自分の中に生まれてくる怒りを、コントロールできるようになりたい、という相談がありました。
精一杯、環境に適応しようとして、与えられた環境で真面目に、一生懸命暮らしているかたからの相談です。
お話を聞いていくと、家族や仲間に、自分の考えをわかってもらえない時、同意や同調が得られない時、選択肢を思い浮かばない時、自分の行動の変更を思いつかない時、行動できなくなってイライラし、怒りが湧いてくるとのことでした。
怒りの正体
怒りを持たないためには、人と話す初めから、「自分の考えを分かってもらえるということは、まれな難しいことだ」と思うのはどうでしょうと、以下のように図に描いて提案してみました。
「一心同体と考えやすい自分」を表わす円環と、「人は一人だ、分かり合えないと考えるのが基本だ」という円環が別々に並ぶ絵を描いて説明すると、自分の怒りが湧き上がってくる正体を、理解できた様子でした。
これまでいつも、自分の考えを、他者が分かってくれるに違いないと、思っていたそうです。
しばらくの間、人と人とは分かり合えない、分かり合えない孤独を分かった上で、付き合ってみよう。
分かってもらえない孤独は寂しく悲しいけれど、分かってもらえなかったら、「残念、仕方ないや」と、考えてみることにしよう、ということになりました。
このかたは、怒りのコントロールがご自身の第一目的なので、怒りの代わりの孤独や悲しみは、引き受けてみるという気持ちになったのです。
話し合う時に、絵や図に描いて話し合うということが、大人と子どもでも、大人同士でも、重要だと考えています。
自分の脳の中の考えを、脳の外に出して相手に見せると、お互いにわかりやすいのです。
怒りの正体を突き止め、孤独も引き受ける覚悟の上で他者と話し合えば、怒りはコントロールできる
1.人は同じ考えを持ちにくい、自分の考えをわかってもらえることはめったにない、そう意識して他者と話し合うようにしてみましょう。
2.他者にも考えがあるので、自分の考えに同意してもらうことが難しいなら、ほんの少しお互いに歩み寄れないか、一部分だけでも同じところを見つけられないか、考えの円環を少し重ね合わせることはできないかを考えましょう。
考えを図の円環に書き入れて、お互いに文字で考えを見えるようにすると、結構歩み寄りのアイディアが起きるものです。
紙に文字で書き留めると、それはそこに残っていて、音声による言葉の話が他へ飛んでも、また元の場所へ話を戻しやすくなります。
絵・図・文字で話し合うと、記憶の負担が少なくなり、長い話にイライラしたり、話題を忘れて怒ったりしないで済みます。
簡単なメモでいいのです。
悩みを紙に書き出す
さらに、家族や仲間からいくつも考えを出されると、どれに合わせていいか自分でも分からなくなってイライラする、ということも相談にありました。
3.人は、頭の中でいくらでも言葉で悩みを考えられるので、悩みで頭がいっぱいになると、イライラします。
言葉は、浮かんでは消え、浮かんでは消えるので、 いくつもの悩みを同時に比較しにくいのです。
4.そこで、一度、悩みをすべて紙に書き出してみると、同時に眺めることが、可能になります。
ピラミッド図で優先順位を決めると行動しやすい
5.悩みを紙に書き出した後で、悩みの順位、対応の順位、行動の優先順位を、ピラミッド図で1位から決めていきます。
もちろん、いったんピラミッドに描いてから、順位を入れ替えることも可能です。
いちいち消しゴムで消すのが面倒であれば、ハサミで短冊に切って、ああだこうだと並べ変えれば、順位の入れ替えも楽です 。
ホワイトボードならば、書いたり消したりも簡単です。
ピラミッド図や、順位の入れ替えを、脳内だけで行なおうとすると、決めにくくイライラします。
脳内記憶だけで考えようとすると、漏れも起きます。
6.悩みや行動の優先順位は、ピラミッド図に描き出して、全体を目に見えるようにして考えることが、イライラしないで決められるコツです。
ピラミッド図ならば、いくつもの悩み全体の見通しを持って、優先順位の高いものから決定しやすくなります。
ピラミッド図に描き出すことは、一人で考える時だけでなく、家族や仲間と一緒に考える時も、相互にわかりやすい相談の仕方になります。
リモートで話し合うときは、ホワイトボードなどに、ピラミッド図をメモして見せ合うと、お互いの考えが目に見えて便利です。
怒りの正体図や、悩みの整理と行動優先ピラミッド図を、皆さんもお試しください。
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