30歳のダウン症のまさや君のことば

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30歳のダウン症のまさや君は、幼児期から特別支援学校高等部まで、不明瞭な構音ながらも、音声のことばを発していました。

B型作業所に就職し、成人し、不明瞭な構音では相手に伝わらないことを、次第に自覚したのか、23歳頃から、音声でしゃべらない人になりました。

なんとかまさや君が、音声の言葉を再び発しないかと、26歳頃から、病院の療育でも、iPad を使い、アプリ「かなトーク」を使い、家庭でもご両親が「絵カードコミュニケーション」などで、発声をねらってきました。

まさや君は、30歳の現在では、イエス・ノーの首振り反応、指さしによる選択反応がとても早いです。

病院の療育で、まさや君と3回目のパン販売を実行してみて、まさや君の意思表示は、首振り反応と指さし選択反応で良いのではないか?と思いました。

音声は話せる人にとって便利なことば

音声言語は、道具が何もいらず、便利です。

複雑な考えを、発声運動だけで、相手に伝えることができます。

それでは、音声で話さなくなったまさや君は、気持ちを伝えられずに不便なのか?

まさや君の立場で考えてみます。

パン販売の後で「疲れた?」と尋ねると、まさや君はすぐに首振りで、ノー=「疲れていない」と答えてくれます。

まさや君にとって、イエス・ノーの首振り、指さしで選ぶ、これらの身振りは、まさや君が楽に応答できる「ことば」です。

身振りは、音声ほど複雑な内容を話せないかもしれませんが、音声と同じに価値のある「ことば」です。

身振りも、音声同様に、道具は何もいらないので、便利です。

まさや君に確定している首振りと指さし、これを大事にし、まさや君の首振りと指さしが、誰とでも、どんな時にも、起きることが大事なのではないか、と思えてきました。

60分の過ごし方を選ぶまさや君

あらかじめ、まさや君の予定カードを、付箋紙で作っておきました。

まさや君は、助詞を使わないので、助詞のない文カードです。

療育の部屋のテーブルについたまさや君に「どれからやりたい?」「1番はどれ?」と尋ねると、まさや君は文字カード「アイパッド うた きく」を指さして選びます。

「ここ 貼って」と、私が1の枠を指さすと、付箋紙を置きました。

「2番 どうする?」と尋ねると「パン はんばい いく」のカードを置きました。

作業所の売店で購入してきてくれたパンの袋を、お母さんがまさや君に見せてくれます。

パン販売をイメージできるのか、まさや君が笑顔になります。

3番目は、まさや君は、家族で回転寿司に行くのが好きなので、お寿司のシールを用意しました。

まさや君は、1番に、大好きな童謡を iPad で3曲聞いて、文字が出るので小声で歌い、歌に合わせて、身振りの踊りも見せてくれました。

歌は、歌詞が変わらない定型なので、まさや君も、発声しやすいです。

パンの販売学習

療育の部屋で、iPad に「こんにちわ。 パン いかがですか。」 と入力します。

まさや君は、ひらがなとカタカナを使い分けて、入力できます。

お母さんが用意してくれたパンを、まさや君が販売ケースに並べます。

まさや君は階段を怖がるので、エレベーターで移動します。

心配性のお母さんが、親心から「こんにちわって言ってね」と、まさや君に言います。

スタッフルームの入り口で、まさや君はiPadの発声ボタンを押します。

iPad の発声ボタンを押して 挨拶をします

まさや君は「こんにちわ」と発声しないけれども、iPad の発声ボタンを押して、iPad の音声を聞くことで、心の中で挨拶しています。

まさや君に、言葉がないわけではありません。

10年以上、かりんとう販売学習をしている一平君は、iPadのかなトークで文章を作る時、スタッフルームの入り口で挨拶する時、最近では iPad の発声に合わせて、定型の販売挨拶を、発声するようになりました。

まさや君も、まさや君の内言語が、表出される時が来ると考えています。

今は、まさや君に起きにくい発声を iPad が代替しています。

お客様がパンを選ぶ間、無料アプリ「レジスタディ」の画面を用意して待ちます

まさや君は、iPad を丁寧に器用に、両手で持ちます。

150~250円のパンは、全て売れました。

無料アプリ「i金種計算機2」で、売上金の集計をします。

まさや君は、お金の個数を、数字を選んで入力します。

無料アプリi金種計算機2

売上金の合計額は3130円で、パン購入のレシートとぴったり一致しました。

お寿司のシール貼り

まさや君に「好きなのから貼っていいよ」と伝えると、算数を勉強した人らしく、台紙の左から順に、マグロ➡エビ➡卵焼き➡イカと、シールを貼っていきました。

まさや君はマグロが好きなので、マグロから貼り、マグロが一番左だったので、左から順に貼ったのかもしれません。

どういう基準で貼ったか、まさや君は説明しないけれども、まさや君の選んだ行動から、我々はことばで考えることができます。

嫌いなイクラは、貼らずにシールを残しました。

お母さんが「イクラは絶対食べません」と教えてくれました。

そういう取捨選択の行動が起きるまさや君は、「嫌いなイクラのシールは貼りたくない」という言葉を脳内に持っています

追加4番「アイパッド うた きく」

5分ほど時間が余ったので、いつもは療育の最後に聞いている童謡を指さして、「アイパッド うた きく?」と尋ねると、まさや君はすぐに、イエスとうなずきました。

そこで、予定の画用紙の3の脇に、4.▢を書いて、1番の「アイパッド うた きく」の付箋紙を移動させました。

iPad のアプリ「歌入り 童謡」は 8 曲あります。

まさや君は初めに聞いた3曲を覚えていて、まだ聞いていない5曲の中から4曲を聞いて、終わりにできました。

まさや君のことば

イクラのシールを貼らなかった行動、笑顔、指差し選択、イエス・ノーの首振り、iPad「かなトーク」の発声ボタンを押す、歌に合わせて踊る、歌詞を見ながら歌う、どれも、まさや君の「ことば」だと考えています。

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