発達障害児は、文科省の調査で6%程度存在すると言われています。
100人中6人、通常の30人学級で2人くらいですね。
発達障害とは、環境との相互作用で、発達期に目立つ、先天的な未熟さです。
発達障害とは
ADHD(注意欠如多動症) は、6~7歳で最も多動が目立ちます。
ASD(自閉症スペクトラム)は、抽象的な学習が増す3~4年生で、意味を取ることが難しくなります。
SLD(限局性学習症)は8~9歳を超えても、ひらがなを読むこと、文字を書くこと、算数の九九の習得などができません。
DCD(協調運動障害)は、走ったり、ボールを投げたり、文字を書いたり、衣服の着脱などが不器用です。
DCDは、ASDの人の80%に重なっていると言われています。
幼児健診でわかる場合や大人になってから分かる場合もある
家庭・学校・病院の診察場面の、どの場面でも、誰が見ても、発達障害があるとわかる子どもと、ひとつの場面だけでは、発達障害だとわからない子どもの場合があります。
小学校高学年から中学校にかけて、集団への適応が難しくなり、不登校にもなります。
大人になるにつれて軽減される場合も、生涯苦労する場合もあります。
家庭や学校に適応して暮らしていれば、病院を受診することもないので、不登校や引きこもり、パニック障害やうつ病、ゴミ屋敷状態が起きるまで、発達障害に気がつかなかったという場合もあります。
発達障害幼児を本人視点で育てる
家庭や保育園、療育機関では、どんなふうに、発達障害の子どもの本人支援をしたらいいのでしょうか。
大事な視点は、全てを「本人の立場で考える」ということです。
言い換えれば、我々が本人と一心同体になって、本人目線で世界を見るということです。
我々の価値観で理解するのでなく、本人の価値観を我々が知って、我々が先に歩み寄ることで、本人にも歩み寄りを提案していく。
まずは、本人理解から始めて、のちに相互調整に期待しましょう。
家庭では、しつけに苦労します
泣いてばかりいてスヤスヤ寝てくれない、
寝ようと言っても夜の9時10時に寝ない、
食べようと言っても食事の時間帯に食べない、
話し始めが遅い、
危険が分からない、手を離すと見つけた物のの方に走っていってしまう、
必ずパンツの中でうんちをする、
じっとしていられない、
母親以外になつかない、
反対に人見知りがない、
偏食が激しい、
など、24時間のうちの20時間くらい、保護者の苦労が続きます 。
保護者が産後うつ、育児うつになることもあります。
上記の状況を、本人を主語にして、考えてみましょう。
感覚過敏があると
泣いてばかりいるのは、感覚過敏・触覚過敏・聴覚過敏があるのかもしれません。
赤ちゃんのモロー反射による夜泣きを防ぐ、奇跡のおくるみ「スワルドアップ」4400円というのも、あるそうです。
抱くと泣くのか、ベッドに下ろすと泣くのか、衣類がチクチクゴワゴワすると泣くのか、湯船であれば泣かないのか、条件を調べていきましょう。
離乳食の難しさや、偏食の激しさも、感覚過敏・味覚過敏から来ている場合が多いです。
今は、好きなもので栄養を摂る、まんべんなく食べなくてもいい、保育園や小中学校で食べられることも起きる、と先送りして考えましょう。
感覚過敏や偏食は、年齢が小さいほど、保障してあげてください。
耐えられない不快を我慢させられると、どこかで、別の取り戻しや爆発が起きます。
睡眠が乱れやすい
夕方から朝まで12時間寝て、その後なかなか寝ないで、20時間起きている幼児もいます。
24時間の睡眠サイクルでなく、24.5時間の睡眠サイクルを持っている可能性もあります。
保育園で、お昼寝ができない子どももいます。
保育園や児童発達支援事業所~小学校へと、仲間モデルと同じ活動をする中で、睡眠が整う場合もあります。
保護者・家族・保育園は協力し合って、保護者が仮眠を取れるようにしましょう。
食事に関心がないので幼児は1日5食でいいと考えよう
食べることに無関心で、家族と一緒に食べる楽しみよりも、お腹がすいた時に食べるという、自分の空腹感に左右されます。
遊ぶことに夢中だと、空腹感を感じません。
家族が食べる時に、一緒に食べることが楽しい、ということが難しいです。
幼児は1日5食と考えて、好きな食べ物を、まめにあげてみましょう。
