自閉症スペクトラムの子どもの自傷が2週間で減った

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保育園の先生方の、共通理解には、素晴らしいものがあります。

2週間前に投稿させていただいた、自閉症の子どもさんの自傷が、保育士さんがたの2週間の実践で減りました。

きのうは丸1日、その子どもさんの自傷がありませんでした。

初発の拒否をしっかりと受け止める

その子どもさんは、先生の音声指示をよく聞いていて、活動の終わりの音声指示を理解しています。

きのう、12月の音楽発表会が近いので、年少・年中・年長と、クラスごとに、歌とダンスの練習をしていました。

その子どもさんも、歌とダンスに参加できるといいのですが、担任の先生が「おゆうぎ」と誘ったところ、「ウェーン」と唸り声を上げて、拒否があったそうです。

「そうかそうか、嫌ならいいよ。」

「お外で遊んでいいよ。」

私が二人のそばへ行った時、担任の先生がちょうど、上記の声をかけているところでした。

その子どもさんは、やや怒った感じで玄関に腰掛け、自分で靴を履いて、園庭に向かいました。

廊下の床や玄関の床に額を打ちつける、自傷は起きませんでした。

担任の先生は、その子の初発の拒否を否定しないで、拒否の気持ちを受け入れる実践をしてくれていたのです。

初発の拒否を受け止める実践が積み重なって、「ここ1週間、あの子の自傷を見かけない」という報告を、園長先生から受けました。

先生方の配慮で、自傷が軽減されたのです。

「ウェーン」の唸り声は、拒否の言葉だったのですね。

園庭の遊具で運動感覚を満たしたい

その子どもさんが園庭に出たので、30分間ほど、ついて歩いてみました。

子どもさんが、まずはブランコに向かったので、後ろに回り、10まで数えながら、背中を押しました。

その子どもさんは、自力でブランコを漕ぐ、協調運動の力があります。

ブランコの運動感覚、風の感覚を楽しんでいる様子です。

でも、ブランコを漕げるからと言って、一人で漕がせておくのではなく、10まで繰り返し数えながら、そっと背中を押していました。

これが、コミュニケーション、共有、共感だと思うからです。

楽にできること、楽しいことを共に喜ぶ、それがお互いに必要だと考えます。

ブランコのブレーキも、自分の足でかけることができて、他のブランコに移りました。

今度はタイヤのブランコです。

タイヤのブランコは、タイヤの中に足が入ると、構造上、自力で漕ぐことが難しいので、私の背中押しの手伝いが必要になります。

これも10まで数えながら、背中を押しました。

自力でブレーキをかけて、その子どもさんが最も好きな飛行船ジャングルジムに移りました。

大人には危険に思える飛行船ジャングルジム

園庭の遊具の中で、最も高さのある遊具です。

この子どもさんは、この飛行船ジャングルジムが、園庭の遊具の中で最も好きなのです。

高いからです。

自閉症の子どもさんが、なぜ高い所に登るのか? は以下の投稿で書きました。

自閉症児はどうして高い所に登るのか?

高い場所は、全体を見渡せるし、誰も来ないから、静かで安心です。

猫と同じに考えるには語弊ごへいがありますが、保護猫も高い場所で一人になって安心しますね。

子どもさんが飛行船ジャングルジムの上で、手すりにつかまって最も高いところに立ち上がりました。

この行動に大人が声をかけると、子どもにとっては、自分の計画と他人の計画と2つになるので、複雑になってかえって危険が増します。

私は黙って見守りました。

保育士の先生方には、この行為が危険に思えます。

危険は百も承知ですが、自閉症の子どもさんの快感を保障するために、「危ない」「降りよう」という禁止はしませんでした。

私も飛行船ジャングルジムの脇の階段から、最も高いとこまで登り、子どもさんと同じ目線で、その子どもさんが見ている方向を見ました。

「高いね」「風 ヒューヒュー」

高さを喜び、風を感じて喜び、一人になれたことを喜んでいる様子です。

それもほんの1~2分で、自分から飛行船ジャングルジムの安全な位置におりて、飛行船ジャングルジムの滑り台を滑り降りました。

飛行船ジャングルジムの昇降と滑りは、10回ほど繰り返されました。

飛行船ジャングルジムの登り口で、毎回私が1から10まで、子どもさんの足に合わせて数えると、一度だけ「イ・イー・アン」と、母音で1・2・3を、それらしく言いました。

