猫はことばをしゃべるか?

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家猫歴6年の花ちゃんが、この1ヶ月ほど、「ちょうだい」と手(前足)で伝えてきます。

初めは、ただ手を伸ばして、人間に触っただけだと思っていました。

私がテレビを見ながら、花ちゃんの好きな海苔を食べていると、私の身体に花ちゃんが手で触れてきます。

花ちゃんが、「海苔をくれ」「私にもくれ」「それが食べたい」と、私に伝えているのかと思い始めました。

猫にも、梅津八三が整理したような「ことば」があるのでしょうか?

「言語行動の系譜ー信号系」梅津八三

自分のための行動

猫には、朝夕の見まわり、居心地の良い場所を探す、ふみふみ、毛づくろい、トイレなど、人間に伝えることを考えていない、猫自身のための行動があります。

朝夕は外を眺めることが見まわりの代替行動
毛づくろいのお手入れで、手を舐める行動ー清潔を保つのだなとわかる

人間も、顔を洗い、服を着替え、歯磨きやトイレを済ませるなど、家族に伝えることを意図していない、自分の行動があります。

伝達を意図していない行動を、梅津八三は自成じせい信号と呼びました。

他者に伝えようと思っていない行動なので、一緒にいる他者は、自成の行動の意味を読み取ろうとすることで、理解します。

猫がふみふみを始めたので、そこで寝ようとするのだな、とわかる。

器が小さくて食べにくいから、手で出して食べるのか?と想像する。

猫もカリカリご飯の後でお水を飲むので、人間と同じに食後には水分を取りたいのだな、とわかる。

など。

自分の行動に必要な、他者に頼る行動が生まれます

花ちゃんは、朝夕の見まわりに行きたくて、階段の方向をじっと見ます。

花ちゃんは頭の中で、「上に行きたい」と考えています。

花ちゃんの考えは、頭の中にある表内系の信号で、他者には見えません。

私が気がつくまで、見続けています。

ようやく、花ちゃんが階段を見つめる意味に気がついて、階段ドアを開けてやると、8kgの身体で駆け上っていきます。

自成信号と表内系の信号は、他者の読み取りに頼っています。

動物や乳幼児は、音声で考えを説明できないので、世話者が読み取ることが必要です。

花ちゃんが手で伝えてくる

世話者が読み取りを続けていると、世話者に向かって考えが表出されるようになります。

脳内にイメージされているだけの表内系の考えが、相手に向かって表出されるのは画期的なことです。

花ちゃんが、「海苔をくれ」「私にもくれ」「それが食べたい」と、花ちゃんの手で、私に伝える表出系の手のことば。

人間の指さしに近いことばでしょうか。

この6年間には、なかったことです。

7年目の今年、猫が、猫の手で、欲しいものを人に伝える、それを初めて経験しました。

欲しいものを見続けていて、手で「欲しい」と合図することがあります。

欲しい海苔があると分かって、手で私を呼んで、目を見ることもあります。

自閉症の子どもも、欲しいものを見ながら、お母さんの手をクレーンのように持って行く行動があります。

クレーン現象も、「欲しい」「取って」と伝えている、大事な行動です。

大人が子どもの目の高さにかがんで、クレーンのようにつかまれた手で指差しの形を作り、「マンマ」とか「ポー(テト)」とか「おー(やつ)」などと言いながら、物のありかを指さして、指差しや音声を伝えるチャンスにできます。

花ちゃんは実物を合図として理解する

花ちゃんに実物を見せると、実物が合図となって、花ちゃんは私の意図を理解します。

実物が、私から花ちゃんへの、表出系の言葉になっています。

毛すきぐしや、スリッカーブラシを見せると、「毛をすいてもらえる」と思って飛んできます。

おやつの袋を見せると、「おやつがもらえる」と分かって飛んできます。

眠る前、歯みがきセットを持って近づくと、逃げなくなりましたが、「我慢しなきゃならないやつ」と、目をそらして受け入れます。

実物は、動物にも人間にも、最も分かりやすい合図=言葉ですね。

人をじっと見つめて希望を表出する花ちゃん

花ちゃんは、手で伝えてくる他に、人をじっと見ることで、訴えてくることがあります。

私は、子どもの情報処理の発達順序を、触覚情報➡視覚情報➡聴覚情報の順だと考えています。

手で直接触る行動より、目で人を見続ける行動は、上位の行動なのかな?と思います。

花ちゃんはしゃべれないので、希望が叶うまで私を見つめることで、伝えてきます。

花ちゃんのご飯は、決まっていて、カリカリ➡チャオチュール➡チャオプチです。

私がカリカリしかあげず、チュールを忘れていると、くれるまでじーっと、同じ場所から私を見つめています。

花ちゃんの視線を感じて、「そうだった、カリカリだけで、まだチュールをあげてなかった」と気がつきます。

階段を見つめる、海苔を見つめる、それ以上に、人を見つめる行動は、上位の表出行動に思えます。

家猫歴6年の花ちゃんは、猫パンチをすることがありません。

嫌な時は、視線を外し、顔をそむけるのが、花ちゃんの拒否です。

上位の行動の断り方だと思います。

生粋の野良猫のクロちゃんは、シャーは言わなくなったものの、5年目の今でも猫パンチで断ります。

クロちゃんの猫パンチは、「スリッカーブラシが毛に引っかかって痛かったから、やめて」という意味ですが………。

花ちゃんとクロちゃんを比べると、花ちゃんの方が、手で呼びかける上位のことばを持っているのかなと思います。

発達障害のある子どもが、友だちを叩くのも、気持ちを説明できない、音声で伝えられない、下位の行動にとどまっているためです。

表内系にとどまっている叩く行動を、表出系の上位のことばに形成していきたいですね。

音声の言葉の代わりの鳴き声で伝える

ニャァの1音しかありませんが、花ちゃんが人間の言葉のように、鳴いて伝えてくるのは、以下の場合です。

➀「ご飯をくれ」という意味で、もらえるまで鳴きます。

②「出ました。トイレを片付けてくれ」という意味で、私が片付けるまで鳴きます。

③「花ちゃん」と呼ぶと、必ず「ニャァ」と返事をしてくれます。

クロちゃんは、「クロちゃん」と呼ぶと、目を向けてくれるようになりましたが、「ニャァ」返事は毎回は出ません。

野良の生活が過酷だったのか、母猫に甘える経験がなかったのか、クロちゃんはゴロゴロの音も小さく、「ニャァ」返事も小さいです。

元野良猫クロちゃんのことばは、家猫花ちゃんのことばに比べると、まだ発展途上です。

猫にもことばがある

猫にも、梅津八三が考えたような「言語行動」がありました。

猫に言葉があるのだから、発語がないと言われる子どもたちには、世話者の読み取りによっては、たくさんの言葉があるはずです。

子どもたちとは、行動の言葉、表情の言葉、実物の言葉、身振りの言葉、写真・絵・図・マークの言葉、文字の言葉、音声の言葉、色々な言葉で生活していきたいですね。

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