お金の学習と表記 2

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教材No.36-1 複数種類のお金の合算表記

 一平くんは28歳、音声言語がほとんどない。

高等特別支援学校を卒業して、”ありさんち”という作業所に通っている。

一平くんが7歳の頃から、22年の付き合いだ。

一平くんは私と、2桁の加減算を、筆算でたくさん学習した。

一の位から計算する、ということがわかる。

98+19= などの、繰り上がりは、とてもよくわかる。

98-19= などの繰り下がりは、「8から9が引けないから、隣から10借りてきて、10から9引いた残りの数1と、初めに一の位にあった数8を足す」ことを、私が言いながら、筆算の右側にメモして手伝う。

引き算なのに8+1をしなければならないので、一平くんはいつも、+を意識するために自分で8+1の+を書く。

一平くんは、作業所では、かりんとう製造部門で働いている。

毎月一回、私との学習の後、病院内の職員の皆さんに、一平くんと、かりんとうの販売をする。

かりんとう販売で、お釣りに、お金も扱うので、一平くんと、お金の学習も行なうようになった。 

10円玉だけで、10円、40円、70円など、10円~90円までの単種類のお金の表記はわかる。

10+10=20 

40+30=70

などの単種類のお金の90円までの加算もわかる。

10円玉と同様に100円玉でも、100円、400円、700円など、100円~900円までの単種類の表記はわかる。

100+100=200

400+300=700

などの単種類のお金の900円までの加算もわかる。

しかし、110円、120円、150円、105円などの、複数種類のお金の、合算表記が難しかった。 

お金の模型は、おもちゃの「パーティークイーン」

横書きの式の加算で行なっている間は、その時は理解できても、次には忘れているという風だった。

教材No.36-2 筆算の縦書きで 複数種類のお金の合算がわかる

ある時、一平くんは筆算が得意であることを思い出して、お金の計算も筆算の縦書きにしてみた。

うまくいった。

一位と十の位と百の位と、筆算の縦書きにして、お金の刻印数字の、一の位から加算することが、一平君には理解しやすかった。

毎回1問目は、100+100=の助走があると、2問目からは合算の意味を理解しやすい。

五円玉には数字の5がないので分かりにくい。

五円玉の合算表記には正しい答えを書いて見せておいた。

お金の筆算がうまくいくようになったら、横の式にもチャレンジする。

お金を使わずに、数字だけになっても、100+100=が1問目にあると、思い出せるようだ。

複数種類のお金を使って、お釣りを出すということが、まだ自由自在というわけにはいかないが、加算でのお金の表記をチャレンジ中である。 

かりんとう販売で、お釣りを扱うから、お金の減算も学習したいと考えている。 

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