N 君のお母さんは 、N君の生活を、視覚情報で整えようと努力されています。
私も、視覚情報の多用によって、N 君のコミュニケーションが多彩になると良いと考えています。
最近、お母さんから、5つの相談がありました。
私の回答は、N 君本人の好きなマリオを活用する、確定域の拡大の視点による回答です。
感覚過敏とこだわり
①衣類が濡れることを非常に嫌がり、小さな水ハネでも着替えたがる。どうしたらよいか。
私の提案①
感覚過敏に関する問題は、可能な限り本人の意思を尊重してやるとよいと、私は思います。
年齢が幼いほど、尊重してやると良いと思います。
幼少期に保障してやると、20歳過ぎ、30歳過ぎには、感覚過敏は軽減されるものです。
こだわりを無理に取り除こうとすると、希望が叶わず、不全態になります。
取り戻そうとして、かえって余計こだわったり、他の事にこだわりが移ったりします。
こだわりは、満たされて、自全態になる方が、相互に穏やかに暮らせます。
「着替えたい」という要求伝達や、着替える技術がうまくなるチャンスと考えて、可能な限り着替えさせてあげると良いと思います。
無理な場合は、いつなら着替えられるかの予定や、「日に当たって乾かそう」などを伝えるといいと思います。
例えば、後ろ向きで着替える、衝立の裏側で着替える、カーテンを引いて着替える、しゃがんで着替えるなど、学校場面で適応的と思われる着替えの振る舞いは、たくさんあります。
そういう生活行動を形成するチャンスと思って、学校にも着替えを届けておくと良いと思います。
常識や生活ルール
➁家庭での食事で、自分の食べる分が終わると、食卓を離れてゴロゴロしてしまう。家族の食事が終わるまで、その場にいてもらうにはどうしたらよいか。
私の提案➁
食卓テーブルに、邪魔にならない大きさの小さな絵本や小さなアナログゲームを置いておき、自分が食べ終わったらそれをして家族の食事の終了を待っている、という約束はどうでしょうか。
N 君の大好きなスーパーマリオ及びマリオカートの絵本は以下の画像のようなものが 、Amazon などで880円で販売されています。
1から15までの数字並べパズルは、セリアなどで110円で販売されています。
あるいは、家族の食事の終了時刻が大体予想できれば、何時何分まで、「食卓テーブルで絵本やアナログゲームで過ごす」と予告表を出しておくのはどうでしょうか。
時計は、アナログ時計・デジタル時計・キッチンタイマー・タイムタイマーなど、 N 君の使い慣れたもので試してみてください。
伝達と要求
③自分の消しゴムを家に忘れて、消しゴムがないということを学校で先生に伝えられず、代わりの消しゴムを借りるまで本人は不安だった。どうしたらよいか。
私の提案③
お母さんが撮影してくれた画像で、学用品のコミュニケーションシートを、前回、下記のように作成しました。
「筆箱」はこのコミュニケーションシートに載っていますが、「消しゴム」は載っていません。
言葉で伝えやすくする 画像を使ったコミュニケーションシートの作り方
細かいコミュニケーションが必要になってくると、画像や絵では追いつかないので、トーキングエイドやかなトークのような五十音表が必要になります。
音声発声型意思伝達アプリ「かなトーク」5種類を比較してみました
お家で使うように、小さな五十音表をプリントアウトし、ラミネートして、私からN 君のお宅へ、3枚郵送しました。
お母さんと N 君で持ち歩き、お家で N君とお母さんでその表を使って、要求伝達・要求確認を練習してもらうと慣れます。
すると、学校でも「けしごむ」と、要求伝達のコミュニケーションに、応用できるかと考えます。
1枚は、筆箱に入る名刺サイズにしてみました。
N 君の好きなスーパーマリオのキャラクター名を、カタカナ五十音表で、言葉作りをすれば、五十音表の使い方をすぐに覚えるような気がします。
ひらがなとカタカナの、表裏一体のラミネートにしました。
家庭以外ではN 君は音声を出さないので、家庭の外でも、まずはお母さんと、この表がコミュニケーションに使えるといいですね 。
学校での授業中ルール
④学校の教室で床にゴロゴロしてしまい、机での学習になかなかのれない。どうしたらよいか。
私の提案④