保育園に出ると、仲間モデルがいて、食事も整う場合があります。
家庭の保護者だけでしつけようと考えないで、保育園や児童発達支援事業所へ、お任せしてみましょう。
結果を考えない実験をしたがるが叱らずさっさと片付けよう
コップの水をテーブルにまける、ご飯茶碗やおかずの皿をテーブルから払って落とす、などの行動があります。
わざとというよりは、そうすると結果がどうなるかを見たいだけです。
他の子どもは、結果が分かるから、逆算して考えて、こぼさないのですが、発達障害のある子どもさんは、そうするとどうなるかという、進行方向だけ考えて、待っている間にこぼしてみます。
係わる我々は「あら、びっくり。困ったな。ふこうね。 」と、物だけ片付けると良いです。
発達障害の子どもさんの側に、意地悪してやろうという風な情動が込められているわけではないので、「何やってるの!」「どうしてそういうことするの!」と情動で叱っても無意味です。
相手が物理的な変化だけを考えているので、こちらも物理的に対応すると、穏やかに済みます。
困れば、食事の時は手の届く範囲のテーブルの上に何も置かない、好きな絵本やおもちゃを置いておく、などで対応しましょう。
おんぶや抱っこ、テーブル付きベビー椅子でもいいですね。
保護者がキッチンに立っている、流し台のそばまで、ベビー椅子ごとを連れて来ると、見守りながら食事を作れます。
話し始めが遅いので視線を追いかけよう
何を見ているか、いつも、子どもの視線の先に、大人の視線を重ねましょう。
子どもの視線の先にあるものを、身振りや言葉で、話しかけましょう。
夢中で遊んでいる時の強制終了は止めて、3回予告したり、区切りのいいところで、出かける靴や車のカギ、食事のコップなどの実物を見せて、「何々するよ」と声をかけましょう。
実物➡目で見た(スマホの)画像など➡身振り➡音声の言葉の順に発達します。
子どもの身体全体の行動➡子どもが手で触ったもの➡子どもが目で見たもの、なども、子どもが発している言葉なのです。
危険が分からない、手を離すと見つけた物の方に走っていってしまう
言葉が遅く、全体が見えない、結果を考えられないと、多動になります。
おんぶひもでおんぶする 、あるいは、他の家族についていてもらうと、いいかもしれません。
スーパーやホームセンターで、走って行っても、行き止まりまで走れば、止まったり方向を変えます。
困った時は、身振りで「ダメ」の ✖ 印や、行ってよい方向の「アッチ」を指差しましょう 。
安全のために、ハーネスを付ける場合もあります。
見栄えや世間体より、事故から子どもの命を守ることが大事です。
小児科を受診すれば、投薬治療もあります。
多動が24時間のうちの20時間続くと、保護者は疲弊します。
うつ病や自殺、育児放棄などにもなります。
祖父母の手を借りたり、保育園や療育施設の手を借りましょう。
育てられない時は、児童養護施設もあります。
「育児が無理です」と、市町村の保健師さんなどに訴えてください。
1歳で歩いて、3歳までしゃべらないとすると、この2年間が最も多動です。
2年間で終わると思えれば、祖父母や保育園の力を借りて、しのいでください。
子どもの身体が5歳で完成すると、何でもできるようになるので、6~7歳が一番多動です。
自分の気持ちが話せるようになったり、体重が重くなると歩くようになるので、これも小学校6年生までの辛抱だと思えれば、療育機関や通級指導教室の指導、あるいは投薬治療で乗り切ってください。
幼児期の対応のまとめ
親の側、社会の側から考えるのではなく、本人の側から考えます。
考える時の主語を「世の中が」とするのではなく、主語を「この子が」という風に考えます。
社会一般の子育てから考えるのではなく、この子ども本人がどんな感覚を持っているか、どんな考え方を持っているかを、知ろうとすることが、本人の側から考えるということです。
子どもの感覚と考えを理解できると、家族も協力しやすくなります。
保育園や学校へも、協力を依頼しやすくなります。
次回は、学齢期の発達障害児をどのように理解して支えていくか?
学校の先生がたに、集団場面から考えるのではなく、本人の側から考えてもらうことについて投稿します。
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