猫がくれた2倍の幸せ

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猫好きのヤエさん

 ヤエさんは子どもの頃から猫が好きだった。

猫を飼いたくて、ある時は隣の家までもらいに行った。

2010/11 90歳 要介護1

そうやって子ども時代はいつも猫のいる暮らしをしていた。

大人になって街で暮らすようになって猫を飼ったが、大通りに出た猫が車に跳ねられて死んでしまい、悲しくて二度と猫を飼わなかった。

事故で突然猫を亡くすのはつらい。

偶然猫が外へ出て行ってしまい、二度と会えないのもつらい。

人間より猫の方が寿命が短いので、必ず別れる時が来るのだが、病気でない別れ方は、突然すぎて心残りになる。

初代お母さん猫

我が家が猫を飼うようになったのは偶然だった。

2002年、子猫を3匹連れたお母さん猫が真夏に突然現れたのだ。

2012/ 7 91歳 要介護3

はじめ私はヤエさんに遠慮して内緒で車庫で猫たちを飼っていた。

1ヶ月ほどしてヤエさんに猫の存在が知れたが、ヤエさんは飼っては駄目だと言わなかった。

2ヶ月ほど経って、猫を家の中で飼うようになった。

野良猫だったので、外と行き来できるようにガラス戸にキャットフラップもつけた。

2匹の子猫は1歳になる前に、最後の子猫は4歳で亡くなった。

お母さん猫は賢く、猫の生活のルーティーンを守って静かに暮らしていた。

「猫ちゃん猫ちゃん」

2003年からヤエさんに認知症の症状が出て、私は毎晩ヤエさんの夕食と入浴を見る通い介護を4年ほどした。

ヤエさんの認知が大変になり、2007年猫を連れて引っ越し、同居するようになった。

ヤエさんは猫の名前を覚えなかった。

猫出入り幅40cmカーテン

猫の名前が「お母さん」という特殊な名前だったせいで、覚えなかったのかもしれない。

チビとかタマとシロとかブチとか、猫の見た目からくる名前だったら覚えたのかわからない。 

猫を呼ぶ時ヤエさんは「猫ちゃん、猫ちゃん」と呼んだ。

確かに猫ちゃんで間違いない。

その呼び方が最も見た目を表している呼び方だった。

私も外で動物を見かけると「猫ちゃんだ」「ワンちゃんだ」と言う 。

猫がいるだけでほっこり

2012/12 92歳 要介護3

猫を見るとヤエさんの表情は柔らかくなった。

猫が家にいるとヤエさんも幸せそうに見えた。

ヤエさんは優しい手つきで猫の毛をいつもすいてくれた。

猫もうっとりと気持ちよさそうにヤエさんのそばにいた。 

初代のお母さん猫は6年ほどヤエさんと一緒に暮らした。

2013年、お母さん猫が腎臓を悪くして12歳で死んだ時、92歳、要介護3だったヤエさんはあまり悲しまなかった。

二代目猫 ひげのクーちゃん

お母さん猫が死んで3ヶ月ほどして、猫のいない生活があんまり寂しくて、13歳の保護猫をいわき市からもらうことにした。

2013/ 6 92歳 要介護3

「猫を迎えに行くので、ヤエさんはどうする?デイサービスに行く?一緒に車で福島県まで行く?」と聞くと、珍しくヤエさんが「私も一緒に行きたい」と自分の意思を言った。

高速のサービスエリアの思いやり駐車場から身障者用トイレに、杖で歩いて一緒に行けた。

念のためヤエさんは尿取りパッドもしてくれた。

片道260 km 往復520 km 7時間の長旅だったが、ドライブしながらおにぎりを食べ、猫を貰い受けるとヤエさんも楽しそうだった。

クーちゃんに好かれたヤエさん

2017/5 96歳 要介護4

ヤエさんは二代目のクーちゃんをとても可愛がった。

クーちゃんも穏やかなヤエさんが大好きで、側に行っては撫でてもらっていた。

ヤエさんが室内で運動すると、よくそばにきてゴロンと横になり応援していた。

猫の好きなヤエさんは、猫のどこを撫でると猫が気持ちがいいかよく知っているようだった。

クーちゃんも撫でてもらってうっとりと静かにしていた。

ヤエさんの手の動かし方がゆっくりで優しいからだろうか、クーちゃんはヤエさんを甘噛みしたりしなかった。

介護家族に猫がくれた2倍の幸せ

2018/7 97歳 要介護4

97歳、要介護4、言葉が出なくなり、笑顔が少なくなっても、ヤエさんは猫を可愛がった。

クーちゃんも朝と晩、いつも変わらずヤエさんのそばに行った。

ヤエさんは病院に入院している時も猫の本を見せたり、猫の DVD を見せたり、猫の写真を見せたりするととても喜んだ。

98歳、要介護5、退院して、もうほとんど喋らなくなったヤエさんだったが、クーちゃんは自然とそばに行き、いつもふたりで寄り添っているようだった。

食べ物や飲み物の飲み込みが難しくなってからも、クーちゃんはヤエさんがベッドで眠るまでそばにいてくれた。

2018/9 98歳 要介護5

猫がそばにいるだけで、ヤエさんが優しい気持ちになり、温かい気持ちになって眠れる 。

クーちゃんも5年間、ヤエさんを見守ってくれ、介護生活の癒しになってくれた。

猫のいる暮らしは、ヤエさんと私に猫のいない暮らしの2倍の幸せをくれた。

 行動調整の心理学、心理学に基づいた子ども理解、新しい行動を形成する創作教材、について紹介します。市販教材も紹介します。
 要支援2~要介護5のアルツハイマーの親の15年の介護でやってみたアイディアも投稿しています。
 7匹の猫生の記事も笑えます。
 このブログの題名「猫ちゃん」は、認知症の親が猫の名前を憶えられず「猫ちゃん、猫ちゃん」と可愛がったことに由来しています。

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