床で休むのでなく、机の上で休むことを、下の画像のように提案すると良いと思います。
ラミネートして、 N 君のお宅に郵送しました。
寝ころんでいるときに、自己モニターになる画像です。
「机だとかっこいいよ」と、学校で使ってもらってください。
また、机の上での活動が、興味あるものであることが、 N 君にやる気を起こさせます。
スーパーマリオに関する切り紙工作や塗り絵が、やる気を起こさせると思って、これも郵送しました。
学校で先生が、床で寝ている N 君に「N 君の好きなマリオで勉強をやろう」と見せて誘うと、床から離れて机に向かえそうです。
N 君は「塗り絵はしない」とのお母さん情報ですが、学校では図工の時間もあると思うので、クレヨン・クーピー・色鉛筆・水彩絵の具などで、単色塗りから指導していただくと良いと考えます。
塗り絵が嫌であれば、マリオの形をハサミで切り抜いて、コラージュのように色画用紙に糊づけ工作をするのもいいですね。
N 君は細かな物の仕分け・色分けなどは好きだということなので、最近、ダイソーやセリアでよく見かける、アイロンビーズという、ビーズ工作などはどうでしょうか。
N 君の好きな、マリオが作れます。
夏休みにお家でお母さんとチャレンジすれば、2学期に学校でもやれるかと思います。
手指の巧緻性を形成するので、図工や自立活動になります。
また、マリオをはがきにカラー印刷・白黒印刷しておいたので、お父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんの宛名を書いて、学校の国語や書写で「暑中見舞いを出す」のも素敵だと思います。
文溪堂の漢字ドリル・算数ドリルならば、スーパーマリオの絵柄のものがあります。
これは学校購入のドリルなので、学校の先生に頼めば、1冊ずつ購入してくれると思います。
スーパーマリオの自由帳も、魅力的です。
慣れない場所でのコミュニケーション
⑤両親以外とは音声会話をしないので、親戚や友人宅へ出かけた時、その場で他の人とコミュニケーションが取れない。どうしたらよいか。
私の提案⑤
これも N 君の好きなスーパーマリオ・マリオカートが、コミュニケーションのキーワードになるかと思います。
お出かけする前に N 君にそのお宅のご家族の写真を見せて、「一緒にマリオのパズルをしようね」、「一緒にマリオの本を見ようね」、「一緒にマリオの切り抜きを作ろうね」、と予告しておきます。
18ピースはやさしく、85ピースは難しくなります。
スーパーマリオクムクムパズル(マリオの立体人形)
パズルは事前に、絵柄をコピーします。
ピースを外すと、下には灰色のピースの形しかなく、絵柄がありません。
絵柄がないと、子どもは出来上がり図が分からないので、使い始めに見通しが立たず、パズルに対するやる気が起きません。
下が灰色のダンボールパズルは、絵柄をカラーコピーして貼ることが、楽しく取り組むために、欠かせないコツになります。
パズルを購入したら、開けないうちに、コンビニでA3にカラーコピーします。
自宅のパソコンのプリンターでも A 4で2枚コピーして、合体すれば可能です。
コピーしたら、パズル全体の内枠の四角より、1 mm 小さく絵柄を四角に切り取って、灰色の部分にアラビックヤマトのりなどで貼り付けます。
のり付けは、紙シワも出るので、薄手の両面テープをパズルの内枠の灰色の周囲に貼った方が良いかもしれません。
ピースを填めていくときのコツは、3つあります。
①直線のあるピースで周りから填めて取り組む。
②絵柄を合わせる。
③ピースの形を合わせる。
そのお宅に到着したら、お母さんと N 君が先にテーブルで作業を始め、あとからそっと N 君の両脇に、そこのお宅の方に座ってもらいます。
N 君の好きなおやつや飲み物を持って座ってもらったら、歓迎の意味は自然かなと思いました。
まとめ
以上のように、好きなものを基地にして、好きなものでコミュニケーションを取ったり、好きなもので学習を進めたりすると良い、と考えています。
得意な領域=確定域は、こんな風に、コミュニケーションや学習をすすめる上で、重要なポイントになります。
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