理論編
教材No.46-1 漢字の記憶も分解と合成
国語が専門ではないので、本日投稿する漢字についての理論の正確性には自信がない。
疑問があれば、みなさんからのコメントで受けたい。
小学生で覚える漢字が1006字あり、それを含めての常用漢字は2136字ある。
2136字の漢字を、どんなカテゴリーもなしに覚えるということは、考えにくい。
我々は大抵、共通する漢字の特徴を抽出し、差異の意味を取りながら、漢字を記憶しているように思う。
最近私は、漢字も、数のように、分解と合成という仕組みで構成されていると、考えるようになった。
さらに、漢字の部首の分解と合成の仕組みは、英単語を記憶する時の、音節の分解と合成の仕組みとも似ていると、考えるようになった。
小学生の時に漢字記憶が大変な子どもさんは、中学生になって英単語を記憶しにくいという事例にしばしば出会う。
数も、漢字も、英単語も、集合の分解と合成という仕組みが、柱になっていると思う。
教材No.46-2 漢字の成り立ちの4種類
漢字についての特徴を考えるとき、考え方は大きく二つある。
一つは漢字の構成から考える分類法Ⅰ、もう一つは部首による分類法Ⅱである。
Ⅰ 漢字の構成の4種類
漢字の成り立ちは、4種類ある。
象形文字・形声文字・会意文字・指示文字の4つだ。
1.象形文字(実物をイメージして視覚的に覚える)
象形文字は実物をかたどっているので、分かりやすく、小学校1年生で習う80字の多くを占める。
曜日の漢字を思い起こすと、わかりやすい。
太陽の日・月・火・木・土・山・川などは、誰でも、自然の情景と漢字の形が似ていることが分かる。
もう少し、難しい合成漢字になっても、以下のトランプの絵のように、象形漢字の意味となる絵を描きやすい。
2.形声文字(象形文字を土台に意味で覚える)
漢字の90%を占める形声文字は、意味を表す意符と、音を表す音符がある。
形声文字では、部首が意符となることが多い。
例えば「銅」という漢字は、「金」偏が意味を表す意符 、 「同」が音を表す音符(ドウ)である。
例えば「聞」という漢字は、「耳」が意符、「門」構えが音符(モン)である。
3.会意文字
会意文字は、構成要素がそれぞれ意符となる。
例えば、「相」は、木と目、「男」は田と力。「集」は木に ふるとり など 。
4.指示文字
「木」部に属するものは、本 ・末など。
「一」部に属するものは、上・下・三など。
Ⅱ 部首の大部分はへん・つくり・かんむり・あし
1.部首は、文字のグループに共通する意味を表わす。
2.部首は、偏(へん)が多く、冠(かんむり)も多い。
3.旁(つくり)は少なく、脚(あし)も少ない。
4.へん・つくり・かんむり・あしの他には、垂(たれ)・構(かまえ)などがある。
記憶の実行編
教材No.46-3 分解と合成の運動で覚える
「漢字博士」の偏と旁の漢字カードを合成して覚える。
以下の画像の部首トランプのように、偏が同じで、旁が違う漢字の上に、偏や旁のカードを置くことで、意識する。
旁が同じで、偏が違う漢字も同様に。
奥野かるた店の漢字かるた初級・中級・上級で覚える。
実物をイメージして視覚的に覚える。
漢字トランプに書かれた絵によって、絵から意味を取り、漢字の形を記憶する。
象形文字を土台に、意味で覚える。
意味をつぶやく。
例えば、「バス停の時刻表が立っている」「プリントが重なっている」など。
自分で自分に説明することで覚える。
絵を書いて覚える。
イメージを持つことで覚える。
田んぼで力を出すのは「男」。
山の上と下だから「峠」。
自閉スペクトラムの子どもさんが漢字を記憶しにくいのは、意味を取る言葉を持っていないからである。
下のように、似ている漢字、(トランプ)を並べて、意味の違いを単語カードの言葉を対応させながら、記憶する。
同時提示・同時比較が大事だ。
教材No.46-4 自分流のこじつけで覚える
小学校6年生の子どもさんと学習した例には以下がある。
学習の際に、漢字をタイルに書き出す、単語カードにこじつけた意味を書き出して、対応させる運動をしながら、こじつけの言葉を読むことで記憶を助ける。
教科書の新出漢字のように、単独で学習しても覚えにくい。
これも、同時提示・同時比較が、学習のポイントだ。
例えば、「服・復・複・福・副」
洋服の「服」は身体の漢字と同じに「月へん」がつく。
復習の「復」は人が何度も勉強するので「にんべん」でなく「ぎょうにんべん」の2本。
幸福の福・大福餅の福は、良いものを目の前に「示 しめすへん」。
また・2度という意味の「複」は、点が1つ多い「衣へん」
副委員長の「副」は、そばに立つ2人目の人なので、りっとう。
例えば、「量・測・計・図」
重さや容積を量るときは、重量の「量」。
長さを測るときは、測量の「測」。
数や時間を計るときは、計算の「計」。
計画するという意味の図るは、図工の「図 」。
例えば、「摘・適・滴・敵」
手で摘むは、手へんの「摘」。
これが最も良いという時の適は、しんにゅうがつく「適」。
水滴が垂れている時の滴は、さんずいの「滴」。
敵をやっつける時の敵は、剣が斜めに交差している「敵」。
こじつけの言葉
その子のわかる世界で、その子のわかる言葉で、こじつけて、差異を言い分けることが記憶を助ける。
子どもの自力だけでは難しいことも多い。
新出漢字が出るごとに、教師がこじつけを説明して教えてあげたり、漢字練習の宿題の時に、家族がこじつけを説明して教えてあげたりすると良い。
その学習の際に、➀漢字を紙に書き出す(以下の画像のようなトランプを利用しても良い)、②単語カードに「差異」をこじつけた意味を書き出して、③対応させる同時比較照合運動をしながら、④こじつけの言葉を読むこと、が記憶を助ける。
教材No.46-5 漢字練習のコツ
漢字練習帳に、無言で、目だけで線分を写している子どもが多い。
この方法では、線を書いているだけで、漢字の記憶にはならない。
漢字の読みを言いながら書けば、記憶できる。
分解と合成の部首を言いながら書けば、最も記憶に残る。
本人が言えない場合は、そばで、通級指導教室の先生や支援学級の先生および学童の先生や家族が、代わりに言ってやると良い。
「通はマ用しんにゅう」「級は糸に及ぶ」「指は手へんにヒ日」「導は首しんにゅう寸」「教は土ノ子ノ一(イチ)✖(ばってん)」「室はウム土」など。
これを小学校の6年間続けたい。
小学校に先生の「空書き」 も、筆順より、漢字の分解と合成になる部首、偏と旁を空中で書かせながら言わせてほしい。
教材No.46-6 つぶやきで内言語を育てる
通常学級では音声を外へ出さないで書くため、発達障害などがあると、内言語が育ちにくい子どもも多い。
つぶやく言語がないと、漢字記憶を助けない。
心の中で、言いながら漢字を書くということが、非常に重要だ。
部首が言えることで、漢字を分解と合成で覚えることになり、分解と合成の記憶の仕組みは、中学校へ行った時も、英単語の記憶方法に役立つ。
下の本は、道村式「唱えて覚える漢字指導法」である。
記憶力には、言語力がかかわる。
漢字の分解と合成も、以下のリンクからご参照ください。
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