年少組さんの給食の時刻が近づき、年少組さんの先生が大きな声で、「○○ぐみさーん、お片付けー!」と言いました。

この子は年中組さんです。

「お片付け」が聞こえて、意味を理解して、「ウェーン」と唸り声を上げました。

そばにいた私が、「まだいいよ」「飛行機いいよ」と、指で OK サインを出しながら続行を言うと、再びご機嫌よく飛行船ジャングルジムで遊びました。

トンネル滑り台とトーマスのお絵かき

15分ほど楽しんで、飛行船ジャングルジムも、自分から終わりにでき、仲間たちが遊んでいた別の滑り台に行きました。

子どもは遊びに集中するのも15分、泣くのも15分、怒るのも15分、と考えておくと、大人も落ち着いて見守れます。

先生の話によると、この滑り台でも遊べるようになったのは、最近だとのことです。

友だちが滑り台の入り口にいると、静かに後ろで順番を待つことができます。

仲間がいても、順番を待つという計画が、身についたようです。

穏やかな素直な子どもさんです。

この滑り台は、5回ほど滑って、終わりました。

滑り台が終わった区切りに、私が「◇◇ちゃん、トーマス」と言って、地面にトーマスとエドワードの絵を描きました。

無料の塗り絵から

身の回りの持ち物から、きかんしゃトーマスを好きなことを知っていたからです。

すると、「もっと描け」というふうに私の手を持って、絵を描かせようとしました。

トーマス1、エドワード2、ヘンリー3、ゴードン4、ジェームス5の機関車を2回ずつ描きました。

満足したのか、一番初めのブランコに自分で移動しました。

ブランコに移ったところで、「△△組さん、お片付け―!」の合図が出ましたが、その子どもさんはブランコに乗り続けます。

切り替えには実物のことばが有効

私がマカトンサインを出して「ブランコ終わり」、保育室を指さして「給食行こう」、食べる身振りをして「ご飯」と、音声で誘ってみましたが、子どもさんはブランコから動きません。

マカトン法の身振りサインから

そこで私は、実物の言葉でないと行動を切り替えにくいと考えて、その子のロッカーにその子の給食の箸袋セットを取りに行きました。

2週間前も、砂場から給食に切り替えてもらうのに、箸袋セットを砂場まで持って行って見せたところ、砂場が終了になったのです。

仲間の子どもたちは、保育室に向かって入っていきます。

園庭には、その子どもさんと私と支援の先生の、3人だけになりました。

私が箸袋セットを目の前に見せると、ブランコからストンとおりて、その箸袋セットを自分の手に持って、スタスタと保育室に向かって歩き始めました。

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行動を切り替えるには、実物がわかりやすい言葉だったんですね。

靴を靴箱にきちんとしまい、トイレに行っておしっこも出ました。

トレーニングパンツの前後も良く分かっており、パンツとズボンの着脱も、2週間前よりも更にやる気が見えました。

家庭や保育園の先生方の、毎回の丁寧な係わりが自傷を減らし、実物が行動切り替えの合図となっています。

自閉症の子どもさんの自傷を減らす方法

この子どもさんが「ウェーン」と唸り声をあげたら、「嫌だ」という合図だと、先生方がはっきりと受け止めるようになりました。

そして自傷が、起きなくなりました。

自傷によるケガを未然に防ぐため、ニトリのやわらかターバンをその子どもさん用に持参してみました。

ニトリのシャンプー用ターバンは、現在は
もう少しゴムがきついタイプになっています

運動感覚を満たしたい子どもさんなので、ふわふわのニトリのやわらかターバンを気に入って、自分から手に持ったり、おでこに巻かせてくれたりしました。

先生方も、万一のことを考えて、ニトリのやわらかターバン着用に安心した様子です。

寒い日は、耳あてにもなります。

保育園のマラソン大会も近づいていますが、初めのスタートとゴールを一緒にすれば良いのではないかと提案しました。

マラソンの真ん中辺りは、先生と歩いていていいし、座って応援していてもいいように思えます。

音楽発表会も、大好きなトーマスのミニチュアを手に持って、先生と舞台の端に立てれば良いのではないかと思います。

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毎朝の朝の会のダンスは部分的に踊れるが、大勢の保護者が見に来る、慣れない雰囲気の発表会は、今年はそこにいる経験をして、来年は発表も頑張るということでいいのではないか?と提案しました。

過去に撮影した音楽発表会を、時々テレビモニターで見せておくことなども、模倣と刷り込みに良いのではないかと思います。

初発の拒否をしっかりと受け止める、遊具を一緒に楽しむ、実物を行動切り替えの合図に使う、この3点を今後も大切にしていきたいです。

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