4回に渡って投稿した、子どもの行動、言葉の発達、教材の系統性、子どもへの敬意とアプローチの仕方、をまとめたいと思います。
猫ちゃんブログは、教材ブログでもあります。
子どもたちが0歳から楽しく遊べるおもちゃ・教材
保育園や特別支援学校・特別支援学級の子どもたちが、目で見てわかりやすく、操作して楽しい教材
通常学級で特別支援を必要とする子どもたちが、取り掛かりやすく、記憶を助ける教材
保護者、保育士さん、児童発達支援通園施設や放課後デイサービスの先生方、作業療法士さんや言語聴覚士さん、幼稚園・認定こども園、学校の先生方が欲しかった教材
を、このブログで紹介してきました。
教材を作るには、子どもの行動理解とことばの発達の理解が欠かせません。
子どもの行動を心理学的に理解するときに、私の脳内には、以下のような図があります。
今回は、この図の右ななめ↗下半分について、特に詳しく説明したいと思います。
①子どもとの係わりのスタートは、相互障害状況(梅津)
相互障害状況とは、まだお互いに分かり合えない状況を言います。
子どもが泣いている、怒っている、暴れている、宿題をやりたがらない、教室離脱した、学校へ行かない、家出した、喧嘩した、など、そういう時は相互障害状況です。
子どもを取り巻く環境との間で、何かがあったから、そういう結果になっているのです。
子どもだけに障害があると考えるのではなく、係わり方が分からない自分も障害状況にあると言えます。
本人変容を求めるのでなく、子どもの環境である大人が変わろうと努力した結果、相互障害状況が軽減される場合も、たくさんあります。
②「子どもの行動理解」は梅津八三の心理学的行動図から
救急行動
泣く・怒る・暴れるなどのパニックは、起こさないほうがいいですね。
選択できる予告で、予防する方が良いです。
予防が大事だけれど、万一パニックが起きてしまったら、クールダウンの部屋や本人が落ち着ける遊びが大切です。
例えば、パーテーションの囲みの中で一人になる、イヤーマフやヘッドホンをする、粘土遊びをする、図鑑を見る、レゴブロックをする、絵を描く、折り紙を折る、体育館で卓球をする、など、子どもが落ち着ける好きな遊びは何か、事前に情報を集めておきましょう。
好きなことを一人ですることで落ち着く子どももいるし、大人が口出しせず手だけ貸してクールダウンを見守って欲しがる子もいます。
「大丈夫だね、落ち着けたね、クールダウンできたね 」など、子どもが落ち着いてから、できたことに対して声をかけましょう。
出来ない時は、「大丈夫、大丈夫。時間がかかるよね」と、励まして見守りましょう。
「何々もあるからね、何々もできるよ」と、好きなことを予告して、気持ちが切り替わるように提案することも必要です。
気持ちの切り替えには、最低15分は必要だと思っておきましょう。
回避行動
勧めた教材を投げる行動も、プリントをくしゃくしゃにして断る行動も、席を離れる行動も、教室から離脱する行動も、登校しない行動も、子どもたち本人にとっては身の守り行動です。
現勢の保障
単なる回避行動ではない、子どもの身の守り行動だと理解できれば、今の子どものその勢いを保障してあげたいと思えます。
「子どもに寄り添う」とは、子どもの考え方に賛同することです。
例えば、「そうかぁ、分かったよ、そうなんだ、そうだったんだね、そうだね、そうだよね、その通りだね、なるほど、そういう事ってあるね、そう感じたんだね、そうだそうだ 、………」などです。
お母さんが台所で夕飯を作りながら、先生が子どもの隣でプリント作業をしながら、子どもに、上記のような寄り添う声掛けをすることも有効です。
緩衝行動
子どもは皆できることをします。
できることをすることで、本題に取り掛かる勢いが付きます。
実を言うと、私もそうです。
自宅で書類仕事に取り掛かるのは、私に起きにくい革生行動です。
その手前で、たくさんの緩衝行動をしないと、目的の革生行動に踏み出しません。
