エレベーターが大好きな自閉症の子どものエレベーターと学習の結び付け方

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エレベーターを大好きな子どもが、病院の療育に来ました。

学校では、45分間、長くは学習に集中できないということですが、課題が5分ごとに変わる16種類の心理検査では、50分間ずっと着席して、解答し続けることができました。

「触る」「見る」「作る」「選ぶ」「話す」「書く」などの課題が、短い時間で変わることは、45~50分間取り組む上での重要なポイントの1つです。

この子はエレベーターが大好きで、検査の前にエレベーターで屋上まで1往復したら満足し、50分間の検査に取り組めました。

子どもたちは皆それぞれ、好きなこと、得意なこと、夢中になることを、持っています。

学校教育でも、子どもたちの好きなことを学習に結びつけると、やる気と取り掛かりが起きやすいです。

年齢が小さかったり、特別支援学校に通っている子どもであれば、エレベーターの木製の填め板が良いです。

階数の数字を扱うことで、数の順序数の学習ができます。

材木の工作が難しければ、ペットボトルキャップをセリアのケースに入れて、階段序数の学習もできます。

白のペットボトルキャップと、白の数字タイルを使っています
階段になると、序数と基数になり、量と数字の一致になります

今回、療育に来た子どもは、あかねこドリルの漢字の宿題なども、1ページであれば、終わりが見えているので、座って取り組めます。

小学生ですが、ドリルの5ミリほどの(   )の小さな空間に、ふりがなを丁寧に書くことは苦手です。

小学校1年生の1行10マス、1ページ50字の漢字練習帳でも、ふりがなの欄は幅5ミリ以下で 狭くて小さいです。

このあかねこドリルを、A3の大きさのプリントに拡大してやると、書きやすくなります。

この拡大のひと手間が、合理的配慮、特別支援教育です。

書き文字の苦手さの体験には、軍手をはめて小さな文字を書いてみたり、キッチンの超厚手のゴム手袋をはめて狭い部分に書いてみたりすると、一般の方でも多少の不器用体験ができます。

好きなエレベーターと学習を結びつける

エレベーターの好きな子どもは、以下のような学習が可能です。

①「エレベーター」のひらがな、カタカナ、英語を、漢字練習帳のマス目に、丁寧に美しく書く練習を、「国語」としてできます。

②エレベーターマークの絵を描く「図工」「美術」

③エレベーターのマナーを調べる「総合」「道徳」

④エレベーターの「算数」文章題

⑤エレベーターの起源を調べる「社会科」

1つずつ具体的に提案します。

エレベーターに関する国語の文字書き練習

ただ文字だけを練習するよりも、絵の下に書いてもらうと、事象と言葉が対応しますね。

ひらがな➡えれべえたあ

カタカナ➡エレベーター

英語の小文字➡elevator

英語の大文字➡ELEVATOR

略式英語➡E.V.

小学校低学年であれば、文字そのものをなぞったり書いたりする練習ができます。

なぞり書きの先は、選択肢見本のエレベーター文字をカードで見せておくといいです。

小学校高学年や中学生では、ひらがなでは何々、カタカナでは何々、英語では何々、などの属性の上位のカテゴリーを教えることも可能になります。

図工・美術の絵・ポスター・本作り

①↑↓矢印は、上下・前後・左右・手前奥などの、位置の学習のきっかけになります。

②エレベーターの色塗り、ハサミで切って画用紙に貼る、エレベーターを描くことを始めに、次は学校内の非常口のポスター、走るのはストップなども、描いてもらうと、ルールの学習にもつながります。

③色々なエレベーターをパソコンからプリントアウトして、エレベーターの本を作ることもできます。

④エレベーター調べは、夏休みの自由研究としても、毎年やれて、子どもの進化を見ることができます。

⑤エレベーターの文字のデザイン力を、学校内のポスターに発展させたり、お店のポップアートを描く仕事へつなげたりできます。

特別支援教育では、好きなこと・得意なことを、学習につなげたり、仕事につなげたりするアイデアを、我々大人が考えたいですね。

総合「エレベーターのマナー」

「エレベーターのマナー」の文章を読んだり、絵に描いたり、文章を写したり、声に出して言ったりする学習ができます。

例えば、インターネットには以下のようなマナーの例が書かれていました。

①エレベーターホールでは、扉の正面に立たないようにしましょう。

②エレベーターホールでは、脇に立って、扉の開くのを待ちましょう。

③高齢者や子連れの人を優先し、譲り合って利用しましょう。

④エレベーター内では、静かにしましょう。

⑤エレベーター内では、大声で話したり、携帯電話で通話したりするのは、できるだけ避けましょう。

⑥エレベーター内では、できるだけ飲食は控えましょう。

⑦ボタン操作をしてもらった場合は、お礼をしましょう。

エレベーターのマナーをきっかけに、マナー学習を、ほかのマナーに汎化することもできます。

ポケモンが好きなら、ポケモンが吹き出しでしゃべる、マナーブックを作ってもいいですね。

学校であれば、プールの使い方マナー、バス旅行に行く時のマナーなど、楽しい行事に関してのマナーブックを、ポケモンの吹き出しで作れます。

算数「エレベーターに関する加減乗算の文章題」

エレベーターに関する加減算の文章題は、絵を描いて考え、式を立て、計算します。

文章の意味を理解して、絵が描けて、式があっていれば、電卓を使っても良いです。

例えば

①ビルのエレベーターは地下3階、地上33階です。

 合わせて全部で何階ありますか。

②23階のAビルと、33階のBビルの、階数の差は、いくつですか。

 どちらのビルが、何階分、高いですか。

③エレベーターが6階まであるビルが3つあります。

 3つのビルの合計階数は全部でいくつですか。

など。

社会科「エレベーターの歴史」

「エレベーターの歴史」を調べたり、読んだり、文章を書いたりする学習ができます。

インターネットの資料によると、以下のような情報があります。

難しい漢字や言葉は、子どもに合わせて大人が変更してあげるといいですね。

①エレベーターの起源は、古代ギリシャ時代まで遡り、紀元前200年頃にアルキメデスによって考案されたとされています。彼は滑車とロープを使って荷物を上げ下ろしする機構を考え出しました。

②日本では1890年、浅草凌雲閣(現浅草寺)に、初めての電動エレベーターが設置されました。

現勢の保障から確定域の拡大へ

学習に発展させるには、例えばエレベーターなど、子どもがこだわっている今の勢いをきっかけにします。

エレベーターという子どもの得意な領域が、学習や社会ルールと結びつかないか、上記に述べたような、特別な工夫を展開します。

エレベーターの学習が前半、先生の提案の学習が後半、やがて、前半と後半の学習の入れ替えも、おそらく可能になります。

子どもの好きなことの情報を集め、教育課程と結びつけてみてください。

好きなこと、得意なこと、夢中になることを、学習に結びつけると、はじめの取り掛かりが起きやすくなり、学習中の子どもの笑顔が増えます。

家庭でもやってみよう

もちろん家庭で、保護者が工夫して、子どもの好きなことと学習を結びつける楽しみを共有しても良いと思います。

インターネットで、「エレベーターイラスト」「ストップイラスト」「非常口イラスト」「止まれイラスト」「いらすとやエレベーター」「いらすとや止まれ」などと検索すると、色々な画像が出てきます。

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A4サイズに1画像をプリントアウトして、色を塗ったりハサミで切ったり文字を書いたりするのはどうでしょうか。

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