6歳の自閉症のA君は今、ペットボトルの蓋を開ける練習をしています。
A君はちょっと不器用、1人ではペットボトルの蓋を開けられません。
蓋をうまく開けられるように、お母さんが開け始めを少し手伝います。
ペットボトルの蓋を開けるには、つまめること、じっと見つめること、指を回転させること、などが必要です。
ペットボトルの直径の太さ
ペットボトルの蓋の大きさは共通ですが、ペットボトル本体は350ml でも 500ml でも、ほとんどが大人用に直径が太いです。
手の小さい子どもが、支え手でペットボトル本体を持つには、できるだけ直径が細いサイズのペットボトルを探せるといいですね。
お母さんはA君が好きな飲み物の中で、A君が持ちやすい、少量サイズのペットボトルを探して、購入してくれます。
前回の療育では、アクエリアスの 300ml ペットボトルを探して、持ってきてくれました。
種類は限られますが、ベイシアなどのスーパーに行くと、ポカリスエットや緑茶で、300ml よりもさらに少量サイズのペットボトルが、販売されています。
そのペットボトルは、小さくて細いので、子どもが持ちやすいサイズです。
A君はポカリスエットが好きなので、私も次回は少量サイズをベイシアで購入しておこうと思います。
子どもの好きな種類で、小さいサイズがない時には、蓋に近い部分を、支え手で抑えるように教えると良いです。
つまむ練習 もずくの空容器
乳幼児は初め、ものをつかむ時、手のひら全体でつかみます。
テーブルを叩いたり、ボールをつかんだりする時がそうですね。
A君も 壁を叩いたり、 太鼓を叩いたり、くもんのくるくるチャイムのボールをつかんだりすることができます。
次第に、親指と人差し指でつまめるように、発達します。
親指と人差し指で、つまむことが難しい時は、つまむ練習が必要になります。
A君の指がつまむ形になるように、深さのあるもずくの空容器などを使います。
後から分かったことですが、このもずくのから容器にチョコベビーを1粒入れると、指がつまもうとする形になることが分かりました。
最近、麦チョコの小袋を見つけないので、チョコベビーでやってみます。
じっと見る練習 宝探し
A君は、くもんのくるくるチャイムで、ボールが落ちていく様子を、じっと見ることができます。
また、水口ふかし先生お手製の「棒差し」が大好きで、棒を入れる時、じっと穴を見ることができます。
A君は、パンやアポロンチョコレートが好きで、その宝探しをする時、透明カップを見つめてゲットすることができます。
お家でお母さんがたくさん練習させて、左手で透明カップを開ける➡右手で宝をゲットする➡左手のカップを元に戻す、両手の協応が、上手になりました。
次に、長い時間じっと見てもらうために、透明のトンネルを作りました。
これはもずくの空容器と違って、宝に向かって直進では取れず、手を脇から差し込んで、遠回りして宝を取らなければなりません。
宝を見つめる直線的な👀と、脇から遠回りする✋が別の動きをしなければならないのです。
私が穴からお菓子を入れて、トンネルの脇から手を入れる操作を、やって見せました。
初回、A君は上の穴から直接取ろうとしましたが、手が入らなかったので、私がやって見せた、脇から手を入れる回り道を真似できました。
ゴールが見えていて、回り道でゲットする意味が分かり、A君は繰り返し、パンや麦チョコの宝探しトンネルをやりました。
その先は、宝物を不透明の容器に入れて、トンネルの中央に置き、「パンあるよ」「チョコあるよ」の音声で探してもらうようにします。
直接見えていなくても、人の声掛けで探せたら、これも素晴らしいですね。
お母さんは「持ち帰っていいですか?」と、トンネルも持ち帰りました。
長い時間一緒に暮らすお母さんは、教材を持ち帰ると、お家で何でもうまくやってきます。
手の操作学習もその子どもが分かることでやってほしい
特別支援学校の先生や、療育の先生にお願いします。
手の操作が未熟な子どもに、ぜひ、宝探しもずくカップや宝探しトンネルを使ってください。
