障害児の歯科治療をしてくれる、公的な歯科は県内に2つあります。
皆さんがそれぞれお住まいの都道府県でも、歯科医師会の経営する歯科総合衛生センター、県立小児医療センター障害児歯科が、治療を行なっているはずです。
パソコンやスマホで「障害児 歯科治療」と検索してみてください。
お近くの該当場所が、出てくるはずです。
自閉症の一平君が、小中学生時代に通っていたのが、歯科総合衛生センターでした。
音声の言語がなく、知的障害も、自閉症も重度な一平君が、長く歯科治療をしてもらった場所です。
一平君は大人になってからは、地元の歯医者さんに行くように、地域に戻されました。
今回は、27歳のダウン症のまさや君が、歯がぐらついて、最近治療に行ってきたので、皆さんに紹介します。
まさや君も、絶対に注射をさせない、血液検査もしたことがない、感覚過敏を持つダウン症の男性です。
まさや君の歯の、仕上げ磨きを担当するお父さんは、まさや君の歯がぐらつき始めて、何ヶ月も心配していました。
お母さんも、何週間も悩んで、意を決して、歯科総合衛生センターに予約の電話を入れました。
歯科治療に当たっては、主治医からの紹介状が必要ということで、小児科の斎藤医師がすぐに紹介状を書いてくれました。
群馬県歯科医師会 歯科総合衛生センター
センターは、〒371-0847 群馬県前橋市大友町一丁目5番地17 群馬県歯科医師会館内1階 にあります。
完全予約制です。027-252-0397
診療日は(月)~(金)です。
受付時間 午前9:00~11:00/午後1:30~4:00
診療時間 午前9:00~12:00/午後1:30~5:00
休診日 (土)・(日)・祝祭日、夏季、年末年始
障害児(者)歯科、有病者歯科、歯科麻酔科を専門とする常勤の歯科医師が、治療を行ないます。
治療では希望により、静脈内鎮静療法(意識下鎮静法)で全身麻酔をすることもあります。
まさや君のお母さんの話では、本人に治療の絵カードを見せて、医師が丁寧に説明してくれたそうです。
まさや君のお母さんの歯科治療の進め方
まさや君が体験した歯科治療の順番は、以下です。
1.お母さんはまさや君を怖がらせないように、歯科治療に行くとは言わずに連れ出した。
2.駐車場に着いて、「歯がグラグラしているから見てもらおう」と誘った。
3.まさや君は10分間車から降りずに、歯科治療に行くかどうかを駐車場で考えていた。
4.センターに入って待合室で待っていると、先生の方が待合室まで来て、診察台まで動けない、まさや君の口の中を待合室で診てくれた。
5.実際の治療を始めるまで、週に一度、歯科になれるところから始めることになった。
ゆっくりペースのまさや君に合った接近方法で治療を始めてもらえたので、まさや君は少しも嫌がらず、毎月、一度、歯科に慣れるために通っています。
障害児歯科が専門の先生に出会えて、お母さんはとても喜び、「子どもの歯科治療に困っている皆さんにもおすすめです」と話してくれました。
まさや君の自己決定を大事にして、歯科治療の進め方も上手なお母さんです。
「私は面倒を見る側だから、まさやが障害児でもいいんですけど、まさやが幸せなのかどうか、それがいつも気になります」と、語るお母さんを私はいつも尊敬しています。
自宅と作業所とグループホームで生活できるまさや君は、おだやかに幸せに過ごせています。
【Android対応】絵カードDE歯科治療アプリ
Android対応のアプリに「絵カードで歯科治療」というのがあります。
自閉症の子供のために開発された音声付きのコミュニケーションアプリです。
絵カードで分かりやすく、治療シーンを視覚的に説明したり予告したりします。
歯磨き練習の絵カードにもなっています
歯科治療に行く前に、歯磨き練習アプリとして絵カードになじんでおけば、同じ絵カードだから歯科通院の予告も、スムーズになるかもしれません。
群馬県立小児医療センター 障害児歯科
もう一箇所は、県立小児医療センターの中に障害児歯科があります。
群馬県立小児医療センター 〒377-0061 群馬県渋川市北橘町下箱田779番地
全県を対象に、歯科治療の意味が分からない、知的障害や自閉症の子どもたちの歯の治療を、紹介・予約制でしてくれます。
- TEL: 0279-52-3551(代表)
- TEL: 0279-52-4000(予約)
障害のある子どもの多発う蝕(むし歯)に対する全身麻酔下治療や、術後入院が必要な口腔外科小手術もしてくれます。
主な診察内容
- 全身管理下(モニタリング、静脈麻酔、笑気吸入麻酔)での歯科治療
- 全身麻酔下での歯科治療(日帰り、入院)
- 口腔外科小手術(埋伏歯、粘液嚢胞、顎骨嚢胞、口腔内良性腫瘍等)
- 摂食・嚥下障害に対する評価、訓練(もぐもぐ外来)
知的障害や自閉症の子どもが、じっとがまんできる時間は限られます。
口の中へ、先の尖った鋭い器具を入れられる恐怖心から、頭やからだを大きく動かします。
子どもと治療者の、相互の安全のために、全身麻酔が使われます。
最近は代謝の速い麻酔薬が多く用いられ、治療後すぐに麻酔から目覚めるそうです。
夏休みを利用して、歯科治療の第一歩を、安心して始められるといいですね。
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