介護を楽にする食品の調理法と入れ歯

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食品の調理法

 ヤエさんは、何でも食べてくれる人だ。

好き嫌いは、聞いたことがない。

うなぎやお刺身も食べたし、チーズやステーキも食べた。

農家で育ったので、野菜ももちろん嫌いなものはない。

果物で、酸っぱいものが、少し苦手なくらいだ。

甘い温州みかんは、喜んで食べた。

要介護4の後半、感覚過敏が増して、みかんの袋やスジを嫌がったので、きれいに袋をむいてお皿に出した。

好き嫌いのないヤエさんだったので、献立に困ることはなかった。 

要介護1~4まで、ヤエさんの献立で留意した第一は、根菜類などを柔らかく煮るようにした。

第二段階では、小さくカットした。

第三段階ではみじん切りに刻んでやるようにした。

リンゴや梨も3 mm ぐらいに薄く切れば、食べてくれた。

お正月のお餅も1.5cm 角くらいにカットして茹でると、噛みやすく、のどに詰まらなかった。

ラーメン・おそば・うどん・そうめんなどの麺類は、麺の長さを10 cmくらいにカットして茹でれば、食べやすかった。

誕生日のお食事

88歳から95歳までヤエさんの誕生日には毎年、ヤエさんの弟がファミレスの夢庵でごちそうしてくれた。

姪が、美しい花束をくれた。

93歳の誕生日 要介護3

ヤエさんの笑顔も、花のようだ。

誕生祝膳を、ヤエさんは毎年嬉しそうに、夢庵で食べてくれた。

しかし会話はなくなり、ひたすら食べ物だけ見て、食べているヤエさんだった。

寂しい気がした。

認知機能が衰え、言語が退行していくのだから、食べてくれるだけでいいと、思わなければならない。

兄弟に会って、お出かけして、ご馳走を食べること、ヤエさんの笑顔、それでよかった。

96~98歳の誕生日は、自宅で祝った。

97歳の誕生日 要介護4

噛めるうちの入れ歯は大事 

一番初めに食事で困ったのは、ヤエさんの体重が痩せて、歯茎も痩せて、入れ歯が合わなくなった時だった。

83歳で認知症の診断が出てから87歳まで、ヤエさんは近くのスーパーに買い物に一人で行けた。

私が夕食を作っていたが、ヤエさんは昼間パンを買ってきて、昼食に柔らかいパンを食べるようになった。

入れ歯が合わなくなり、和食の昼食より、パンが噛みやすかったらしい。

ヤエさんの弟の提案で、入れ歯を新しく作り変えることにした。

新しい入れ歯で、噛む力が復活した。

89歳、要介護1頃は、入れ歯と補聴器と杖が、ヤエさんの三種の神器だった。

ヤエさんは70歳で車の免許を返納したので、車も買わないし、旅行にも出かけたがらないし、高価な服やバッグを欲しがるわけではない。

無駄遣いをせず、ささやかな暮らしを楽しんでいた。

国民年金は60歳からもらってしまったので、40%カットされたまま年間36万円くらいだった。

しかし、お金を使わないヤエさんなので、補聴器と入れ歯はいいものを奮発した。

入れ歯は保険の効かない高価な入れ歯を選んで、1回の受診で作ることができ、1回の調整でうまくいった。

以後亡くなるまでの約10年間、この入れ歯はヤエさんの食生活を支えてくれた。

ありがたかった。

入れ歯をあきらめるとき

下の入れ歯は総入れ歯だが、上の入れ歯は、部分入れ歯で、脱着が難しかった。

95歳から3年間は、私が脱着していた。

脱着にはコツがあり、デイサービスの介護士さんにそれを伝えるのが難しかった。

しかしデイの介護士さんは自宅の洗面所まで来てくれて、脱着の研究をしてくれた。

老健・サ高住・グループホームにヤエさんを預けるときに、私が思い切りよく、この部分入れ歯を諦めると良かった。

噛むことが大事だと思い、部分入れ歯をお願いしたが、かえってヤエさんの拒否の態度になって、ヤエさんはサ高住虐待された。

ヤエさんは私以外の者の、部分入れ歯の脱着を拒否するようになっていた。

部分入れ歯がなくても噛めるのであれば、部分入れ歯はどこかの時点で諦めるといい。

噛みやすい、刻み食やムース食にするとよい。

在宅介護では決まった家族が1つのやり方で、部分入れ歯の脱着を手伝える。

施設等では交代勤務で接する人が変わるので、部分入れ歯の脱着は、本人にも介護士さんにも大きな負担となる。

一時、日本中で人気者だったきんさんぎんさんのきんさん100歳は、マグロのお刺身が大好きで、入れ歯なしで食べていた。

ヤエさんは要介護4から、噛むことに時間がかかるようになり、薬が飲み込めなくなった。

要介護4の最後の方は、在宅中にそうなったので、その時に入れ歯を止めると良かった。

要介護5、脱水で入院した時に言語聴覚士さんが、食事の飲み込み指導もしてくれた。

身体を45°にして、ゼリーや水分をあげると、気道に入らず、食道にゼリーやムース食が落ちやすいということで、退院してからも真似をした。

ムース食であれば、入れ歯はいらない。

食べる力は、まず噛む力が落ち、次に飲み込む力が落ちる。

ヤエさんも、亡くなる前日の夕食では、ムース食の誤嚥が、我が家であった 。

次回はムース食の材料や、口腔ケアのコツについて書きます。

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 病院小児科で臨床発達心理士をしています。
 梅津八三の心理学、行動調整法、子どもの行動理解、育児、教材、ソーシャルスキル、介護、猫の行動について投稿中です。

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