発達障害児のかんしゃくは泣き叫び叩く荒れた行動でわからない!と訴えている

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金沢のアカシヤこどものへやのゆきひろ君は、感覚過敏、偏食、便秘、ぐずり、こだわり、かんしゃく、爆発が激しい子どもさんです。

今回は、ゆきひろ君が療育担当のさちこ先生と北陸自動車道の遠路ドライブに出かけた時のお話を、木村允彦先生の「加賀つれづれ 障碍児者とのそぞろ歩き」第2巻353ページ「こだわった子どもたち」から紹介します。

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実物のタオルは身体のどこかを「拭く」という言葉

寒暖差で車内の窓ガラスが曇り、高速道路を運転中のさちこ先生は、後ろの窓ガラスを拭けません。

ゆきひろ君に、タオルを渡し、「後ろの窓 拭いて」と頼みます。

ゆきひろ君は後ろの席に移動して、なんと、自分の顔を拭きます。

さちこ先生がまた、「窓 拭いて」と、音声で頼みます。

今度はゆきひろ君は、頭を拭きます。

3度目を頼むと、ゆきひろ君は首を拭きました。

そこでさちこ先生は、以下のように理解します。

ゆきひろ君にタオルを渡すと、それは「身体のどこかを拭く」という言葉だ。

ゆきひろ君は、「拭く」は理解したが、「窓を」は取り込まない。

タオルという実物は、身体を拭くものであるが、窓を拭く経験はまだない。

ゆきひろ君にとって、車の「窓」は、開ける、閉めるものである。

ゆきひろ君は、慣れた動詞「拭く」の一語文はわかったけれど、目的語+動詞「窓を拭く」の二語文は取り込めなかった。

ハンドルを握りながらさちこ先生はそう理解して、ゆきひろ君ともっともっと言葉の学習が必要であることを痛感しました。

ゆきひろ君がここでかんしゃくを起こさなかったのは、「窓を拭く」というわからない行動を強要されなかったからです。

さちこ先生の側が、ゆきひろ君がなぜ身体を拭いて、窓を拭けないかを理解して、音声指示を引っ込めたから、かんしゃくには至りませんでした。

ゆきひろ君とさちこ先生の関係から、以下のことが読み取れます。

子どもたちがかんしゃくを起こす時は、わからないことをさせられた時ではないか?

子どもたちのかんしゃくは、子どもがなぜそのような行動をとったかを、我々大人が気づけず、理解していない時ではないか?

子どもが何がわからなくてかんしゃくになったかを大人が見抜くには言葉の難易度を理解する

さちこ先生とゆきひろ君のやり取りを見ると、かんしゃくを起こしやすい子どもは、わからないことを無理強いされなければ落ち着いて振る舞う、わからないことを無理にやらされると泣き叫ぶ、と考えられます。

病院の療育に来てくれる特別支援学校小学部1年生のあっちゃんも、デイサービスで音声で話せる子どもたちと同じことをさせられる時、わからない状況の時に、頬を叩く自傷が激しかったです。

たくさんの情報が詰め込まれる音声の、一部分しか理解することができない子どもたちの「わからない!」という叫び、がかんしゃくです。

かんしゃくが起きる状況は、これくらいわかるだろうという大人の音声指示を、子どもはわかっていない状況ですね。

タオルという実物と、拭くという行動から、ゆきひろ君は「タオル=身体を拭く」はわかるが、「タオルで窓を拭く」はわからないと、さちこ先生は理解しました。

さちこ先生のように、子どものわかること・わからないことを理解するには、脳の外に見えている実物などの言葉➡身振りの言葉➡絵による言葉➡文字や音声の言葉一語文・二語文➡主語動詞目的語など、子どもがわかりやすい言葉の構造を知っておく必要があります。

実物イメージ、身振り、絵、文字、音声など、合図となる言葉の構造は、梅津八三の「言語行動の系譜けいふ」で理解しやすくなります。

子どものことばの発達を理解する梅津八三の「言語行動の系譜」

木村允彦先生の「加賀つれづれ 障碍児者とのそぞろ歩き」第1巻115~127ページにも、梅津八三の「信号系と行動体制変換」の、分かりやすい解説が掲載されています。

言葉の構造と、パニックやかんしゃくなどの救急行動の関係も、説明があります。

子どもの心 理解のバイブル「加賀つれづれ 障碍児・者とのそぞろ歩き 」全3巻 木村允彦著

発達障害のある子どものかんしゃくも言葉の意味がわからない状況と理解する

ゆきひろ君とさちこ先生の事例は、発達障害のある子どもたちのかんしゃく理解に通じます。

かんしゃくがあるという主訴で病院に来た子どもさんと、WISC-Ⅳ、WISC-Ⅴの心理検査をすると、子どもたちの音声理解の弱さがわかります。

10問の文章理解テストで、5問ずつ回答の選択肢があっても、文章の意味を読み取れない、発達障害の子どもは多いです。

この言語理解の弱さが、かんしゃくの一因、友達とのトラブルの一因になります。

整った環境の1対1の検査で、音声理解が難しいということは、通常学級の友達との会話、先生の音声での教科の教えの理解が難しいということです。

友達とのトラブルは、状況の絵、文字を書きながら、振り返りをしてください。

「みんなの教育技術」から

先生の音声指示は、短い二語文にしてください。

例えば「三角形、四角形、円、球、円柱、円錐、X 軸、 y 軸、比例の直線のグラフ、反比例の双曲線のグラフ」などの学習では、是非、先生も子どもも、音声に身振り表現をつけてください。

例えば持っていくもの「赤白帽子、水筒、筆記用具」と指示を伝える時も、必ずかぶる動作、飲む動作、書く動作の身振りをつけてください。

そうすることで、脳内記憶やワーキングメモリーが弱い発達障害の子どもたちは、音声を理解しやすく、記憶しやすくなります。

音声の難しさについて、大人の理解が増えると、子どものかんしゃくが減ります。

音声に身振りをつけることは、どんな道具の準備もいらないので、是非、きょうからやってみてください。

ペットを飼いたいという子どもさんで、猫を飼ったら、お世話もするようになり、かんしゃくが減った子どもさんもいます。

発達障害に関する おすすめの本

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