ダウン症のまさや君28歳は、特別支援学校の高等部卒業後、作業所に勤めるようになって、ちょうど10年になります。
ホチキスの針の箱詰め作業に、長いこと携わってきましたが、最近では作業所で製造販売しているパンの、シール貼りの仕事を頑張っています。
病院の療育では、絵カード合わせ神経衰弱をしたり、かなトークでお出かけ日記や楽しいこと作文を作ったりしています。
まさや君は成人してから音声をほとんど出さなくなりましたが、今でもひらがなカタカナの読み書きができ、一桁の加減算ができます。
読み書き算数ができるまさや君は、パンの製造部門で、パン1個のかたまりを作る、パン生地の計量を頼まれることがあるそうです。
しかし、計量の経験と自信がないらしく、指導員さんに頼まれても、まさや君は断ることが多いとのことでした。
そこで、まさや君と、パン生地の計量学習をしてみることにしました。
パン生地の代わりに堅豆腐を使う
お母さん経由の情報から、パン生地は、小麦粉を計量するのでなく、すでに生地になったかたまりを計量するそうです。
また秤は、時計の針が動くようなアナログ秤でなく、デジタル表示のデジタル秤で良いそうです。
そこで、パン生地を作るのは準備が大掛かりになるので、お豆腐で代用しようと思いつきました。
我が家の近くのスーパーベルクに「堅豆腐」500gというのがあります。
以前から、豆腐ステーキを作る時に購入していました。
パン生地に見立てた豆腐をちぎる時に、柔らかい絹豆腐や木綿豆腐よりも、堅豆腐の方が、まさや君が扱いやすいのではないかと思ったのです。
しっかりと硬い方から、堅豆腐➡焼き豆腐➡木綿豆腐の順に柔らかくなります。
食べ物以外の材料ならば、小麦粉粘土、油粘土などでもできますね。
計量に必要な道具は100円ショップでそろう
その他の道具は、ダイソーとセリアで、テーブルクロス、お盆、お皿、スプーン、手袋、除菌ティッシュ、を用意しました。
ダイソーのお皿は1枚100円、セリアのお皿は3枚100円です。
物価高騰の今でも、100円ショップで色々とそろえることができるのは、とても助かります。
30年前には、カインズのようなDIYのお店で教材をそろえるので、100円ショップの8倍~10倍は費用がかかりました。
育児や家事に限らず、特別支援教育の教材にとっても、100円ショップ様々ですね。
カインズの計量はかり
計量はかりは、ダイソーにも300円でありましたが、デジタル表示が大きい、カインズのはかり(1280円)を用意しました。
これはお皿の重さを引いて0表示ができるので、とても便利なはかりです。
「いっぱいとすこし」、「200g と 50g」の実感を形成するために、はかりは2つ購入しました。
計量の初めは、やってみせる
まさや君に初めから計量させようとしないで、初めはこちらがやってみせることが大事だと思って始めました。
堅豆腐をだいたい 30g・40g・50g ぐらいのかたまり10個に崩します。
少なすぎたら足して、多すぎたら取って、私が1回200g を測って見せると、まさや君は2回目にはスンナリ参加してくれました。
お母さんは、200gきっかりに、まさや君がこだわるのではないか?と心配しています。
50g、200g、150g、と繰り返し作っていくうちに、多すぎると、豆腐を皿の上で手で崩して取ったり、
足りないと、豆腐を足したりすることが自発しました。
これを経験させたかった!という風に、見守るお母さんも感激して笑顔になります。
療育で実際に計量をして分かったこと
作業所でまさや君は、パン生地のとても小さなかたまりを、長い時間をかけて足していくのだそうです。
おそらくまさや君はまだ、我々のような、だいたい100g、だいたい50g、だいたい10gの実感と予測がないので、小さな10gずつをたくさん足していきます。
算数で言うと、5や10のかたまりがわからず、プラス1方式の追い足し算になるのと同じですね。
言語的に、「だいたい」「ちょうど」「ぴったり」「多すぎる」「少なすぎる」「増やす」「減らす」「大きなかたまり50g」「小さなかたまり10g」「重い=200g」「軽い=50g」のような言葉が、パン生地の計量作業に必要だということが分かります。
計量を経験しながら、言葉の学習もしていきたいです。
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