教育仮設3-1 苦手に配慮する・楽しいプリント・緩衝行動
E君も、書くことをとても嫌う、子どもさんだった。
1日6時間、週に5日間、歴年齢の子ども達のように、週に29時間、先生の指導計画通りに学習するということは難しかった。
1.小学校6年生の時の担任の先生は、床から垂直に立っている状態の大きな白板を使って、九九の学習をしてくれた。

机の上の小さなプリント学習ではない。
平面ではなく、立体的に起きている白板の、磁石カードの九九教材が、とても重要だった。
E君は、初めて45分間座り続けて、担任の先生と算数を学習した。
2.先生は、筆算のプリントも大きな数字と、しっかりとした枠で、 A 4サイズの1枚に文章題1問や、筆算4問のプリントにしてくれていた。


3.学習の合間には、担任の先生が用意した、魔法陣という、どの辺の数字を4つ足しても、同じ数になるクイズ問題を、楽しんでやっていた。
先生は、E君の書写の苦手さに対する工夫を、様々にしてくれていた。

4.E君の緩衝行動は、レゴブロックで、車や好きなキャラクターを作ることだった。
学習を頑張ると、小学校では、ブロック作りができた。

教育仮設3-2 好きなもの・確定域で中1ギャップを乗り越える
中学に進学して、大きく環境が変化して、E君は学習体制になかなか乗れず、小学校の時と同様に、着席しての学習ができなかった。
5.E君の好きなマインクラフトのレゴブロック「畑」を私は購入し、持参し、中学校を訪問した。
マインクラフトのレゴの箱を見せると、椅子に座ってくれた。
説明書を見ながら、あっという間に作った。

6.マインクラフトのレゴの出来上がり区切りを狙って、すかさず、持参したスーパーのお買い物セットのおもちゃを私が差し出した。
するかしないかを問うのではなく、E君がやると決めている問い方で、「E君は、お買い物するお客さんをする?レジ係になる?」と役割を問うと、E君はレジ係を選んだ。
先生方がお買い物客だ。
レジ係のE君は、品物の加算の計算をして、先生方の支払いに対して、E君がお釣りを支払った。
この日、数学らしい学習に至るためには、確定域のマインクラフトのレゴブロックと、お買い物セットのおもちゃが必要だった。
授業の始めからすぐに、プリントにはなかなか取り掛からない。
書字の苦労がない教材、困難な思考のない・わかる・出来る教材の提供が、着席行動や踏み出しのきっかけだ。

教育仮設3-3 手で触れる・動かせる・カラフルな教材には取り掛かる
7.「教科書で歴史の勉強をしましょう」と言ってすぐに、机と椅子にE君が座ってくれるわけではない。

8.100均のダイソーやセリアで売っている、E君の好きな恐竜のマイクロブロックを持参した。

これは、喜んで机と椅子でやってくれる。
歴史の学習の着席行動のきっかけに使うといい。
9.填め板の恐竜や、パズルの恐竜も、喜んで行なってくれた。
理科や歴史の古代の学習の導入に使う。

10.教科書を読むよりは、好きな恐竜のかるたを読むことの方が、行動が起きやすい。

11.取り掛かりは手で操作できる教材がいい。
歴史については、ダイソーの「日本史かるた」というものを持参して、教科担任の先生に一緒に行なってもらった。

かるたのように手で動かせるということが 、E君の取り掛かりを起きやすくさせた。
かるたを並べるための下絵が、カラープリントであるということも、白黒プリントより取り掛かりやすかった。
まずは、教科担任の先生とE君との競争で、歴史人物や歴史事件のかるたを、カラーコピーの上に、重ねて並べた。

次に、私が年号・人物・事件の読み札を読んで、教科担任の先生とE君との競争で、私が読んだかるたを探してもらった。

さらに、人物や事件の名称カードを重ねながら、先生は、1枚1枚について、かるたの人物名や事件名の歴史の話をE君に短くしてくれた。
E君は、手で操作して目で見ている1枚1枚について、静かによく聞き入っていた。

12.学習を頑張ったり、学習で疲労が出た時は、E君の好きな武将の兜もマイクロブロックで作った。
3歳頃から10年間やっているレゴブロックは、E君の確定域・得意なものだった。

13.ブロックの次にパズルも大好きで、地図については、日本地図パズルをスタートとすると、県名を学習してくれた。
これも、教科担任の先生と、支援員さんと、E君と、私の4人で、競争した。
先生は、県の名産品について、E君に尋ねたり、先生が話したりしてくれた。
E君は講義をじっと聞いたり、板書を書写したりは苦手だが、手で操作して目で見ている時は、「青森県はリンゴの生産地」などをよく聞いたり、知っていることを話したりできた。

教育仮設3-4 解答をシールにして選択させると取り掛かる
14.日本地図パズルに続いて、私がボール紙で作成して準備した、居住地の自治体の地図パズル(グーグル検索をプリントアウト)を合成させた。

上記の地図パズルおよびインターネットからプリントアウトした居住地の地図(下のプリント⇩)を見ながら、東西南北の地図の読み方の学習をした。
学校や自分の家、友達の家の位置を確認した。
書くことを嫌がるので、方位の解答をシール選択肢にした。

15.アルファベットについても、ダイソーの ABC のカラフルな填め板をはじめに行ない、次に私が作成したアルファベット文字タイルを使って、小文字の学習をした。


16.最後に、E君の好きなキャラクターのマーベルヒーローで、英単語の学習をした。
書くことを嫌がるので、キャラクター名の日本語意味と英単語を、シール選択肢にした。

17.国語も、行事があるごとに、付箋紙の脳外作文を行なう。

以上のように、立体的である教材・手で触れるものである教材・移動させられるカード教材・カラフルである教材・興味のある題材の教材を使って、立体から平面に移行させることによって、教科書やプリントに至ることができる。
また、シール選択肢や付箋紙などの書字の代替え手段によって、学習に取り掛かることができる。
取り掛かりやすい教材を使うことで、着席行動や、学習の態勢を整えることが可能である。
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