18 花ちゃんのしっぽ
我が家に来てから半年くらい経つと、花ちゃんは私の近くで過ごすことが増えた。
私の世話にちょっとは安心し、私を頼りにしてくれるようになったらしい。
晴れの日、暖かい日は、ガラス戸が空いている窓辺で昼寝したくなるまで、網戸から外を眺めている。
曇りの日は、パソコン机のそばの猫台に来て、私に毛繕いの手伝いをさせる。
毛繕いは排泄の後のお手入れのためと、寝る前のリラックスのために熱心にしていることが多い。
「猫舌とろん」と毛梳き櫛で、私も毛繕いに協力する。
小さい毛梳き櫛は、あごの下をお手入れをしてやるときに便利だ。
花ちゃんはたまに夜中、1階の玄関のガラス戸から夜の街を見ているらしい。
猫のあごの下の砂粒を毛すきできれいに
花ちゃんのあごが、玄関の床マットについて、あごに砂粒がつく。
砂粒を、お手入れのときに毛梳き櫛で、そっと取ってやる。
野良猫だとあごが汚れているし、家猫はあごがきれいだ。
初代猫のお母さんは、キャットフラップから朝夕の外の見回りに出て行く、半家猫だった。
お母さん猫は、庭で獲物を狙う待機の姿勢になると、あごに土にがついて汚れた。
玄関も、毎日掃除機をかけるようにしたが、花ちゃんのあごの下のお手入れは欠かせない。
皮膚炎に進行したりしないように、お手入れで見守る。
あごの下は急所か?毛梳きの力を弱めて、ゆっくりそっと丁寧に汚れを梳いてやる。
喉を撫でてやるついでくらいでいい。
喉を撫でてやると、ハトのようにグルグル言う。
同時に、花ちゃんのしっぽが反応する。
「気持ちがいい」「続けてくれ」という風だ。
犬のようにたくさんしっぽを振る猫
花ちゃんのしっぽは、今までのどの猫よりもたくさん動く。
ブンブンしっぽを振る猫は、初めてだ。
初代猫のお母さんは、静かで穏やかな猫で、しっぽを振る様子を見かけなかった。
しっぽが、くの字に曲がっている種類の猫だったからかもしれない。
九州の方では、「鍵しっぽ」の猫が多いらしい。
2代目のクーちゃんは、餌をねだるときに、しっぽをぴんと立てて震わせるようなことがあった。
しかし2匹とも、花ちゃんのように、しっぽをたくさん振っている記憶がない。
花ちゃんのしっぽは、多弁なしっぽだ。
花ちゃんは、いつも周囲にアンテナを張っている気がする。
音や動きに非常に過敏な、ビビりの猫だ。
私が予告なしに撫でると、「ニャー!」と驚く。
だから、花ちゃんの目に毛梳き櫛を見せてから、おでこや首周りを梳く。
櫛を目に見せて予告してから、背中や横腹を梳いてやると、最初から驚かないでリラックスしている。
夜も、私の膝に来て、毛梳きをしてもらう間、嬉しそうにしっぽを振っている。
「花ちゃん、犬か?」と思うほどである。
暦年齢6歳、人間でいえば40代、体重6.65kg、保護猫花ちゃんの「猫生」は続く。
「Protective cat Hana-chan’s story breaks」
「to be continued Yae-san’s care goods」
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