冷蔵庫を開け、お茶を飲み、テレビをつけ、リモコンでチャンネルを変え、パソコンを立ち上げ、メールをチェックし、ヤフーショッピングでお買い物をして、夕方日が落ちる頃、ようやく提出が明日に迫った書類仕事に取り掛かります。
回避行動とも言えますが、自分が今できる、たくさんの緩衝行動をすることで、本当にゆっくりと、本題に近づいているわけです。
苦手なこと・起きにくいことに対しては、子どもたちも、そのように本題に近づきます。
いきなり一番難しい問題をやってもらうよりは、よく知っている復習から入り、簡単にできる助走から入り、楽々できる問題から取り掛かると、苦手なこと・難しいことへの勢いが付きます。
確定域
食べ物、昆虫、恐竜、魚、動物、電車、新幹線、国旗、トミカ、きかんしゃトーマス、ドラえもん、ウルトラマン、戦隊ヒーロー、ディズニープリンセス、ポケモン、ポケモン GO、きめつのやいば、となりのトトロ、スーパーマリオ、どうぶつの森、マインクラフト、ドラゴンクエスト、ファミリーレストラン、お店のロゴマーク、ぬいぐるみ、お絵かき、工作、パソコンによる文字学習・算数、など、その子どもの好きな確定域は何なのか、そこからコミュニケーションも、教材作りも可能です。
革生行動
確定域を十分横に広げて楽しむと、満足して気持ちは自全態にいたります。
その満足感や達成感から、苦手だったことにも、ちょっと踏み出すことが起きやすくなります。
これまでなかなか起きなかった苦手な行動へのチャレンジ、これまで持っていなかった新しい行動に踏み出すことを、生活に革命的な変化が起きたという意味で、革生行動と言います。
③図の最下段にある「ことば」について
「子どものことばの発達」は、梅津八三の言語行動の系譜で学べます。
1.子どもの行動から何をしようとしているのかの「自成信号」を読み取る
2.身振りなど、お互いの合図にできる「象徴信号」を作る
3.マークや漢字など、事象と結びつける「形態質系信号」を学習する
4.ひらがな文字や作文、加減算など数の学習の「分子合成系信号」を高次化していく
上記については以下の投稿で詳しく述べています。
④図の左の「教材作成」について
子どものことばの発達のための教材は、中野尚彦の「内包的対応関係・象徴的対応関係・外挿的対応関係」の教材を作ります。
玉入れから文章構成教材まで、以下の投稿で既に述べました。
子どものことばの発達をうながす教材を作る中野尚彦の「文構成行動の図式」
⑤教材を作って子どもに係わる時に心がけるアプローチの仕方は
梅津八三の接近仮説については、以下でも述べました。
木村允彦の生活体と梅津八三の接近仮設からソーシャルスキルトレーニングを考える
子どもと係わる時は、
1.合図にまだならない、自成信号を読み取ります。
2.子どもがこだわっているものを大切にして、子どものこだわりに共感し、同行します。
3.子どもがこだわっている好きなものを使って、内包的・象徴的な教材を提案します。
4.子どもが好きなもの・楽しんだものは、得意な領域なのでさらに、バラエティを作って、豊かに横に広げます。
5.確定域でコミュニケーションを深め、満足そうな瞬間に、ワンステップアップした教材を提案します。
6.新しい活動や苦手な活動を、おまけでちょっと提案します。
7.子どもが踏み出してやってみれば、なんだ、これもできた、あれもできた、という感じで子どもに笑顔が溢れます。
8.同時に、係わる自分も嬉しいです。
9.子どもからもらった喜びで、また、育児や仕事を頑張ろうと思えます。
以上のようなことを、脳内で考えて、目の前の子どもと係わっています。
すると、コメントをくださったコスモスさんのように、係わりの糸口が見えにくかった子どもさんとの間で、好きなもの(教材)を介した楽しいやり取りが起きます。
子どもさんとコスモスさんの、笑顔が浮かびますね。
子どもたちが教えてくれる行動の意味や、子どもたちが喜ぶ教材を、これからもブログで皆さんに紹介していきたいと思います。
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