アプリかなトークで自分の意思を表すようになった自閉症の一平君

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一平君は、音声言語がなかった、32歳の自閉症の青年です。

iPad にダウンロードしたアプリ「かなトーク」を、一平君が使うようになって3年目になります。

毎月1回、年にわずか12回の学習ですが、1音1文字対応の50音表音声発声アプリが、一平君の音声を進化させているので紹介します。

何をしたいかを「かなトーク」で一平君が書き表す

これまで一平君は、買いたいものや行きたいところがあると、身振りで書く真似をして、私に紙を要求し、「アピタ」とか「フレッセイ」とかスーパーの名前を書いていました。

それが今回、学習の最初に「一平君、何をしたい?」と、私が iPad のホーム画面を指さすと、一平君が「かなトーク」をタッチして、スラスラと文章を書き始めます。

びっくりです。

しかも自分で、アルファベット・カタカナ・ひらがな変換キーを押し分けて文字種を切り替え、以下のような文を書き、発声ボタンを押します。

多分、ハーゲンダッツのアイスの新種類の名称ですね。

どこで買いたいのかを聞くと、この文章の後に「スマーク」と書きました。

スマークは、一平君がお母さんと土曜日に必ず行くお店なので、明日でいいこと、病院の近所のコンビニやスーパーに今すぐ行かなくてもいいことが、私にも分かります。

一平君の意思表出の操作が、とても円滑で、お母さんも感激です。

お母さんに4万円の iPad を買ってもらった価値が出たと、私もひそかに安心しました。

私との会話の返事に、一平君がiPad の「かなトーク」を使って、伝えたい考えを書き表し、発声ボタンを押すようになった。

お互いに分かり合いやすい、この意思表出方法を継続していきたいと思っています。

「かなトーク」の50音表が、いかに自閉症の方の文章構成や発声を助けるか、皆さんにも是非使って欲しいです。

かりんとう販売

一平君は、かりんとうなどの製造販売をしている「ありさんち」という作業所に通っています。

販売学習では、1個130円のかりんとうを、毎回20個販売します。

病院内の職員に、かりんとうを販売するために、一平君にiPad の「かなトーク」で、販売の言葉「かりんとう いかがですか」を、毎回書いてもらいます。

毎回書いてもらっているので、50音表で1音ずつひらがなを探す時に、一平君から先に「音」が出ます。

かりんとうの販売では、アプリ「レジスタディ」を使います。

レジスタディの使い方は、以下に掲載しています。

お釣りの計算ができなくてもアプリの操作でお釣りがわかるレジスタディ

かりんとうの販売中に一平君が音声で伝達してきた

一平君は、買いたいもの・欲しいもの・したいことがあると、直接そこへ一人で行きます。

病院に来ると必ず、3箇所で3回ずつ血圧を測ります。

行きたいところ、したいことを、お母さんや私に伝達しないで実行します。

最近ではお母さんに隠れて、雨の日の夜でも、ゴミ集積場にゴミを出すことが、お母さんを困らせています。

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伝達や相談がとても難しい、自閉症の一平君です。

この1年ほどは、駐車場で、お母さんに止められないように車から走り降りて、病院の玄関の自動販売機のマスクを3箱買うのが、一平君のいつもの行動でした。

ところがこの日一平君は、目がとてもかゆかったので、マスクを買わないで、1番に私のところにやってきて、「目、目」と身振りと音声で、目薬が欲しいと訴えます。

看護師さんのところに一緒に行って、一平君に身振りで伝えさせ、学習する前に医師にかかり、目薬がもらえることになりました。

そして安心して学習を始め、かなトークで「GODIVAチョコレートアイスクッキーかう」と書いてくれたのです。

机上学習後、かりんとう販売に行った検査控え室で、突然、一平君が会計カバンを外し、私の目を見て「トイレ」としゃべります。

これまで、かりんとうの販売移動中に、トイレの前を通った時に、会計カバンを外して、トイレに行きたいと、実物の場所とカバンを外す動作で、一平君が尿意を伝えてきたことはありました。

今回は、トイレの前でなく、しかも音声で伝達してきたことに驚き、「トイレ 行っていいよ」と答えました。

ところが、かりんとう販売中の場所へ帰ってきた一平君は、マスクを3箱持っています。

そうか、きょうはまだ、マスクを買っていないことを思い出したのか。

でも、「マスク」と言うと止められると思い、必ず許可される「トイレ」と言ったのか。

一平君が音声で伝達してきたことに感動し、一平君のウソ?の賢さに感心しました。

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