特別支援学校への入学に備える方法

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自閉症のA君は、4月から特別支援学校の小学部に入学します。

保育園児が、小学校に慣れるために、大きな文化ギャップがあることは、最近、よく知られるようになってきました。

朝から元気よく園庭で遊ぶ保育園と、朝から教室の椅子に座って学習する小学校に、文化のギャップがあるのです。

言葉が話せて、5~6歳の力があっても、発達障害のある子どもは、保小の文化ギャップに慣れなくて、離席したり、教室を飛び出したりする、小1プロブレムが起きます。

保育園では3月は朝から座って製作を行なったり、小学校では4月の授業に身体の動きを取り入れたりして、保育園も小学校もギャップを埋めようと、努力しています。

音声の言葉のない自閉症の A 君も、特別支援学校という新しい場所と、新しい先生に慣れる必要があります。

「なんで?」「どうして?」「嫌だ」「知らない場所は怖い」と、言えない A 君だから、ギャップを減らす準備が必要です。

A 君は、音声の言葉がないし、することがわからなかったり、自分の願いが叶わないと、頬を叩く自傷が起きるので、「新しい学校で生活する」ということを、今から A 君に丁寧に伝えておきたいのです。

そこで、A 君にはどんな準備をすると、場所や人および生活の流れが違うギャップを少なくできるか、考えてみました。

4月8日の入学式当日に、突然、変化にチャレンジするよりも、その前から少しずつ準備する方が、A 君は変化に慣れやすいと思います。

次に紹介する準備の1つでも2つでも、取り掛かりやすいことからやっておくと、4月8日の入学式や、入学後の初めの1週間を過ごしやすくなり、A 君の自傷を防ぐことができます。

特別支援学校という「場所に慣れる」

➀特別支援学校の門のあたり全体を、スマホで撮影する。

➁学校へ向かうときは学校の画像を見せる。「学校」と短い単語で伝える。

➂学校へ持って行くカバンが決まっているのであれば、カバンを持たせて、「学校」と伝える。

④実物👜=「カバン」=実物の言葉、になります。

⑤身振りができる子どもさんは、カバンを表す四角の身振り、カバンを持つ身振りなどを、登校の合図として作ってもいいですね。

⑥土日や春休み、家から学校まで、おうちの車で行ってみる。

⑦車を駐車場に置ければ、学校のまわりを1周、手をつないで一緒に散歩してみる。

⑧入学すると、学校内は手をつないで移動すると思うので、家庭でも、今から、外出時には手をつないで、移動するようにする。

➈たとえ走っても、 A 君は行き止まりまで走ると止まるので、A 君が止まったところで「A 君おいで」と声をかけることを、入学式で学校に伝えておく。

⑩家でも、朝から靴下を履くチャレンジをする。靴下を履いて上靴を履きたい。

⑪学校で使うことが予定されている上靴があれば、家でもそれを履くようにして、上靴に慣れておく。

⑫学校へ持って行く水筒は、3~4月は、A 君が楽に操作できる、楽に飲める水筒にする。

⑬水筒は、マグマグのような口が良いのか、ストローのような口が良いのか、プッシュボタン1つで飲めるといいのか、A 君が楽に操作できるものが良い。学校に慣れたら、開け方飲み方を練習したい水筒にすればいい。

➀~⑬は、家庭でチャレンジできそうです。

⑭入学式前に、学校にれてもらえるのであれば、保護者と学校の中を探索しておく。

⑮前もって保護者と探索した方が、入学してからの探索が少ないと想像する。もちろん、入学してから学校で、探索させてくれるのであれば、それでよい。

⑯学校にはいれて、撮影しても差し支えなければ、学校内の場所の写真をスマホで撮る。校庭、1年生の教室、階段、トイレ、中庭のブランコ等、A君が好きそうな場所の写真を撮る。

⑭⑮⑯は、入学式の後、学校が許可してくれればできるし、初めての授業参観で、保護者が学校へはいれた時でもいいですね。

以上が、場所になれるための提案です。

「先生に慣れる」ために、これまでのやり方や声掛けを、保護者が学校でやって見せる

特別支援学校の専門家の先生に預けるのだから、文化ギャップを心配しなくても、先生はA 君の考えと行動に合わせてくれて、大丈夫だとは思います。

それでも、自傷が起きやすい A 君の困り感が心配で、以下のような寄り添い方を考えてみました。

⑰4月の1週目は、お母さんが駐車場で待っていて、バスの降車から教室まで送り、お母さんとA君で、下駄箱、教室、ロッカー、連絡帳、着替え、トイレ、着席等、「ものに慣れる」と、A 君が安心ではないか。

⑱2週目は、先生が要請する日に、お母さんが給食の前のトイレの時間帯から行って、トイレ、手洗い、給食を、一度やって見せると、お母さんと先生のやり方が共通化されるのではないか。

⑲あるいは、先生が要請する日に、先生が要請する時間帯に、お母さんが出向いて、A君のいる現場で、拒否やSOSが出る状況の、対応の仕方をすり合わせる話し合いをするのはどうか。

⑳A 君の言葉のレベルは実物である。必ず実物で伝えてほしい。実物を持ってこれない場所は、身振りや切り抜き写真で伝えて欲しい。

以上➀~⑳を A 君のお母さんに、お願いしました。

お母さんは過去に、保育園を変えたり、デイサービスを変えたりして、A 君も場所の変化を経験しているので、お母さんは大らかにどっしりと構えています。

A 君が入学する学校の先生も、入学説明会で「安心して任せてください」と、お母さんに言ってくれたそうです。

自傷のあるA君の 特別支援学校入学準備のまとめ

自閉症スペクトラム、こだわりと多動衝動が強い、音声の言葉がない、言語理解が1歳レベル、手先がとても不器用、等の理由から、指示されたことがわからない、希望が通らないと、A 君に頬を叩く自傷が起きます。

A 君の自傷を防ぐために、これまでと違う新しい生活のギャップを少なくしたいと考えました。

学校現場での、数分のお母さんの音声説明が、連絡帳でやり取りするたくさんの文字よりも、家庭と学校の理解を共通にしやすく、A 君の自傷を避けられると思います。

特別支援学校に入学する子どもたちが、「場所に慣れる」「先生に慣れる」ために、家庭にも、特別支援学校にも、➀~⑳の提案を、可能なことから、お願いいたします。

A君入学後の後日談

特別支援学校の小学部1年生の担任の先生は、A君のために四角いトランポリンを購入して、入学を待っていてくれたそうです。

入学して2週間後に病院の療育で A 君に会いました。

新しい学校という場所に変わっても、療育に来た A 君は穏やかで、お母さんもとても安心した様子でした。

「給食の食べ方が少ないのだけ心配」とお母さんが話してくれました。

それは嫌いなものを無理強いされないということなので、おやつや夕ご飯をたくさん食べればいいとお母さんに伝えました。

まずは新しい環境の学校と先生に慣れること、先生との良い関係の中で、給食も新しいことが起きるような気がします。

動かずにはいられない6歳の、音声の言葉のない、不器用な A 君を、A 君の言葉の水準で理解しようとしてくださっている先生の存在がありがたいです。

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