小学校5年生の算数は、とても難しいです。
小学校1~2年生の生活算数を超えて、3~4年生からは抽象的な数の世界の学び、になります。
5~6年生で扱う算数の数字は、ほとんど生活に登場しない、小数や分数が多いです。
18歳まで脳が発達するので、算数・数学も脳の訓練として、抽象的なことを学ぶんですね。
高校の数学で習った Log 関数なんて、私はすっかり忘れてしまいました。
小学校1~2年生の生活算数までは楽しいが、3~4年生からの抽象算数になると、チンプンカンプンになる子どもさんがいます。
チンプンカンプンの子どもたちの心理状態は、私に、数学の統計法を学べ、というのと同じです。
逃げたり、避けたり、したくなります。
「難しいね。何でやらなきゃならないのか困っちゃうよね。脳を発達させるって大変だね。」といっしょにため息をついて、共感したいです。
まずは、苦労への共感が大事ですね。
苦労は、分かってもらえると、半減します。
分からないことを学んだ後は、私だと、買い物依存・やけ食いでストレス解消、というところでしょうか。
子どもたちだと、結果としてゲーム依存、ファッション逃避などになりますか………。
ゲーム依存、ファッション逃避の手前には、学習の分からなさや自己無力感があるのだろうなぁ、と想像します。
電子ゲームやファッション逃避は、分からないこと・不快なことを頑張った、取り戻しの快感の補充ですね。
学習の分からなさや自己無力感は、外交的な子どもであれば暴言・暴力・非行が起きたり、内向的な子どもであれば不登校が起きたりします。
特別支援教育とは
学習は、分かれば楽しい、できれば嬉しいものです。
ちょっとした工夫で、楽にわかる、楽にできる方法を、私もいつも探しています。
解決のコツですね。
それが、特別支援教育だと考えています。
小数のたし算とかけ算の筆算は同時提示で比較
算数九九も暗記できていて、繰り上がりの小さな数字も上手に書ける子どもさんが、面積を出す文章題の、小数の掛け算の筆算でつまづきました。
横の式と、筆算の空間の位置取りが、苦手そうでした。
横の式の枠と、筆算の枠を、こちらが位置指定してあげた方が、親切でした。
ノートの空間の使い方の苦手さが、計算ミスを引き起こすことがあります。
間違った時の声のかけ方
子どもが取り組んだ結果に対して、「違うよ」とは言いません。
まずは、手前や途中の、できていることを褒めます。
「九九が正確だね。」
「繰り上がりの数字を小さく書けるね。」
「小数点以下が3つあることがよく分かっているね。」
この子は、筆算の下方が横の式と重なってしまったために、筆算の3段目の掛け算の108を足すのを忘れて 10.945 ㎡としました。
小数の掛け算も、小数点の位置をそろえると、小数点以下がいくつあるか、目で見てわかりやすいので、この子どもさんは、このように開発したのかもしれません。
子どもがチャレンジしたことに対しては、「考えたね、書いたね、計算したね、チャレンジしたね、大人もやってみるね、比べてみよう、もう一回調べてみよう。」などの言葉かけが、意欲を保持します。
「違う」と言われたら意欲がガクンと落ちるので、間違いを指摘するのでなく、「そうか、私もやってみるね」という、つぶやきと確認に留めます。
もう1回書いてもらう時の手伝い方
直す時も、「もう1回頼めるかな?」と、大人が消しゴムで消してやります。
せっかく計算したものが、間違っていてショックを受けているから、消す行動もおっくうになっているので、消してやります。
漢字練習で、漢字を間違った時も同じです。
「違う」と言うのではなく、2つを同時提示で書いて見せて、「どちらが習った漢字かな?」と、比較してもらい、たずねることです。
「違う」と言われたら、作った料理を「まずい」と言われた時の気持ちと同じだと、想像できますね。
そうなら、「あなたが作れ」と思います。
算数に困難を持っている子どもの、気持ちが切れる時は、間違った時、消さなければならない時、です。
ショックでカッとして、プリントをクシャクシャにしたり、暴言を吐いたり、教室から出て行ったりします。
算数に困難を抱えながら、能力以上の課題にチャレンジしている子どもに対しては、うまくいくように声を掛け、うまくいくように手伝います。
そうして初めて意欲が保持され、集中が長くなります。
「私もやってみるね」と計算してみせます。
「二人の答えが違ったね。同じになるか、もう1回やってみて。」
一度も非難されないと、子どもは2回目もやってみる気になります。
2回目をやってみたら、同じ答えが出てきました。
2回目は、数字をそろえて、美しい空間で書けました
そこで、小数の足し算と、小数のかけ算の、筆算のコツを整理して説明します。
足し算・引き算は小数点をそろえる。掛け算は末尾の位置をそろえる。
本人にも上記を言わせると、次の問題は1回で解決し、納得した本人から笑顔があふれました。
個別に学んだことを集団場面に活かす特別支援教育
個別指導が出来る通級指導の先生、学童指導員さん、家庭の保護者は、足し算・引き算は小数点をそろえる、掛け算は末尾の位置をそろえるというコツを、個別の学習場面でいつも子どもに伝えられます。
通常学級の担任の先生は、机間巡視で児童の算数ノートを見れば、上記の似ている計算のミスの起きやすさに気づきます。
先生の机間巡視での気付きは、その子が傷つかないような例題で、板書で皆に類似と差異を伝えます。
「AとBは、ここが似ていて間違いやすいよ。違う点は、こことここだね。」などと説明します。
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