給食のゼリーや果物を、少しずつ宝物としたら、子どもの獲得意欲で、自発的な手の操作練習ができます。
食べ物の宝探しは、障害が重い子どもでも、獲得の意味が分かりやすいから、取り組みます。
もちろん、とても小さいサイズのキーホルダーや、好きなシールをゲットすることで、手の操作学習をやれる子どもさんは、それで良さそうです。
言葉が増えたり、学年が進んだりしてくると、先生や仲間の真似をして、「自立活動」「生活」という授業で、ボルトとナットのはめ込み操作、割り箸の袋入れ、ボールペンの組み立てなどの操作学習が可能になります。
その時も、子どもさんが好きなキャラクターのシールを道具に貼って、完成を一緒に楽しめるといいですね。
宝探しトンネルの作り方
100円ショップで A 3サイズのクリアファイルを購入します。
セリアでは3枚100円でした。
クリアファイル2枚の真ん中にそれぞれ円を描き、ハサミを差し込んで、円形に切り抜きます。
円の直径はお菓子を入れることができて、しかも子どもの手が入らないように2~3cm がいいですね。
台は、スーパーのかごの蓋にクリアファイルを1枚貼りました。
お菓子を見やすくするために、クリアファイルに白画用紙を1枚差し込みました。
台は、ダンボールで、十分です。
クリアファイルと、透明の養生テープを使って、筒を作っていきます。
クリアファイルの長辺の一方を、養生テープで止めます。
テープのネバネバを下向きにし、もう片方に貼って、ひっくり返すと、
以下のように、筒が出来上がります。
トンネルはシンプルに1つでも、選択肢として2つでもいいですね。
A 3のクリアファイルを使った理由は、A 君の手が入りやすいように、太い筒にするためです。
おもちゃや教材の操作がうまくいくためには、操作を難しくして試すのでなく、物理的に簡単にして、見通しや操作をしやすくすることが大切です。
回転練習は容器を逆さにして回すとやさしい
次に、ペットボトルの蓋を回転させる、前段階の練習をします。
ペットボトルの蓋は、小さくて回しにくいので、大きな本体を回します。
直径が細いペットボトルを、逆さに貼り付けて、本体を回転させます。
逆さにしても、開ける時の回転方向は、同じです。
下の画像の、中央の3つが逆さにした容器です。
手前が桃屋の梅好みの空容器ビン、奥がヨーグルトドリンクの空容器、真ん中は粉末コーヒーが入っていた空き瓶です。
3つとも、回す時の回転数が少なく、小さな力で回転するので、A君が回しやすいと思います。
100円ショップに行くと、色々なサイズの容器が売っていますね。
100円ショップに売っている、クッション性の厚みのある両面テープで、キャップは簡単に貼り付きます。
ペットボトルの中に、麦チョコやポッキーのような宝物を入れて、宝物獲得の操作を練習します。
獲得がうまくいくように、手伝いましょう。
逆さペットボトル回しがうまくなったら、飲むときのキャップ開けにも、チャレンジしましょう。
開ける方向と閉める方向の真逆の回転は難しい
ペットボトルの蓋の開け閉めについては、開ける、閉める、どちらか一方を毎回手伝って教えるといいと、A 君のお母さんにアドバイスしました。
開けると閉めるは、正反対の運動なので、一度に2つを覚えることは難しいです。
特に開ける方向は、右利きにとって、回転させにくい反時計回りの方向なので難しいです。
しかし、飲みたいという気持ちを利用するならば、開ける方向を先に教えると良いかもしれません。
あるいは、飲みたい時にできないことをさせられると子どももイライラするので、飲んで満足してから、閉める方が落ち着いて取り組めるかもしれません。
いずれにしても、お子さんの様子で、どちらか一方を初めは取り組んでください。
他にも、右と左を教える時は、片方だけを徹底的に教えます。
片方を覚えてから、残りを増やす方が、似ているものの区別はやさしいからです。
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