鳴かない猫の花ちゃん
花ちゃんは、緊急時に助けを呼ばない猫だ。
普段は、「花ちゃん」と呼ぶと、視線をくれて「ニャー」と返事をする。
また、3食の食事の時間帯には、人の顔を見上げて「ニャー」と、足元に催促に来たりする。
特に、朝はお腹が空いているのか、朝ごはんの要求は、最も自発的な「ニャー」語がある。
花ちゃんを閉じ込めてしまった
冬なのに、花ちゃんを人気の無い場所に置き去りにして、ドアで閉じ込めてしまったことが3度ある。
ホント、申し訳ない飼い主である。
1度目は、「花ちゃん今夜はベッドに来ないなあ」、と思いながら、何も疑わずに休んでしまった。
その時は、朝、階段のドアを開けたら、花ちゃんがピョンと、十二支の順番が決まった物語のネズミのように飛び降りて来た。
一晩中、階段のドアに張り付いて、起きていたのだろうか。
探さなくて、ごめんね、花ちゃん。
私がお風呂の用意をしている間に、浴室とは逆方向の階段を上っていったらしい。
花ちゃんが私のすぐあとを付いてきたとは知らなかったので、カーテンを閉めたり、エアコンをつけたりして、階段のドアを閉めたのだ。
休む時、私が物音に注意を払わなかったせいもあるが、花ちゃんのSOSの鳴き声は全く聞こえなかった。
鳴いたりガリガリしたりしてほしい
この1度目の時に、花ちゃんは緊急時に鳴かない猫だと思った。
だから閉じ込めてしまうことに、注意をしなければいけないと、その時は思った。
二代目猫のクーちゃんは、閉じ込められると鳴いてくれた。
だから助けられた。
クーちゃんは、生まれた時から家猫だったせいかもしれない。
訴え方が上手であった。
初代猫のお母さんも鳴かない猫だった。
お母さんも元々は花ちゃんのように野良猫だった。
野良猫は、自分の居場所をよそ猫に知られまいと、鳴かないのだろうか。
子育て中の母猫であることも、鳴かないようにさせているのかもしれなかった。
SOS の声を挙げないところが、野良猫だったお母さんと花ちゃんの似ているところだ。
子どもでも、一番肝心な時に、固まって黙ってしまう子どもたちがいる。
恐怖と不安で、声が出なくなってしまうのかもしれない。
下位の動物である猫にある行動は、上位の動物である人間の行動にも含まれている。
2度目
2度目は昼間だったので、「あれ、花ちゃん、いないなあ」と思って探し回り、ドアを開けたら、花ちゃんは何事もなかったかのように、そーっと入ってきた。
冬だから、昼間でも寒いので、花ちゃんがいくら猫の毛皮を着ているといっても、「気をつけなきゃな」とその時も思った。
昼間で、探したからいいようなものの、花ちゃんの行方を忘れてドアを閉めてしまう。
記憶が弱くなった、懲りない飼い主である。
2度あることは3度ある
3度目が、昨夜だった。
1度目と同じだった。
「花ちゃん今夜はベッドに来ないなあ」、と思いながら、何も疑わずに休んでしまった。
花ちゃんは1度目の時と同じに、昨夜また私のすぐ後をついてきて、私がお風呂を用意している間に、浴室とは逆方向の階段を上っていったのだ。
そうとも知らずにまた、エアコンをつける時にドアを閉めてしまった。
休む時、花ちゃんがベッドに来ないのだから、全てのドアを見なければいけなかった。
花ちゃんの存在位置を確認しないで、「今夜は花ちゃんは別のベッドでのんびり寝ているのかなー」と、思い込んで休んでしまった。
1度目のことを思い出さなかったのだ。
こんな飼い主に飼われる花ちゃんは、とんだ迷惑である。
紙に「花ちゃんは いるか?」と書き留めて、エアコンのリモコンそばに貼りたい。
猫を飼う力
花ちゃんをもらうとき、条件に「高齢者お断り」があった。
自分では若いつもりであったが、記憶の頼りなさを、この1~2年ひどく感じる。
記憶だけでなく、身体も衰えていて、この半年くらい、手足に小さな怪我をいくつもする。
パソコンにかじりついてばかりいないで、有酸素運動をしなきゃいけない。
血流や脳に酸素を送らないと、ますます花ちゃんのお世話が至らなくなる。
花ちゃ7歳、人間で言うと40代だ。
5年後、花ちゃんが12歳になると、私の人間年齢と大体同じくらいになる。
その先は、花ちゃんの方が4倍速で年取っていく。
花ちゃんのためにも、私は今から筋肉と記憶力を貯金しなければならない。
パソコンの椅子から立つたびに、20回その場スキップをする。
これを続けたら、幽霊血管による、足首から先の冷たさが減った。
花ちゃんは、昨夜の不眠による疲れもあってか、鳩のような寝息を立てながら、窓辺の猫台で、足を温めながらお昼寝をしている。
きょうは、冬の日差しが嬉しい。
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