300投稿目は、私がこれまでに出会った特別支援教育の例を、子どもの年齢順に紹介します。
音声指示は、目に見えず消えるから、目に見えて残るように、絵や文字指示にする支援がポイントです。
脳外に見せる絵や文字で、脳内記憶の負担を助けて、子どもたちが自信を持って行動できるようにする工夫です。
保育園の先生は、こんな工夫をしてくれます
その場所に立つ上靴の絵
上靴の絵を床に貼ったことによって、「間を開けて立ってください」という言葉の指示が、目で見てわかるようになっています。
子どもたちは、安心して並べます。
今日の予定
予定や流れが、絵や文字で、子どもたちにわかるように提示されます。
先生の予定の説明を脳内に記憶しておけなくても、スケジュールの絵を見ればわかります。
「次は何をするのかな?」と先生に促されると、絵を見て、まだしてないことに気付けます。
予定が先生の脳内だけにあって、子どもたちの脳内にないと、ずれが生じます。
覚えていないことを指摘されれば、子どもたちは萎縮し、がっかりし、自信をなくします。
先生が音声の指示だけでなく、いつも絵を描いてくれると、子どもたちは安心して行動できます。
先生も、ガミガミ言わなくてよくなります。
音声だけでなく、身振りや絵、メモ書きで伝えることは、家庭で保護者も、真似したいことです。
フラフープで空間を明示する
保育園児に、紙飛行機を、「高く飛ばして」と伝えるのに、フラフープを3つ天井からぶら下げた、見事な保育を見ました。
高い、真ん中、低いが、フラフープを目で見れば、どの子にもわかります。
見えないものを見えるようにする、素晴らしい実践です。
小学校1年生の先生は、以下のような工夫をしてくれます
明日の授業の予定
1時間目の国語では「漢字コンテスト」、2時間目の算数では「計算コンテスト」も、予告されました。
文字と共に、目から、子どもたちに予定が、強調されます。
小学校2年生の先生の工夫です
黒板には、始業式の直前に暗線(透明のマス目)が引かれ、先生も子どもたちも、文字をまっすぐに書ける物理的な環境が整えられています。
プールの着替え
プールに入る着替え手順、プールから出た後の着替え手順について、先生は、連日、休み時間のうちに、黒板に文字で流れを書いてくれました。
次に、何をしたらいいのか、わからなくなった時、子どもたちはこれを見て、準備ができます。
毎日これだけたくさん書くのは、先生も休み時間がなくなってしまうので、私が写真に撮らせてもらい、 Word に入力して、模造紙に拡大プリントアウトしてもらおうと思って、先生に文面を差し上げました。
先生は、早速、模造紙に拡大して、プールに入る前に、黒板に貼って使ってくれました。
知的特別支援学級の先生の 45分授業の明示の工夫
知的特別支援学級の先生も、生活単元学習の45分の授業の段取りを、以下のように、段取りカードで、授業の冒頭に明示してくれます。
スケジュールが分かると子どもたちは「これの次は、あれだな」と安心します。
頭の中に記憶しておけなくても、目で黒板を見れば、どこまで自分が作業したかが、すぐに分かるので、記憶の負担が少ないです。
先生も「次はこれだよ」と、肯定的な言葉をかけやすいです。
情緒特別支援学級の先生の 物理的な環境の工夫
クールダウン
情緒特別支援学級の先生も、教室の中に、クールダウンのコーナーを作ってくれました。
子どもがイライラを爆発させる前に、一人になって、落ち着くためのレゴができるコーナーです。
見通しを持ちやすいタイムタイマー
また、時間の感覚が難しいとき、見通しが持ちやすいのは、減っていく時間が見える、タイムタイマーです。
「あと10分頑張ろう」「あと10分で終わるよ」「あと10分で終わりにしてください」など、先生の予告が目に見えると、子どももイライラしないで見通しが持ちやすいです。
小学校中学年の先生の、授業メニューの工夫
45分の授業の冒頭に、授業メニューを張り出して、予定を明示してくれます。
さらに、授業が進む中で、できたことには、花丸をつけてくれます
「頑張れた」という花丸評価を目で見て分かると、子どもたちは自信を持ってその先へ進みやすいです。
高学年の先生の、連絡帳書き 板書の工夫
小学校の先生は、大抵5時間目の始まる前に、連絡帳に書くことがらを黒板に書いてくれます。
これは、6年生の先生の、連絡帳を書かせるための工夫です。
連絡帳を昼休みの時間内に書くことが遅れる子のために、6時間目の後の帰りの会まで、これが黒板の端に保存されていました。
消す状況の時には、「連絡帳が書けた となりの子の連絡帳を借りて写すように」と言い添えるといいですね。
2人1組のペアで、連絡帳を提出するという方法もあります。
中学校の先生の文字指示の工夫
最近では、中学校の先生も、ホワイトボードに、宿題や、必要な学習用具のメモ書きをしてくれるようになりました。
ホワイトボードは、別黒板なので、該当授業時間まで、消されることがありません。
クラスの中の一人か二人、数人の子どものために、宿題の音声指示だけでなく、書式文字指示にしてくれます。
不登校の子どもが 登校しやすいような配慮の工夫
これは、不登校の子どもさんが、相談室へ「登校しました」という合図の札です。
相談室の入り口のドアのところにかかっています。
CD ケースを利用した見事な工夫です。
相談室の中の、ホワイトボードには、個人ごとに、その日の予定が書かれています。
職員室へ挨拶に行けない子どもさんでも、このようなCD の蓋ならば、相談室へ入る時に開け閉めできます。
相談室は、職員室の隣なので、先生方は通る時に、すぐに登校が分かり、声をかけます。
「登校報告」という対人コミュニケーションは苦手だけれど、CD の出欠の蓋の扱いはできる、子どもの個性に合わせた先生の工夫です。
職員室へ報告に行く負荷がなくなり、気楽に登校できます。
登校に自信が持てるようになると、登校の挨拶もできることが増えます。
見えないものを見えるようにする脳外化の特別支援教育
以上のように、保育園や学校の先生方は、目に見えない音声指示を、絵や文字にして、目に見えるようにしています。
脳外に見せる絵や文字で、脳内記憶の負担を助けて、子どもたちが行動しやすいように工夫しています。
物理的な環境調整の素晴らしい特別支援を、たくさんしています。
私がこれまでに出会った、特別支援保育および特別支援教育の紹介が、ブログを訪ねてくださった先生方の、新しいヒントになればうれしいです。
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