教育仮設25-1 ローマ字読みの1種類なら簡単
小学校で、ローマ字を習う。
ローマ字は、アルファベットの子音kstnhmyrwと、母音aiueoとの組み合わせで、構成されている。
漢字の偏と旁のように左右の空間が決まっていて、左位置が子音、右位置が母音だ。
ka ki ku ke ko
ローマ字の読み方は、「子音と母音のペア」に対して、「音声は1文字」を対応させる。
カ キ ク ケ コ
一対一対応で、覚えればいい。
漢字の音訓のような読み替えもなく、位置空間を自然と身に着ける力がある一般的な子どもにとっては、構造的には楽に覚えられる。
学習障害と呼ばれる子どもは、この視空間認知が苦手で、空間の構造化が弱い。
それで、片付けが苦手だと、しばしば指摘される。
教育仮設25-2 アルファベット読みの登場による混乱
今時は、小学校でも、ローマ字の後に、アルファベットも習う。
ここで、母音の読み方が、ローマ字読みとアルファベット読みの2種類になる。
「ア・イ・ウ・エ・オ」と、「エイ・アイ・ユー・イー・オウ」である。
i「イ・アイ」と、e「エ・イー」の読み方が、最も混乱する。
1つの文字に対して、2つの読み方がある。
ここで、つまずく子どもも多い。
ローマ字読みと、アルファベット読みの、2種類を覚えられないと、中学へ行ってから、ローマ字の読み書き一辺倒になる。
例えば「play」プレイは、ローマ字の読み書き一辺倒の子どもは、「prei」プレイとなる。
大人になって英語なんか使わないんだから、英単語なんか覚えられなくたっていいか。
そうではない。
英語も数学も、18歳まで発達すると言われる、脳の発達に重要な、思考訓練なのだ。
教育仮設25-3 一対一対応 と一対多対応
どんな事象でも、「一対一」対応というのはやさしい。
「一対多」対応というのは、難しくなる。
漢字でも、「一対多」の同じ構造があった。
漢字は「海」1つでも、音「カイ」と訓「うみ」の、2つの読み方を記憶しなくてはならなかった。
漢字の読み方の、音と訓の2つを覚えることは、ある子ども達にとってはとても難しい。
自閉症スペクトラム、ADHD、学習障害などの個性を持っている子どもさんだ。
漢字の記憶には、言語能力がかかわっている。
事実や自分の気持ちが言えなかったり、音声系の記憶登録が弱かったりすると、漢字の意味を取り込んで記憶することができないし、偏と旁の名称も記憶できない。
教育仮設25-4 英単語読みも一対多対応
さらに、英単語の母音の読み方の、3変化が非常に難しい。
例えば、英単語の中の a には「ア」「エイ」「オー」という読み方がある。
読み方が、3つあることが非常に難しい。
ローマ字は、一対一対応でよかった。
英単語になると、1対3対応にもなるので難しい。
英単語の読み方で、ローマ字だけが読み方の基準となっている子どもは、
allアル almostアルモスト waterワタ― watchワチ と読む。
笑えない。
一生懸命読んでいるのだ。
教育仮設25-5 同時比較・同時提示
漢字の記憶のところでも書いたが、似ているものは、同時比較・同時提示が親切である。
漢字も英単語も、教科書にバラバラに登場する。
力のある子は、記憶の貯蔵量が多く、脳内で似ているものを比べ、該当しない単語を除外して、正答を頭の中から抜き出すことができる。
英単語の記憶が難しい子どもは、この脳内の操作ができない。
似ているものを脳外に並べて見せて、違いに気づかせることが大事だ。
教育仮設25-6 自分で自分に説明するこじつけ記憶
英単語を記憶するには、ある程度の言語レベルを必要とする。
違いを、こじつけて覚えなければならないからだ。
例えば、アルファベットの小文字26文字の記憶では
b と d が似ている(向きが違う。〇が向き合う)
p と q が似ている(向きが違う。〇が向き合う。9は数字の9と同じ)
n と m が似ている(nは1山 、m は2山)
h と n が似ている(hは棒が長い)
r と n が似ている(rは途中で止める)など
それらの違いを、上記の括弧内のように、スラスラ言えれば、記憶を助ける。
教育仮設25-7 英単語を音節で分け、こじつける
英単語の音節は、カタカナを1文字ずつ振れるところだ。
月曜日マ・ン・デ・イ
Moーnーdaーy
英単語の記憶を助けるには、「音節分け」出来上がる必要がある。
教科書の英単語の音節に//////スラッシュ線を入れさせよう。
月曜日は Mo/n/da/y
発音のカナ振りはマ・ン・デ・イ
こじつけ覚えは「モ・ン・ダ・イ」
水曜日はWe/d/ne/s/da/y
発音は ウェ・ン・ズ・デイ
書くにはウェ・ド・ネ・ス・ダイ
教育仮設25-8 音節で記憶する
小学校で覚える漢字は、1006個でよかった。
中学校で覚える英単語は、いくつだろう。
漢字の「偏と旁の組み合わせ」相当する構造が、英単語の「音節の組み合わせ」だ。
松香フォニックスによれば、英単語の音節のフォニックスルールは、70個余りある。
英単語を、目だけで視覚的に覚えようとすると、限界が来る。
英単語の音節の特徴も、漢字の偏と旁のように、言葉で自分に説明できないと、記憶を助けない。
教育仮設25-9 音節の集合を空間的に整理してやる
言語レベルが高くない子どもは、英単語の記憶が難しい。
言葉が難しいので、視覚的に物理的に、構造を提示する必要がある。
同じアルファベットや、同じ音節を並べて、共通ルールを発見させる。
フォニックスルールと同じだ。
all
ball
baseball
basketball
volleyball
almost
water
watch
a を「オー」と発音する単語を集める。
しかもaの位置空間を同じにしておくことが大事だ。
こう並べると、視覚的に共通項を見出しやすい。
記憶の弱い子どもは、空間の整理も弱い。
ぱっと見て、共通項がわかりやすいように、可能な限り授業中に、空間を意識して、教師は板書しよう。
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