自閉症の子どもが落ち着いて勉強できる環境作り

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皆さんは、電車やバスで、どこに座りますか?

映画館や会議室の椅子では、どこに座りますか?

私は必ず、一番はじに座ります。

両端りょうはしに人がいると、両方に気を使って、落ち着きません。

一番端なら、隣り合う人は、1人だけで済むので、緊張が半分になります。

これは、私に自閉傾向があるからだと思っていましたが、以下の画像のような調査によると、大抵の人間がはじに座るのだそうです。

yahoo!ニュース2000人の調査から

自閉症の子どもたちにとって、教室の隅が心理的に落ち着く場所であることも、自然なことなのですね。

そう理解して、スモールステップを工夫して、学校時代に落ち着く環境を増やしていければ、社会生活になじんでいくことが可能と考えています。

安心安全の基地のテントを折りたたみに変更して、参加の場所に持っていく

ある子どもさんは、キャンプのテント、災害のトイレ囲いテントの中が、とても落ち着くそうです。

光や音、人のふいの接近をさえぎることができるので、安心できるんですね。

このテントを折りたたみ式に変更すると、特別支援学級や協力学級への移動先、中学進学先の教室で、使うことができます。

大好きなもの、安心できるものを、新しい場所へ踏み出す基地にすると、うまくいく話を、前回、猫のクロちゃんのホットカーペット移行でお話ししました。

教室の隅に、基地であるテントを置けば、いつでもそこへ戻れる安心から、広い教室内への踏み出しが可能になります。

机と椅子は教室の端、2面が壁に囲まれた角がいいですね。

角に背中を付けたいか、角に顔を向けたいかは、本人に聞いてみましょう。

テントに代わるパーテーション

テントの進化系のパーテーションは、市販品があります。

特別支援学級や保健室などでも、盛んに利用されていますね。

おりたたみシールド 特別支援現場用品 集中学習 パニック対策

机全体を囲む1人用のタイプもあります。

机の上だけに設置できるものもあります。

ダイソーは300円で、上の3面タイプの白いデスクパーテーションを販売しています。

(30㎝+60㎝+30㎝)×45㎝が取れるダンボールがあれば、自分でも作れそうですね。

以下のネットからの画像は、自閉症の子どものお母さんが、お家の室内をパーテーションで3つのコーナーに整えた事例です。

自閉症しょぼくんのお部屋 楽天ブログから

左から、玉転がしやお絵かきで遊ぶコーナー、中央の勉強するコーナー、右のプラレールのコーナーなど、コーナーを分けることによって、お片付けもしやすくなっています。

保育園や療育機関も、このようにコーナーで別れていると、自閉症の子どもにとって、活動の意味が場所で分かりやすくなります。

落ち着ける場所だと勉強にも取り組みやすい

自閉症の子どもがリラックスするには、以下の画像のようなスヌーズレン環境が落ち着けます。

このスヌーズレン環境を、教室内に設置したのが、オーストラリアの学校の事例です。

オーストラリアのジェラルトンの学校に設置された「部屋の中の部屋」

さすが、子どもたちを守るために、14歳以下の子どもの SNS 利用を制限する法律を作るほどの国、一人一人に手厚い、特別支援教育環境の進んでいるオーストラリアですね。

自閉症の特性に合わせて、スヌーズレンを基地にして、先生との学習に踏み出させる部屋です。

日本にも、感覚過敏やパニックを和らげる、クールダウンの市販品のボックスはあります。

販売先 感覚過敏研究所

これは、一人で入る大きさのようです。

オーストラリアの事例は、クールダウンの部屋を半分にカットして、先生と2人で入れて、机で学習できるところが素晴らしいですね。

耳栓、イヤーマフ、ノイズキャンセリングイヤホンなどの利用

自閉症の子どもにとって、仕切りのない広い教室は、不安な環境です。

教室がうるさいと、自分の手で、耳を抑える子どももいるかもしれません。

すると、手が塞がれて、工作や勉強、給食に向かえなくなってしまいます。

耳穴を塞ぐことを本人が嫌がらなければ、耳栓、イヤーマフ、ノイズキャンセリングイヤホンなども利用しましょう。

雑音を遮断した学習にも使えるし、好きな音楽を聞いてリラックスすることにも使えます。

自閉症の子どもが安心できる、テント、部屋、コーナー、パーテーション、カーテン、イヤホンなどを使って、工作など手を使った学習や、書き込みの少ない〇✖選択のプリントなどから、先生とのコミュニケーション、友達とのコミュニケーションを増やしていきたいですね。

安心できる場所や物で、学校生活を送る経験が、中学校、高校、職業生活に繋がっていきます。

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 病院小児科で臨床発達心理士をしています。
 梅津八三の心理学、行動調整法、子どもの行動理解、育児、教材、ソーシャルスキル、介護、猫の行動について投稿中です。

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