言葉が遅れている発達障害の子どもと楽にコミュニケーションする方法

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育てやすい赤ちゃんには、心理学で言う、選好注視、原始模倣、共同注意が、先天的に備わっています。

①人の目を好んで見るので、目が合う赤ちゃんですね。

➁生後20分ぐらいから、相手を見て、舌出し模倣という、真似をする力があります。

③お母さんの指さしの方に、目を向けるのを、共同注意と言って、「何々だね」という共感の力になります。

発達障害の子どもはこれらが弱いので、育児には苦労が伴います。

音声の言葉が遅れている時、実物を使うコミュニケーション

一般的な赤ちゃんには、2ヶ月頃から喃語、5ヶ月頃からクーイングがあります。

これらが、音声の言葉になっていきます。

10ヶ月前後から指さしをして、自分で発見したり、人に伝えたりします。

喃語が少ない、目が合わない、指差しが少ない、まだ音声で話せない時期は、実物が言葉の代わりになります。

実物は、最も子どもに分かりやすい言葉です。

食事の時はスプーンを見せたり、持たせたりして、「まんま」あるいは「ご・は・ん」と言って、食事場面に移動することを伝えましょう。

お風呂の時は、バスタオルや新しい下着を見せたり持たせたりして、「ポッチャン」あるいは「お・ふ・ろ」と、言いながら移動しましょう。

お出かけの時は車の鍵を見せたり持たせたりして、「ブーブー」あるいは「く・る・ま」と伝えましょう。

お出かけの時に背負うリュックを決めておいたり、玄関から靴を片方持ってきて、透明ビニール袋に入れて手渡して持たせるのもいいですね。

大人は音声が便利ですが、まだ音声を使えていない子どもにとっては、実物が目で見てわかる言葉です。

実物のない時は、スマホの写真で見せてもいいですね。

写真は、持って来れない場所や、大きなものを見せる時に、便利です。

食べ物・飲み物・おもちゃなどは、写真に撮ってプリントしてハサミで切り抜くと、実物に近いものになり、持ち運びやすい合図になります。

音声の言葉が遅れている時、身振りを使うコミュニケーション

始歩が早くても、音声の言葉が遅れていたら、大人は身振りで伝え、話すようにしましょう。

「危険!」「止まって」なども、手のひらを子どもに向ける、ストップの身振りを付けましょう。

実物をかたどった身振りは、子どもにとって分かりやすい言葉です。

食べる動作、飲む動作、手や顔を洗う動作、歯を磨く動作、着替えの身振り、帽子の身振り、靴を履く動作、車はハンドルの身振り、おむつ替えやトイレはお尻をトントンする身ぶり、本を開く動作、眠る身振り、面倒でも、大人が身ぶりを使いましょう。

ベビーサインについては、下記の投稿で触れているのでお読みになってください。

2歳児に生活行動を分かりやすく伝える方法

音声の言葉を添えるなら、「パパ」「ママ」「ニー」「ネー」「マンマ」「テンテ」「クック」「ブーブー」「ネンネ」「わんわん」「にゃんにゃん」などの1音の繰り返しや、「抱っこ」「タッチ」「ポッチャン」などの2音が良いです。

自閉症スペクトラムの子どものクレーン現象

自閉症スペクトラムの子どもが、お母さんの腕や手を持って願いを叶えるクレーン現象は、「何々だ」という叙述の言葉であり、「何々したい」という気持ちの伝達でもあります。

この行動をクレーン現象と呼ぶ命名だけで終わるか、「叙述」と「気持ちの伝達だ」と汲み取るかで、育児や教育のコミュニケーション関係はずいぶんと違ってきます。

子どもの側だけが問題なのではない、受け手の我々の汲み取る力が重要ですね。

好意的に汲み取ると、愛着関係が育ち、育児も教育も好転します。

自閉症スペクトラムもADHDもコミュニケーションに実物と身振りを使う

目が合わない、人見知りがない、指さしをしない、危険がわからない、つま先立ちで歩く、不注意、多動、衝動が強い、融通が利かない、こだわりが強い、言い聞かせてもわからない、しつけができない、感覚過敏が激しい、偏食が強いなど、自閉症スペクトラムも注意欠如多動症も、幼児期の行動は似ています。

どちらだ、という障害の分類よりも、実物と身振りを使ったコミュニケーションに力を入れましょう。

発達障害の子どもの幼児期は、名詞レベルの単語で状況を理解し、暮らしています。

私がアメリカに行った時と同じ、ですね。

実物、身振り、単語、で理解して、コミュニケーションを取ります。

相手に音声で長く英語を話されると、私は一部しか理解できません。

発達障害の子どもたちも、相手の音声の一部だけを理解している可能性があります。

それで特別支援教育では、「短く言う」「一事一指示」を大事にします。

心理検査で、WISC、文章理解テスト、SCT文章構成テストなどを行なうと、単語は理解しているが、指示の理解、文章の理解が、発達障害児は難しいことが分かります。

学齢期に入ったら、実物・身振りに加えて、絵・図・文字を使う

実物・身振りでは足りない、細かいやり取りには、絵・図・文字を大人が書いてやり、コミュニケーションに使います。

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お互いの考えを共有するには、目に見えない脳の中の考えを、脳の外に表して、目で見てわかり合うことが必要です。

相手の気持ちや社会ルールなど、目に見えない状況を、見てわかるようにする方法ですね。

大人は音声が便利ですが、発達障害の子どもの理解しやすさに立って、実物・身振り・絵・図・文字を使うと、お互いのコミュニケーションが楽になり、育児が楽になります。

「走らない、触らない、壊さない、ダメ」と、したことを禁止する育児でなく、「歩いてね」「目だけで見てね」「触りたい気持ちは分かったよ」「こうしてね」と行動を提案する育児に変わっていけます。

発達障害の子どもの幼児期に、大人が「気持ちは分かったよ」と理解を伝え、「こうしてみよう」と行動を提案する育児をしていると、発達障害の子どもも学齢期に、あいづち「そうだね」「そうしよう」「それがいい」「そうか」など、友だちに同調するコミュニケーションが上手な子どもになります。

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子どものあいづちが上手になるには、大人のたくさんの同意肯定が先に必要ですね。

禁止の「ダメ」を、「何々したいんだね」「気持ちはわかったよ」「こうしよう」に変えたら、きっと子どもに変化があります。

チャレンジしてみてください。

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