもの言葉です。
お母さんの音声よりも、自分の手で触れる実物や、目で見ている実物に子どもは集中しますね。
子どもに「何々だね」と、叙述、社会的照合、共同注意を、お母さんの方からしてください。
危険がある時は、「ストップ」と言ってから、子どもの行動の意味を読み取って「何々だね」と共感しましょう。
例えば、スーパーやホームセンターで走り回り、次々と品物を触って、お母さんが困る時があります。
冷静な声で、✋「ストップ」「何々だね」「大事大事」と品物を戻し、「カートを押して」と言いましょう。
スーパーでは、子どもが乗れる子ども用カートがない時は、スーパーの入り口から大人のカートを押すようにするといいです。
大人のカートに捕まらせてカートを一緒に押す
スーパーにある大人のカートの、2本のたて棒を、子どもの両手で✋✋つかまらせるようにしてみましょう。
手がふさがると、落ち着いて歩きます。
お母さんは、カートの高い位置の取っ手を押して、子どもの後ろに立ちます。
スーパーのかごを、カートの下の段に置いて、購入する品物を入れると、品物が子どもの目に見えるから、落ち着いてカートを押しやすくなります。
カートの上段には何も入れない方が、子どもが前方を見やすいです。
お出かけの必需品は、お母さんの斜めショルダーバッグに入れたり、子どもに小さなリュックを背負わせたりしましょう。
購入する品物も、大人と一緒に手で持って入れるようにします。
子どもが押して歩ける子ども用買い物カート
大人のカートの高さは90cmで、子どもが押すには高すぎるので、子ども用買い物カートを、どこへ行くにも持参する手もあります。
スーパーの店内では、「一緒一緒」とお母さんが言って、お母さんのカートと並ぶか、お母さんのカートの前を歩けるといいですね。
子ども用カートは、2000~4000円くらいで販売されています。
折りたたみ式の子ども用カートもあります。
最近のスーパーには、子どもサイズの買い物かごも置いてありますね。
子どもが買い物かごを手に持つと、走る速度が遅くなります。
子どもの好きなマイバスケットを、お出かけに持って行ってもいいと思います。
発達障害児の多動な行動の意味に共感し、手に仕事を与える
多動な子どもは、見た物に突進する行動でしゃべっている、実物を触る行動でしゃべっている、そう理解してください。
「ダメ」「やめなさい」「何々しない」などの禁止の言葉を控え、大人がやってみせる指差しと一緒に「何々があったね」「見たかったんだね」「触りたかったんだね」と共感しましょう。
共感してから、「大事大事」「置いて」「カートにつかまって」「カートを押して」と、どう振る舞ってほしいかを言いましょう。
お出かけする時は、好きなものを手に持たせる、好きなものをリュックに入れていく、子ども用買い物カート、子ども用マイバスケットなど、触れる実物(=言葉)を用意して出かけてください。
好きなものにこだわって、好きなものをいつも手に持っている子どもは、自分で落ち着く方法を編み出しています。
多動な子どもは、触覚が最優先ですから、手をふさぐこと、手に仕事を与えることで、大人がこうなって欲しいと思う、適応の力を見せてくれます。
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