算数が苦手な小学生の九九と算数文章題の助け方

算数の学習に苦労している小学生が、小児科に相談に見えました。

一緒に、九九と算数文章題を、学習したようすをご紹介します。

九九を順序よく書いていく、視覚的な九九学習法

4の段、7の段、8の段が苦手だということでした。

言い間違える原因は、一般的な数字の呼び方である「イチニサンヨンゴロクナナハチキュウ」以外の音で言う点にあります。

「シシチ」「シク」「ジュウシ」「シチシ」「シチハ」「シジュウク」「ハッサン」「ハッシ」「ハッパ」「ハック」などが、一般的な数唱の音と異なり、記憶を混乱させます。

そこで九九は、口頭で唱えるやり方を捨てて、九九の答えだけを順序よく書いていくやり方にします。

もちろん本人は、心の中で、九九の式を唱えています。

式と答えの両方を唱えてしまうと、式の音韻に引きずられて、答えを言い間違えてしまうのです。

お母さんが式を言って、子どもが答えだけを言う、という方法も、最終段階でやりましょう。

この子どもさんにも、4の段、7の段、8の段の答えを、順序よく書いてもらいました。

7×3を17と誤表記、7×7が思い出せませんでした。

7×6=42とわかるので、「7×7=42+7だよ」と説明しました。

順序よく書くことを、3回繰り返しやってもらうと、3回目には完全に正答しました。

九九の答えだけを順序よく書いて、「いくつずつ増える」ことを、視覚的に記憶することで、音印の記憶間違いを減らしていきます。

脳外に書いて、視覚的に記憶すると、脳内に書き込むことも成立するようになります。

九九も、脳外化が支援のポイントですね。

数字を書く作業が、負担になる場合は、下のようなタイルやカードを使って、順序よく並べていく作業でも OK です。

九九を順序よく書くやり方は、横に書いていくだけでなく、上から下へ縦に書いていくようにすると、筆算に近い、+7ずつ増える数の実感を持ちやすいです。

根気のいる仕事ですが、この子どもさんは、間違いやすい、苦手な箇所が分かっているので、修正する個数は少ないです。

学校の宿題の取り掛かり始めか、宿題の終わりに、毎日1回ずつ行なうとよいでしょう。

算数文章題も、実物を使い、絵に描く、脳外化がポイント

教科書に、面積の問題の文章題がありました。

私が長方形を描いて見せ、「形は何ですか?」と尋ねると「長方形」と答えられました。

「ここの辺は何?」と聞くと「縦」、「こっちは?」と聞くと「横」と辺の名前もわかっています。

「面積の出し方はどうするんでしたっけ?」と尋ねると、面積の意味に困っている様子が見えました。

そこで、以下のような実物を、同時に見せます。

「左は何個、右は何個あるか、数えてみよう」

順序よく数えて、左は「21個」、右は「10個」と正解しました。

意味を取ることが難しい時は、答えが分かってから、式を立てます。

+−×÷の何算かな? 縦7個、横3個を使って、それぞれ式を書いてみよう」

すると、「21個=7×3」「10個=7+3」と、それぞれ正答しました。

答えの個数と式が分かってから、再び面積の出し方を聞くと、7+7+7=21=7×3=縦×横=面積と分かりました。

上の画像の右側のように「7個と3個を足して10個」の長さの足し算の実物を見せておくと、左の「縦×横」=面積の意味が分かりやすくなります。

同じ数字を使って、7×3と7+3の意味の違いを実物で見せます。

九九と同様に、実物を見せる、脳外化がポイントですね。

実物で納得がいくと、絵に描けば、わかるようになります。

この後、この子どもさんは、縦が✘㎝、横が6㎝の長方形の面積が㎠である時の式を✘×6=と理解することができました。

練習問題も4問とも理解し、足し算と掛け算の違い、長さと面積の意味が分かった様子です。

掛け算九九と算数文章題の助け方のまとめ

①脳の外に見えるようにする

➁九九は順序よく書いて、視覚的に記憶する

➂算数文章題は、大人が実物を使う

④「全部でいくつ」のような足し算・掛け算は、同時に提示して意味の違いを本人に発見してもらう

⑤一度実物で理解すると、次からは、文章の意味を絵に描けば、理解できるようになる

⑥意味を絵に描くことができると、式を立てることができる

⑦大人が文章題の意味の絵を描いてやり、やがては本人が絵を描けるようになると良い

⑧実物➡絵➡文章や音声、の順に難しいことを、大人は理解しておく

週に一度、通級指導教室を利用しているそうなので、通級の先生と個別の学習で、上記のように数概念に対する実感をつけていけるといいですね。

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 病院小児科で臨床発達心理士をしています。
 梅津八三の心理学、行動調整法、子どもの行動理解、育児、教材、ソーシャルスキル、介護、猫の行動について投稿中です。

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